2012年11月5日月曜日

国境措置の撤廃計画、エクセル・フーズの牛肉回収のきっかけとなった食肉検査つぶしを狙う

 以下の記事で報道されている問題は、NAFTAの結果としてカナダ・米国・メキシコが進めてきた"Regulatory Coherence(規制の内外一貫性)"が、表面的にはうまく行っているかのようであるが、その実、命に関わる致命的な問題を起こし、行き詰っていることを示している。「規制の内外一貫性」に基づき食肉の貿易における国境措置(検査)の撤廃に向けた試行の矢先、米国向けのカナダ牛肉が米国側の国境検査で大腸菌汚染を摘発され、大規模な回収と病例の発生を起こしたのである。

 しかしカナダでは同様の安全に関わる事件を過去にも起こしている。2005年カナダ政府がスマ-ト・レギュレ-ションと称して可能な限り規制を撤廃し、米国の基準と手続きを採用した結果起きた諸問題である。この"Regulatory Coherence(規制の内外一貫性)"は、同様にTPPで重要視されている"Connectivity(接続性)"と一体となってグロ-バルな商流・物流を円滑化・効率化するものとされているが、まさにそれぞれの国が必要としている自主的な政策領域を狭めるものであり、食について言えば安全・いのちを危うくするものでもある。

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国境措置の撤廃計画、エクセル・フーズの牛肉回収のきっかけとなった食肉検査つぶしを狙う(ハフィントンポスト)

(オタワ発―)カナダ史上最大の食品回収事件―米国の検査官が大腸菌に汚染された牛肉の貨物輸送を差し止めたことから始まった―を受けて、米国とカナダ両政府は食肉の2次検査の撤廃計画に対する反発の高まりに直面している。
 2011年12月両国で発表された「国境措置撤廃」計画の下、畜肉・鶏肉の国境を越える流通を改善するため、重複する検査は撤廃される予定である。検査体制の簡素化に向けた試行計画が今週始まった。
しかし、アルバータ州ブルックスのエクセル・フーズの工場から出荷された牛肉に最初に警鐘を鳴らしたのは、まさにその2次検査だった。アメリカ農務省(USDA)の検査官が9月3日、モンタナの国境検問所で大腸菌のついた積荷を差し止めたのだ。
 カナダ食品検査庁(CFIA)の職員は、アメリカ農務省からの通報を受け、もともと輸出許可されていた食肉を再検査したときに初めて大腸菌を検出した、と認めた。しかしウェブサイトのなかで、CFIA(カナダ食品検査庁)は「通常検査」中に検出したものの、検査庁に対するエクセル・フーズからの情報提供に時間がかかり、回収の発表が遅れたと主張している。 
米国政府は9月13日に輸出禁止を求め、その3日後にCFIA(カナダ食品検査庁)はカナダで製品回収の最初の公示を発表。大腸菌汚染、維持管理そして衛生管理に関する問題で工場の操業許可を取り消したのはさらに2週間後のことだった。カナダ全国で1,800品目を超えるエクセル・フ-ズ社の食品のほか、米国とその他20カ国に輸出された110万kgを超す牛肉も回収された。
 国境措置の撤廃計画を批判する人たちは、国境検査には実施する価値があり、撤廃されるべきではないことを、アルバータ州の牛肉回収事件が証明したと指摘している。

「我々は最初から[二次食肉検査の撤廃]がいかに馬鹿げた考えかを訴え、反対していた。そしてエクセル社で起こったことは我々の主張の正しさを証明している」とワシントンD.C.に拠点を置く食品と水の監視団体、Food & Water Watchの上級ロビイスト、トニー・コーボ氏は言う。
「[検査]が貿易を妨げるという主張や論法はすべて馬鹿げている。貿易によって、食の安全がないがしろになってはならない。」
 コーボ氏は、アメリカ人の食卓に上る食料に関してカナダの検査官が信用できるとは思っていないし、米国の係官もこの北の国境からくる製品の衛生基準違反に目をつぶることがよくあると語った。
「昔からアメリカ農務省は、本気でカナダの食料安全検査体制の検証などしていない。」と彼は言う。「係官が違反に気づいても、いつでもカナダは見逃してもらうようだ。」
 米国消費者連盟食料政策研究所の所長クリス・ウォルドロップ氏は、ハフィントン・ポスト・カナダに、エクセル社の回収事件が起こった今、国境検査は目的にうまくかなっていることが「火を見るより明らか」になったと語った。
 また、「国境でのチェックで汚染や問題が見つかり、その結果製品が発生源の工場に送り返された事例は多数ある。国境検査が有効で、目的にかなっているということを示しており、国境検査を避けて受け取り先の工場へ直接出荷することを許せば、安全性の観点から非常に深刻な問題が起こるだろう」とも語った。
 約300の米国の消費者団体を代表する統括組織、食料安全連合は先日、米国農務長官トム・ヴィルザック宛てに書簡を送り(リンク=pdfファイル)、食の安全を危うくする恐れがあるため、国境措置の撤廃に向けた試行計画の実施を中止するよう要請した。
 少なくとも今のところ、この試行計画によって国境で行われている微生物や残渣の抜き取り検査―エクセル社の汚染された製品を見つけ出した検査―の数が減ることにはならないだろう。現在、およそトラック10台に1台の割合で検査がおこなわれている。しかし、米国市場に入るすべてのトラックを対象とした製品とラベルの検査は撤廃されることになる。
 カナダ政府は徐々に動きだしており、国境を挟んだ両国で工場を操業している豚肉処理加工会社の一つを試行計画に参加させるために選んだ(牛肉処理加工会社も同様に選びたいとしている)。その会社のトラックはCFIA(カナダ食品検査庁)の係官から事前に認可を得、途中通告されなければ、その肉は製品およびラベルの検査―そして国境検査所での長時間の待機―を回避し、積荷を米国農務省食品安全検査局(FSIS)検査済みのアメリカ側の工場に直接降ろすことになる。

 ニューヨーク州ナイアガラの滝近くにある畜肉・鶏肉検査機関の作業員、ウォリー・ピアコフスキー氏は、国境検査が撤廃されたら生活が立ち行かなくなることを認めながらも、自分は価値のある仕事をしていると主張する。
有毒化学物質と隣り合わせで長旅をする肉、糞便のついた牛肉、そしてトラックの荷台にこぼれる包装されていないひき肉の積荷など、自ら撮影した写真を指差し、すべてのトラックが米国に入るときに検査されるべきだと彼は言う。
「化学物質に二次感染した肉を食べたいですか。床に置かれていた肉を食べたいですか」とピアコフスキー氏は言う。「そんな肉は完全に破棄するか、あるいはカナダへ送り返すかして、絶対に食料供給のルートには乗せない。それを100パーセント保証しているのが国境なのです」
 カナダへ送り返される製品は毎週出ているとピアコフスキー氏は付け加えた。彼は日曜日に25箱を送り返した。ラベルの表示がなかったか、ついていても適正ではなかったからだ。
 カナダ農業相ゲリー・リッツは、国境での二次検査に関するハフポストの質問への回答を拒否した。質問の内容は、エクセル社の牛肉回収事件を受けて検査撤廃の計画が見直されるのか、またカナダ政府はアメリカの消費者の口に入る肉に関して食品検査官を増員する、あるいは検査要件を強化するといったことを計画しているか、というものだった。
 リッツ農相はハフポストに対するEメールのなかで、「食の安全に関しては、何よりもまずカナダの消費者が常に政府の最優先事項である。」と答え、「国境措置の撤廃計画は、決して食の安全性を低下させるものではない。」と付け加えた。
 国境措置の撤廃は食の安全性を低下させようとしているわけではないが、検査数の削減を図るものではあるとCFIA(カナダ食品検査庁)の政策計画担当の副長官ニール・バウワーは認めている。
現在、国境の両側で加工される肉は3回検査を受ける。カナダの加工工場、国境検査所、そしてもう一度アメリカの加工工場での検査だ。カナダ政府は畜肉、鶏肉の生産者と同様、その重複検査を減らしたいと思っているが「まだそこまでいってはいない」とバウワー氏は言う。
「長期的な願望だ。だが、食の安全に悪い影響を与えないことが保証されない限り、検査の削減に着手することはない」とバウワー氏は述べた。
 カナダ側の生産者は、国境での二次検査撤廃計画が業界に対するイメージ悪化を招いたことを承知している。
「論理が勝つことを願っている」とカナダ食肉協会の事務局長ジェームズ・ローズは言う。
 エクセル社の牛肉汚染について「食の安全に関わる事件はなくならないだろう。もちろん我々は、長期的には少しでも少なくしていくつもりだが…」とローズ氏は述べた。
「今回の回収は非常に深刻だ。だが、同時にこれは、もし何らかの理由で検査を通ってしまっても、回収という最終手段があることを示してもいる。我々は、知らないふりをしているわけではない」と彼は言う。

 一方、カナダ食品加工業者団体の理事長クリス・カイトは、エクセル社の「大惨事」は米国政府に国境措置撤廃計画から手を引く口実を与えたと思うと語った。
「アメリカはアメリカへの輸入促進には関心がないし、エクセル社の事件で変わったとも思わない」とカイト氏は言う。「(カナダから)輸出される製品を締め出したい人が、それを口実に使うのではないか?」
しかし、カナダ・アメリカビジネス協会を代表して話をするキャンベルスープの副社長ケリー・ジョンストンは、11月以後のホワイトハウスの住人が誰になるにしろ、国境措置の撤廃計画は推し進められるだろうという強い自信がある、と語った。
「私は、アメリカ人がカナダの畜肉、鶏肉の安全性云々にそれほど高い関心を払っているとは思えない」とジョンストン氏はEメールでハフポストに述べた。「目標は…一度の検査で十分だといえるような信頼を得ることである。私は、いずれその目標に到達するだろうと確信している。」
 米国のFSIS(食品安全検査局)の広報担当ダーク・フィルポットは、USDA(米国農務省)がエクセル社の事件を受け、国境での二次検査の撤廃に懸念があるかどうかについて語ろうとはしなかった。フィルポットは、カナダが米国と同等の検査体制を持つこと、また米国に輸入されるすべての畜肉、鶏肉、卵の加工製品はその基準に適合しなければならないことをFSISが決定したと述べた。
「はっきり言っておくが、我々は、検査工程における我々の役割とアメリカの国民を守る義務を放棄しているわけではない」と彼はその声明のなかで述べている。(翻訳:戸田光子 監修:廣内かおり)

■元記事へのリンク(動画あり 2012年10月11日5:03a.m.EDT投稿 2012年10月11日11:38a.m.更新)
http://www.huffingtonpost.ca/2012/10/11/beyond-the-border-xl-foods-beef-recall_n_1956100.html

2012年10月31日水曜日

STOP TPP!! 官邸前アクション 毎月第一火曜は官邸前にGO!みんなでTPPを止めよう!

8月からの「STOP TPP!! 官邸前アクション」には毎週数百人が駆けつけた

10月より毎月第1火曜日に開催!さらに集中的にTPP反対を訴えます!

★次回開催:11月6日(火)18:00~20:00
★場所:首相官邸前


「STOP TPP! 官邸前アクション」は、8月より首相官邸前で活動を開始しました。市民や国会議員、地方自治体、労働組合や農民団体、NGO等の「反対」の声を無視し、財界と野田首相、一部の国会議員は「TPP参加」を今なお企んでいます。民主主義を踏みにじり、人々の暮らしを米国・日本の大企業に売り渡す暴挙を止めるため、8月21日~9月25日まで毎週火曜日18:00~20:00、首相官邸前で「STOPTPP」を訴えてきました(計6回)。

スタート以降、毎回100~400人もの参加者を得てきました。わざわざ地方から参加してくれる方も毎回おられ、また毎回、農業・医療・保険・食の安全など実に多くの分野からのスピーチをいただいています。9月18日には、国際行動でもある「OCCUPY モンサント」(http://occupy-monsanto.com/ )アクションにも連動し、銀座・日本モンサント社前行動と官邸前行動も実施しました。こうした成果を受け、10月以降は、さらに集中的にSTOP TPPを訴えようと、開催ペースをこれまでの毎週から毎月第一火曜日に変更することといたしました。月に一度にすることで集中した参加もしやすくなることを期待しています。月に一度の開催にあたり、毎回、その時々の政治情勢やTPP交渉の推移、国際アクションとの連動など、時宜にかなった重点テーマを設定し、スピーチや定番コーナーなどの中で盛り込んでいきます(当面の日程は下記のとおり)。

ぜひ引き続き貴媒体にて引き続き取材・告知などお願いいたします。

【12月以降の予定】
★12月4日(火)
★1月8日(火)※1月は第一火曜日が元日のため第二週とします。
※時間帯はいずれも、基本的に18:00~20:00です。
※変更する場合もありますので必ず事前にウェブサイトでご確認いただくか、主催者へお問い合わせください。

★11月の重点テーマ★

<1>どうなる? 米国大統領!
TPP参加表明を絶対に阻止!

11月6日は米国大統領選のまさに当日。結果が出るのはまだ先ですが、TPP参加表明の危険が最も高いといわれているのが「大統領選後」のタイミングです。11月は、選挙の状況を見つつ、STOP TPP!の声をさらに高めていきます。また11月中旬からの「東アジアサミット」の舞台も「参加表明」のタイミングとして危険視されています。これらの国際日程とあわせて反対をアピールします。

<2>総選挙はいつ?各政党の政策・議員アンケートの結果を徹底解剖!
TPPを推進する議員は落選させよう!

臨時国会も召集されましたが、12月中の総選挙の可能性も高いと言われ続けています。来るべき選挙では、TPPに賛成している議員は通してはなりません。これまでの「議員アンケート」の結果や、各政党の政策などを改めて徹底検証します。

【主催・お問合せ】STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会
http://notpp.jp/TPP_kantei.html
ツイッター:https://twitter.com/TPP_kantei (当日の実施状況はツイッターにて告知します)

2012年10月19日金曜日

リ-スバ-グの近況をレポート─第14回TPP交渉会合が修了


 USTR105日、リ-スバ-グ第14TPP交渉会合の市民団体向け説明会を開きました。今回はその報告書を入手し、全文翻訳しました。
 進展した事項の内容は抽象的ですが、残る課題・争点などは質疑応答の中からうかがい知ることが出来ると思います。
 限界と・問題だらけですが、USTRでさえ、毎回必ず案内を出して説明会+質疑応答をしていることは、日本の「情報を国民に開示し、国民的議論の中から、国益に沿って判断」とは大きな違いです。米国では軸足は別々のところに置いていても、声のやりとりは直接のパイプを往来しています。(翻訳:清水亮子、小幡詩子 監修:廣内かおり)

  

米国通商代表部TPPブリーフィング
2012105日午前10

最新情報
《リースバーグ・ラウンドに先立ち、多くの高級官僚が準備のためアジアに渡航》
  カーク大使は8月、カンボジアでASEAN閣僚会議の終わりにASEAN諸国の閣僚たちと会合を開催。
  ベトナムでは、TPPに関係のある閣僚たちと複数回にわたり会合を開催。

《ウラジオストクでのAPEC 会合》
  進展状況を確認し、閣僚たちと会う機会になった。
  閣僚たちはTPP交渉担当者らに、交渉中の問題について、建設的且つ現実的な解決策を迅速に見つけることに全力を尽くすよう伝えた。

《カナダとメキシコの合流》
・可能な限り円滑、迅速な統合が求められる。

《リースバーグ》
・市場アクセスの章を進めつつ条文をできるだけ完成に近づけることを目標とした。
・(各国の)相違は着実に小さくなりつつある。
  多くの章で大幅な進展がみられた。プレスリリースに列挙されている。
  原産地規則、税関手続き、SPS(衛生植物検疫)、TBT(貿易の技術的障害)、貿易救済措置、越境サービス、政府調達、透明性、競争政策、開発、労働その他
  より困難な問題に関する溝も埋まってきており、まさに予定していたところまで進んでいる。未解決の課題はだれの目にも明らかで、解決策を見つける必要がある。これからの数か月で取り組む。

作業の必要な章は、まだ、かなり残っている。これまでの交渉会合でも時間を要した章である
  知的所有権:(Burcu氏を見て)これについては後ほど。
  環境: 他の章と比べて歩みは遅い。とても長い章で多くの新しい要素が含まれており、各国がまだ評価中のためである。

投資の章
・うまく進んでいる。長い章ではあるが、特に問題があるようには思えない。とにかく長文のため時間がかかる。

関税交渉
  最も重要な関心事項に関する問題は除き、かなり進展している国々もある。
  ある国については若干遅れが生じている。どこの国かは想像がつくだろう。

不適合措置サービスの進捗
  初めて(誰にとって?)ネガティブリスト(※注:原則的に規制せず、例外(的に規制する項目)を列挙する書き方)を使って交渉が行われている。我々が考えている通りに草案にきちんと反映させるための技術的な方法を検討中。
  ポジティブリスト(※注:原則的に規制し、例外(的に規制しない項目)を列挙する書き方)からネガティブリストに変える場合、起草の方法から再考しなければならない。

政府調達についても簡単に議論された。ほとんどの時間は条文に費やされた
  利害関係者の日
  500人近くが参加登録。実際に何人が参加したかは分からない。
  これまでの交渉会合に必ずしも参加していない人々も数多く参加。米国だけではなく他国のチームにとっても、米国や他の国々の関係者から異なる見解を耳にする機会があったのは有益だった。

今後のうごき

カナダとメキシコについて
1)ヒアリング
  実際に証言する人々よりも多くの意見があった。
  これは典型的長年にわたる関係性の表れであり、人々はすでにこの問題をよく知っている。

2)カナダとメキシコは来週中に正式な交渉参加国となる。
  条文を入手し、12月までに行われるあらゆる活動に参加することになる。
  できるかぎり、精力的かつ迅速に様々な国と協議し、その準備のために2国間でも会合を開く。
  スムーズに合流できるよう、我々としてもあらゆる手段を尽くすことが重要。
  2カ国が慣れるために交渉会合の時間を全て費やすようなことは望まない。

対案
  我々が提案した問題について、対案、新しい条文、あるいは修正提案を検討しているものがある。
  12月のラウンドでこれらを進展させる。
  未解決問題をすべて議論することはなく、いくつかの問題について議論を続ける。

12月の交渉会合までに
  懸案事項を見極め、今後数か月の間にどのようにまとめることができるのかを考える。
  各章を進めるためにやるべき作業がたくさんある。個別具体的な問題について、多くの国々と2国間で(解決に)当たらなければならない。
  そうした国と解決策を打ち出す方法が見つかれば、我々はその問題を交渉のテーブルに戻すことができる。

質疑応答

Q(質問): 附属文書にはどのような進展があったのか?
A(回答): 附属文書についてはいい議論があったが、妥結するにはまだ作業を要する。これまで、ほとんどの時間が本文に費やされ、附属文書の詳細を議論し始めたのはここ23回の交渉会合のみ。本文の問題が解消されつつあるので、いま、付属文書に注意を向けはじめたところである。

Q: (アメリカン大学): 前回の交渉会合で著作権の制限と例外まで議論が進んだのか、また、12月には知的所有権の章の中でどのような問題が議論されることになるのか?
A: ほとんどの時間を商標とGI(地理的表示)の議論に割いたが、一般条項に関してと、少しだが著作権と例外についての議論があった。次の交渉会合でも同じ問題が議題にあがると思われるが、まだ決まっていない。

Q: (パブリックシチズン):では、12月に特許の議論はないのか?
 A: まだ決まっていないが、私はそう理解している。

Q: (パブリックシチズン): それでは何も提案しないということか?
A: 私たちは今進行中の作業に集中している。ご存じのように、皆さんの知らないうちに何かを提案することはない。内部の議論が終わった時点で会議を招集しお話しする。まだ準備ができていない。

Q: (Public Knowledge):いくつかの章の 対案について触れていたが、知的所有権と著作権に対案はあるのか?
 A: まだカッコ(※未定の文言)がある章については対案を協議することはない。特許権について何か違う提案をするのか、また修正案にするか、対案にするかなどは今後決定する。未解決の問題やカッコが残っているすべての章について、相違点を埋めるためのなんらかの提案をしなければならない。これまではGIと商標について議論してきた。文言については溝をなくすための妥協もしてきた。対案になるかはわからないが何らかの提案を出し、妥協点を見いだせるよう努めていくつもりだ。

Q: 対案は米国から提出されるのか、他の国々からも出されるのか?
A: どの国もあらゆる未解決事項についてそれぞれ言いたいことがある。あるいは我々がだれかほかの誰かの提案を支持することもあるだろう。

Q:「税関手続き」の章について現在どこまで進展しているのか?「税関手続き」の章に、繊維および衣料品の項目が入るのか、それとも付属文書になるのか?
A:これまで繊維は「税関手続き」の問題としてではなく、別の分野で議論してきた。「税関手続き」の章は進捗が早く、各国が持ち帰って検討する事項がいくつか残っているだけだ。特に、急送便については顕著な進展が見られた。他の問題に比べ大幅に進んでいるわけではないもののかなりうまくいっており、このまま妥結に向かってほしいと願っている。

Q:他のTPP交渉国によって認められているUSCT Pat プログラムのような、信頼できる貿易事業者プログラムの相互承認について話し合いはあったのか?
A:わからない。確認の上、折り返し連絡する。

Q(パブリックシチズン)リースバーグ・ラウンドの利害関係者説明会で「RDC(鉄道開発コーポレーション)対グアテマラ」判決がもたらす影響についての質問があった。裁判所は訴訟事件摘要書の中で、公正で公平な扱いを裁定する国際慣習法を構成しているものに関連して、米国側の申し立てを棄却したことから、当判決の影響(含意)について(どう思うか)という質問だった。あの時、USTR(米国通商代表部)は当判決について検討中であるとの回答だったが、以降、より多く検討する時間があったはずだ。TPP投資交渉でどのようにこの問題を考慮するか、何か洞察は深められたのか?
A:議論を重ねてきたがまだ決着していない。検討中だ。

Q(シエラクラブ) ご承知の通り、「投資」の章は地元の環境や健康を守る政府の権能を弱体化させるのではないか、という懸念がいまも大いにある。TPPには、その他の米国FTA同様に「例外」の章があるものと理解している。これまでの米国FTAGATT20条(関税と貿易に関する一般協定)もしくはガGATS14条(サ-ビス貿易に関する一般協定)の例外規定を「投資」の章に適用させなかったが、米国が今までの方法と決別し、健康と環境の例外規定をTPP「投資」の章に適用させることを前向きに考える、という可能性はあるのか?
A:現時点では我々の提案には含まれてない。

Q(シエラクラブ) 健康と環境の例外規定については、議論されてきたのか?米国が考慮する可能性はあるのか?
A:この件については十分に議論し、必要ないということで一致した。

Q(シエラクラブ) 現在進行中の非公式中間会合、もしくは予定されている会合はあるのか?カナダとメキシコは含まれるのか?
A:メキシコで規制制度間整合性および開発の横断的問題に関する中間会合が予定されている。日程についてはまだ詰めているところだ。メキシコとカナダは来週の時点で、すべて(の協議)に加わることになろう。

Q(Burcu Kilicパブリックシチズン) 2013年について、予定は?
A:来年の1月か3月に暫定的に計画されている中間会合があるが、会合であれ中間会合であれ、具体的な計画は立っていない。交渉国のことを考えると1月は難しいかもしれない。こうしたことも12月に決定するだろう。

Q(パブリックシチズン) 交渉会合の日程についてはどうか?
A:お知らせできることはない。

Q:「原産地規則」の章は輸入関税の還付問題を扱うのか?
A:扱う。この章の未解決の問題の1つである。

Q:議論されるのだろうか?
A:議論する。交渉会合では毎回議論されているが―まだ、未解決である。

Q(パブリックシチズン) SOE(国有企業に関する)条文について支持がないと聞いているが、SOE条文は米国にとって最重要事項なのか?SOE条文の核心的内容は何か?
A:我々は「一時的入国」の章の交渉に参加しているところだ。手続きについて議論しており、市場参入についての議論ではない。これらは、相手国が参加することになる一時的入国の第4モード市場アクセス(※サービス貿易の4様態のひとつ。加盟国のアーティストなどサービス提供者が他の加盟国に行き、サービスを提供する様態)について規定している付属文書とは別個のものである。市場アクセスに関する約束の具体的な段取りについてはまだ合意していない。米国は連邦議会によってこの10年間、市場アクセス交渉を禁じられてきた。このことは交渉を始める前から知られており、そのようななかで我々は進めている。

Q(アメリカン大学) 交渉のテーブルにのせられている制限と例外に関する提案について交渉国からの反応はあったのか?また、この分野は円滑に進んでいるのか、それとも論争があるのか?
A:今回のラウンドで、最初の協議があったばかりだ。現時点で敢えて論争があるとは言わないが、まだほとんど進んでいない。

Q(パブリックノレッジ) USTRTPPに大統領貿易促進権限(TPA)を求めるかどうか決定したのか?
A:この件について、現段階では詳細を話し合っていない。然るべき時に進めるつもりだが、まだその段階ではない。

Q( パブリックノレッジ) 「然るべき時」が意味するところをピンとくるように言ってほしい。
A:政権が今こそ最適と決断する時だ―それは政治主導の(政府高官による)政策決定である。

Q(パブリックシチズン)  生物製剤の独占権は暫定的に入ったものだったが、提案事項の一部にするのか、それとも「12年(への特許期間延長)」を交渉のテーブルにのせるのか? 毎日のように「12年」についての記事や論説が書かれている。USTRTPPで「12年」を提案するつもりなのか?
A:何通Eメールをもらったとか、そういう類の問題ではない。いずれ、協議をして決定することになる。(回答したくないようだ)

Q(ジェサ・ベイナー、パブリックシチズン) SOE(国有企業に関する)条文への支持がないと聞いているが、SOE条文は米国にとって最重要事項なのか?SOE条文の核心的内容は何か?
A:交渉における私たちの立場を知りたいということか?確かに米国にとっての優先事項である。これが今私にできる唯一のコメントだ。

USTR担当者:こんなところかな
バーバラ:そうですね、前回の埋め合わせでしょう

(翻訳:清水亮子、小幡詩子   監修:廣内かおり)