TPP分析報告書第4バージョンが公開されました。
http://notppaction.blogspot.jp/2016/03/tpp.html
140ページを超えるので、個々の問題意識に沿って関係するところを見つけるなどして読み込んでいただけたらと思います。バージョンごとに加筆修正しているので、最新版を活用願います。外部への拡散は歓迎です。
また、膨大な報告書からエッセンスを選んで、手のひらサイズ10数ページにまとめたリーフレットを作成しました。イラストを使ってTPP協定をわかりやすく解説しています。ぜひ各地で配布して拡散しましょう!
【利用方法・購入のご案内】
http://notppaction.blogspot.jp/p/news.html
編集・発行:TPPテキスト分析チーム
発行:2016年3月30日
タブロイド8つ折り/16ページ
2016年4月7日木曜日
2016年2月11日木曜日
TPP協定文の分析レポートを公表しました
STOP TPP!! 市民アクションの構成団体を含む市民団体・農業団体・労働組合などは11月以降、TPPの英文の条文テキストを読み、分析を進めてきました。そして報告書を発表しました。
■ TPP協定文の分析レポートを公表しました(PARC)
http://www.parc-jp.org/teigen/2016/tpptext201601.html
<以下、HPより転載>
昨年10月に「大筋合意」をし、11月5日にTPP暫定協定文が公開されました(日本政府による協定文の仮訳発表は2016年1月7日)。
TPPは農産品の関税だけの問題でなく、投資や金融、サービス貿易全般、食の安心・安全も含んでおり、さらには国有企業や電子商取引などこれまで貿易協定になかった分野もカヴァーする実に多岐にわたる内容です。今後国会でもTPP協定が議論されるわけですが、付属書や二国間交換文書も含めた十分な情報開示がない状態が長引くことは、日本にとってのデメリットや国民の懸念が置き去りにされたまま審議が進むことにもなりかねません。
私たちTPPに強い懸念を持つ市民団体・農業団体・労働組合などは11月以降、英文の条文テキスト各章を読み、分析するチームを立ち上げ約2か月間かけて問題点をまとめてまいりました。このたびその報告書(第1次版)を公開いたします。多くの方々と問題点を共有し、議論を深め、市民社会からの国会議員への働きかけを強める際の資料としてご活用いただければ幸いです。
【TPPテキスト分析チーム】(順不同)
山田正彦(元農林水産大臣、TPP交渉差止・違憲訴訟の会幹事長)
内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長)
近藤康男(TPPに反対する人々の運動)
和田聖仁(TPP交渉差止・違憲訴訟の会副代表、弁護士)
山浦康明(TPPに反対する人々の運動、明治大学)
東山 寛 (北海道大学准教授)
岡崎衆史(農民連国際部副部長)
坂口正明(全国食健連事務局長)
寺尾正之(全国保険医団体連合会)
布施恵輔(全労連国際局)
三雲崇正(TPP交渉差止・違憲訴訟の会、弁護士)他
【お問い合わせ等】
特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
担当:内田聖子
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
TEL.03-5209-3455 FAX.03-5209-3453
E-mail: office※parc-jp.org(※を@に変更して送信下さい)
■ TPP協定文の分析レポートを公表しました(PARC)
http://www.parc-jp.org/teigen/2016/tpptext201601.html
<以下、HPより転載>
昨年10月に「大筋合意」をし、11月5日にTPP暫定協定文が公開されました(日本政府による協定文の仮訳発表は2016年1月7日)。
TPPは農産品の関税だけの問題でなく、投資や金融、サービス貿易全般、食の安心・安全も含んでおり、さらには国有企業や電子商取引などこれまで貿易協定になかった分野もカヴァーする実に多岐にわたる内容です。今後国会でもTPP協定が議論されるわけですが、付属書や二国間交換文書も含めた十分な情報開示がない状態が長引くことは、日本にとってのデメリットや国民の懸念が置き去りにされたまま審議が進むことにもなりかねません。
私たちTPPに強い懸念を持つ市民団体・農業団体・労働組合などは11月以降、英文の条文テキスト各章を読み、分析するチームを立ち上げ約2か月間かけて問題点をまとめてまいりました。このたびその報告書(第1次版)を公開いたします。多くの方々と問題点を共有し、議論を深め、市民社会からの国会議員への働きかけを強める際の資料としてご活用いただければ幸いです。
【TPPテキスト分析チーム】(順不同)
山田正彦(元農林水産大臣、TPP交渉差止・違憲訴訟の会幹事長)
内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長)
近藤康男(TPPに反対する人々の運動)
和田聖仁(TPP交渉差止・違憲訴訟の会副代表、弁護士)
山浦康明(TPPに反対する人々の運動、明治大学)
東山 寛 (北海道大学准教授)
岡崎衆史(農民連国際部副部長)
坂口正明(全国食健連事務局長)
寺尾正之(全国保険医団体連合会)
布施恵輔(全労連国際局)
三雲崇正(TPP交渉差止・違憲訴訟の会、弁護士)他
【お問い合わせ等】
特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
担当:内田聖子
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
TEL.03-5209-3455 FAX.03-5209-3453
E-mail: office※parc-jp.org(※を@に変更して送信下さい)
2015年11月25日水曜日
12.9に『検証TPP ― 全国フォーラム』を参院会館にて開催
12.9『検証TPP ― 全国フォーラム』のご案内
<よびかけ>
さる10月5日、アトランタで開催されていたTPP交渉閣僚会合は、「大筋合意」を発表して閉幕しました。1カ月後の11月5日には、オバマ大統領が協定に署名する意向を議会に通知し、事態は進行しています。
ところが、徐々に公表されつつある「合意」内容を見ると、農産物関税の扱いは国会決議違反といわざるを得ないのではないでしょうか。さらに日米並行協議を含めルール問題の内容をみても、日本政府の説明とは異なり、多くの人たちが抱いてきた懸念が払拭されたとは思われません。政府は「合意」の全容も明らかにせず、国会承認もないのに、マスコミを使って「消費者には利益」「中小企業も活用できる」などの宣伝や事後対策論議をすすめています。速やかに全容を明らかにして、国民的議論に付すべきです。
この「フォーラム」では、入手可能な部分から見えるTPP「合意」の問題点を検証するとともに、今後全国でどのような運動をすすめるのかを交流し、考えます。
たくさんの方々の参加をよびかけます。
<よびかけ人>(50音順)
天笠啓祐(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表)
石田敦史(パルシステム生活協同組合連合会理事長)
内田聖子(アジア太平洋資料センターPARC事務局長)
加藤好一(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会会長理事)
菅野芳秀(TPPに反対する人々の運動共同代表・山形百姓)
坂口正明(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会事務局長)
鈴木宣弘(東京大学大学院教授)
住江憲勇(全国保険医団体連合会会長)
醍醐聰(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会よびかけ人)
田沼征彦(TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える岩手県民会議代表世話人)
中野和子(TPPに反対する弁護士ネットワーク事務局長)
庭野吉也(東都生活協同組合理事長)
原中勝征(TPP阻止国民会議代表世話人)
藤澤直広(滋賀県日野町長)
藤田和芳(株式会社大地を守る会代表取締役)
本田宏(外科医、医療制度研究会副理事長)
山田正彦(TPP差止・違憲訴訟の会幹事長)
山根香織(主婦連合会参与)
<開催要項>
1.日時:2015年12月9日(水)13時~17時
2.会場:参議院議員会館「講堂」
(*入館票は12時30分からロビーで配付します)
3.内容:(*現在報告者など調整中)
<第1部>「TPP『合意』を検証する」
報告①TPP交渉「合意」が意味するもの
報告②各分野で「懸念」はどうなるのか・・報告と質疑(数本)
=農業、医療の営利化、ISDと政府調達・国営企業、食の安全、著作権等
<第2部>「TPP協定の調印を止めるために」
報告③TPP協定・・今後の流れと運動課題-国際連帯も含め
討論=各地、国民各層で行われている運動交流と今後の取り組みについて
4.主催等:上記よびかけ人による開催とし、広く参加を呼びかけます。
5.参加申し込み:準備の都合もありますので、できるだけ事前に下記共同事務局のいずれかに、別紙を利用してFAXか、メールで都道府県・団体(所属がない場合は不要)・氏名をお知らせ下さい。
6.資料代:500円(当日会場にてご協力下さい)
7.共同事務局:
・TPP阻止国民会議(連絡先:山田正彦法律事務所)
千代田区平河町2-14-13 中津川マンション201(℡03-5211-6880 FAX03-5211-6886)
・STOP TPP!!市民アクション(連絡先:全国食健連)
渋谷区代々木2-5-5 新宿農協会館3階(℡03-3372-6112 FAX03-3370-8329)
Eメール:center※shokkenren.jp(※を@に変換)
以上
<よびかけ>
さる10月5日、アトランタで開催されていたTPP交渉閣僚会合は、「大筋合意」を発表して閉幕しました。1カ月後の11月5日には、オバマ大統領が協定に署名する意向を議会に通知し、事態は進行しています。
ところが、徐々に公表されつつある「合意」内容を見ると、農産物関税の扱いは国会決議違反といわざるを得ないのではないでしょうか。さらに日米並行協議を含めルール問題の内容をみても、日本政府の説明とは異なり、多くの人たちが抱いてきた懸念が払拭されたとは思われません。政府は「合意」の全容も明らかにせず、国会承認もないのに、マスコミを使って「消費者には利益」「中小企業も活用できる」などの宣伝や事後対策論議をすすめています。速やかに全容を明らかにして、国民的議論に付すべきです。
この「フォーラム」では、入手可能な部分から見えるTPP「合意」の問題点を検証するとともに、今後全国でどのような運動をすすめるのかを交流し、考えます。
たくさんの方々の参加をよびかけます。
<よびかけ人>(50音順)
天笠啓祐(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表)
石田敦史(パルシステム生活協同組合連合会理事長)
内田聖子(アジア太平洋資料センターPARC事務局長)
加藤好一(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会会長理事)
菅野芳秀(TPPに反対する人々の運動共同代表・山形百姓)
坂口正明(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会事務局長)
鈴木宣弘(東京大学大学院教授)
住江憲勇(全国保険医団体連合会会長)
醍醐聰(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会よびかけ人)
田沼征彦(TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える岩手県民会議代表世話人)
中野和子(TPPに反対する弁護士ネットワーク事務局長)
庭野吉也(東都生活協同組合理事長)
原中勝征(TPP阻止国民会議代表世話人)
藤澤直広(滋賀県日野町長)
藤田和芳(株式会社大地を守る会代表取締役)
本田宏(外科医、医療制度研究会副理事長)
山田正彦(TPP差止・違憲訴訟の会幹事長)
山根香織(主婦連合会参与)
<開催要項>
1.日時:2015年12月9日(水)13時~17時
2.会場:参議院議員会館「講堂」
(*入館票は12時30分からロビーで配付します)
3.内容:(*現在報告者など調整中)
<第1部>「TPP『合意』を検証する」
報告①TPP交渉「合意」が意味するもの
報告②各分野で「懸念」はどうなるのか・・報告と質疑(数本)
=農業、医療の営利化、ISDと政府調達・国営企業、食の安全、著作権等
<第2部>「TPP協定の調印を止めるために」
報告③TPP協定・・今後の流れと運動課題-国際連帯も含め
討論=各地、国民各層で行われている運動交流と今後の取り組みについて
4.主催等:上記よびかけ人による開催とし、広く参加を呼びかけます。
5.参加申し込み:準備の都合もありますので、できるだけ事前に下記共同事務局のいずれかに、別紙を利用してFAXか、メールで都道府県・団体(所属がない場合は不要)・氏名をお知らせ下さい。
6.資料代:500円(当日会場にてご協力下さい)
7.共同事務局:
・TPP阻止国民会議(連絡先:山田正彦法律事務所)
千代田区平河町2-14-13 中津川マンション201(℡03-5211-6880 FAX03-5211-6886)
・STOP TPP!!市民アクション(連絡先:全国食健連)
渋谷区代々木2-5-5 新宿農協会館3階(℡03-3372-6112 FAX03-3370-8329)
Eメール:center※shokkenren.jp(※を@に変換)
以上
2015年10月7日水曜日
【共同声明】国会決議違反のTPP「大筋合意」に強く抗議する
共同声明
国会決議違反のTPP「大筋合意」に強く抗議する
9月30日からアメリカのアトランタで開始されたTPP閣僚会合は、3度も延長されるという異例の事態の中、10月5日昼前(日本時間10月5日深夜)、「大筋合意」を発表して閉幕した。
安倍首相はこれを歓迎し、「日本のみならず、アジア太平洋の未来にとって大きな成果」と自画自賛しているが、とんでもない。
安倍内閣は、交渉参加以来2年余、国会決議が求める情報開示も、「保秘契約」を盾に拒否して秘密交渉を続けてきた。また、「大筋合意」で到達した内容は、国会決議が「除外又は再協議」とした米など主要農産品で、TPP輸入枠を設定して輸入増を受け入れるだけでなく、関税の大幅削減や一部関税撤廃を受け入れ、豚肉・牛肉ではセーフガード廃止の仕組みにさえ合意している。「関税撤廃に例外を勝ちとった」として、国会決議を守ったかのように語ることは、とうてい認められない。
農産品以外でも政府に都合のよい説明はあるが、これまで多くの懸念が表明されてきたISDs条項、自治体を含む政府調達の規定、国営企業の扱い等について、充分な説明が行われていない。
私たちは、今回の「大筋合意」は、明らかに国会決議に反するだけでなく、国民への説明責任も果たしていないもので、とうてい認める訳にはいかない。
「大筋合意」は、TPP交渉の終了を意味しない。TPA法に規定されるアメリカを含め、参加各国の国民、議会がこれを受け入れるかどうかにかかっている。政府は、国民と国会に速やかに「合意」の詳細を明らかにし、国民的な議論を保障すべきであり、国会も、主体的な立場で「大筋合意」を検証し、受け入れを拒むべきである。
2015年10月7日
醍醐 聰(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会よびかけ人)
中野和子(TPPに反対する弁護士ネットワーク事務局長)
山根香織(主婦連合会参与)
STOP TPP!!市民アクション 有志
醍醐 聰(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会よびかけ人)
中野和子(TPPに反対する弁護士ネットワーク事務局長)
山根香織(主婦連合会参与)
STOP TPP!!市民アクション 有志
9月30日からアメリカのアトランタで開始されたTPP閣僚会合は、3度も延長されるという異例の事態の中、10月5日昼前(日本時間10月5日深夜)、「大筋合意」を発表して閉幕した。
安倍首相はこれを歓迎し、「日本のみならず、アジア太平洋の未来にとって大きな成果」と自画自賛しているが、とんでもない。
安倍内閣は、交渉参加以来2年余、国会決議が求める情報開示も、「保秘契約」を盾に拒否して秘密交渉を続けてきた。また、「大筋合意」で到達した内容は、国会決議が「除外又は再協議」とした米など主要農産品で、TPP輸入枠を設定して輸入増を受け入れるだけでなく、関税の大幅削減や一部関税撤廃を受け入れ、豚肉・牛肉ではセーフガード廃止の仕組みにさえ合意している。「関税撤廃に例外を勝ちとった」として、国会決議を守ったかのように語ることは、とうてい認められない。
農産品以外でも政府に都合のよい説明はあるが、これまで多くの懸念が表明されてきたISDs条項、自治体を含む政府調達の規定、国営企業の扱い等について、充分な説明が行われていない。
私たちは、今回の「大筋合意」は、明らかに国会決議に反するだけでなく、国民への説明責任も果たしていないもので、とうてい認める訳にはいかない。
「大筋合意」は、TPP交渉の終了を意味しない。TPA法に規定されるアメリカを含め、参加各国の国民、議会がこれを受け入れるかどうかにかかっている。政府は、国民と国会に速やかに「合意」の詳細を明らかにし、国民的な議論を保障すべきであり、国会も、主体的な立場で「大筋合意」を検証し、受け入れを拒むべきである。
以上
2015年9月25日金曜日
日本と北米3ヶ国 自動車原産地規制で埋まらぬ溝
日本とNAFTAに参加する北米3か国(米国、カナダ、メキシコ)の間で、自動車および自動車部品の原産地規則に関する対立があります。現在残されているTPP交渉の主要対立点は、生物製剤の新薬データの保護期間、乳製品と自動車の原産地規則とされています。ところがニュー・ジーランドではキー首相もグローサー貿易担当相もここ2〜3日間、乳製品で大幅な目標を獲得することを諦めて国内を納得させるような発言が目立っています(次回の会合で合意できる内容が、我々が最大限獲得出来るもので、我が国にとって最良の結論だ)。
そして一方カナダでは総選挙で火花を散らしていることもあり、連日自動車の原産地規則問題が報道をにぎわしており、労組、地方自治体が反対の声を挙げています。米国・カナダの自動車業界はメキシコの輸出加工区に大きな投資をし、投資先の部品工場・自動車工場は米国とカナダが最重要の市場になっています。そしてただでさえ近年中国や東南アジアからの輸出に市場を奪われつつあります。自動車の原産地規則はほくべ3ヶ国にとって重要な問題であることは間違いありません。(2015年9月24日)(翻訳:田中 久雄/監修:廣内 かおり)
★ ★ ★
自動車部品産業界が交渉会合に先立ち、TPPの原産地規則に圧力2015年9月10日付インサイドUSトレード紙から
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)における自動車原産地規則に関する今週(9月9日~11日)の4カ国交渉会合に先立ち、米国と日本がすでに取決めたこの分野の原産地規則をより強力なものにすることを、米国自動車部品メーカーは求めた。しかし完成車については、両国が出した結果以上に厳しい原産地規則を明確に要求するには至っていない。
米国自動車・部品産業協会(MEMA)は、マイケル・フローマン米国通商代表への9月9日付けの書簡と、カナダとメキシコの同業者団体と共に3ヶ国政府に送付した9月8日付けの共同書簡の中で、自動車部品の30%という域内原産比率(RVC)に反対した。しかし、両書簡では、米国と日本が自動車完成品について定めた45%という域内原産比率に明確には反対しなかった。
日米間の取決めに、カナダとメキシコの政府は、域外調達の割合をあまりに大きく容認し過ぎているとして7月に拒否したが、それには最低基準に適合すれば自動的に域内調達と見なす7種類の自動車部品リストもまた含まれていた。(インサイド米国貿易、8月28日掲載版)
9月9日付の書簡では、MEMA代表兼最高経営責任者のスティーブ・ハンシュ(Steve Handchuh)は、域内原産比率をあまりに低くすると、TPP域内で操業している米国自動車部品製造業者と、その域外で操業している日本の製造業者との競争関係を悪化させるだろうとほのめかした。彼はフローマンに対して、確実に「自動車部品の原産地規則が、自動車の完成品のために成立させた合意を(反映する)」よう要請したが、両方の分野の具体的な域内原産比率はなにも提示しなかった。
3つの業界団体からの9月8日付の書簡では、米国、カナダ、メキシコの貿易担当大臣に対して、「自動車完成品の最終合意をすべて反映する、自動車部品の原産地規則」を要求するよう促しているが、そのことは、原産地規則が自動車と部品の双方に適用されるならば、50%以下の数字でも書簡の署名者は受け入れ可能との道を開いていることを表している。
部品メーカーは、日本、米国、メキシコ、カナダの交渉官が自動車の原産地規則に関する相違を縮めようと、今週ワシントンで共同会合を開催する時に合わせて圧力を強化した。同じ時期に、米国の上院財務委員会の3人の議員が、TPPの原産地規則を北米自由貿易協定で定められている62.5%と少なくとも同等にすることを要求た。
TPPにおける自動車問題の日本側の首席交渉官である森 健良は、水曜日(9月9日)午後に米国通商代表部次席代表代行ウェンディ―・カトラーとの会談を始めた。ワシントンには金曜日まで滞在する予定である。
カナダとメキシコの交渉官も木曜日と金曜日に協議に加わるだろうと、関係者は述べた。カナダの代表団はTPPの首席交渉官カーステン・ヒルマンが率いると、カナダ政府の広報官は話した。
他の交渉課題と同様に、カナダ政府の目標はカナダの製造業者が競争力を維持できる結果を確保することであると、その広報官は語った。
9月8日付けの書簡で初めて、米国、カナダ、メキシコの自動車部品製造業者は米日間の自動車の原産地規則の取決めに反対を明らかにした。しかし、カナダ自動車部品製造業者協会(APMA)とメキシコ全国自動車部品産業(INA)は、NAFTAが必要条件とする「純費用方式」(net cost method)による自動車部品に対する50%の現地調達比率を求める共同書簡を、8月20日に両政府に対し送付している。(純費用方式:取引価格から中間費用を除いた純費用から非原産材料価格を差し引き、純費用で割り算をした%)
しかしながら、MEMA、APMA、INAにより署名された9月8日付け書簡では、これら団体が求めているはっきりした数字を確認するには至らなかった。注目すべきは3団体が、50%の域内原産比率という自動車完成品の原産地規則を求めるNAFTA域内の自動車製造業者による提案を支持するということである。この点で、共同書簡は50%の域内原産比率というカナダとメキシコの自動車部品メーカーの断固たる要求とMEMAの柔軟な立場の双方に配慮しているように思える。
9月10日のインタビューで、MEMAの政府問題担当上級副代表アン・ウィルソンは、自分たちの団体がカナダやメキシコの同業者と特に同じような立場をとっているものではないことを認め、交渉の最終段階で重要なことは、現在協議されている内容が「過去の歴史(past history)」に反していると述べることであると語った。
彼女はまた、MEMAは自動車の完成品に対して域内原産比率の最低基準とはどうあるべきかという問題に明確な立場を示さないだろう、と語った。MEMAの柔軟な立場は注目すべきことであるが、その理由は、既に米国自動車メーカーは米日間で合意された自動車完成品の45%域内原産比率を受け入れるつもりであると示唆しているからである。
MEMAからの書簡は、自動車部品製造業者は74万人の直接雇用を伴う米国で最大の製造業部門を構成していることを強調したものである。「強力な原産地規則は、すべての自動車製造業者に十分な供給基盤を提供し、同時に部品製造業者にとっては国内外における成長機会を守ることになるだろう」、とハンシュは書いている。
そして、弱い原産地規則は特に小規模な自動車部品製造業者への痛手になるだろうと主張している。規模の小さなMEMAメンバーはメキシコに工場を持ち、ある程度の生産能力を他のTPPの国々に拡大していると伝えられているが、それでも米国内での事業における日本との競争の可能性に不安を覚えている、と書簡で述べている。
「それゆえ、米国通商代表部は警戒を怠らず、部品製造業者が国内及びTPP各国において生産能力を築き、維持する機会を提供しなければならない。原産地規則は、米国における部品製造業者に損失を及ぼすために使われてはならない」と、ハンシュは書いている。
自動車部品の原産地規則が低い水準であれば、北米やTPP域内の他の場所で事業展開をしている米国の製造業者に対してではなく、現在TPPの域外で事業展開しているかもしれない日本の部品製造業者に成長の機会を与えることになり、競争条件を悪化させることになるだろう、とウィルソンは警告した。(翻訳:田中 久雄/監修:廣内 かおり)
そして一方カナダでは総選挙で火花を散らしていることもあり、連日自動車の原産地規則問題が報道をにぎわしており、労組、地方自治体が反対の声を挙げています。米国・カナダの自動車業界はメキシコの輸出加工区に大きな投資をし、投資先の部品工場・自動車工場は米国とカナダが最重要の市場になっています。そしてただでさえ近年中国や東南アジアからの輸出に市場を奪われつつあります。自動車の原産地規則はほくべ3ヶ国にとって重要な問題であることは間違いありません。(2015年9月24日)(翻訳:田中 久雄/監修:廣内 かおり)
★ ★ ★
自動車部品産業界が交渉会合に先立ち、TPPの原産地規則に圧力2015年9月10日付インサイドUSトレード紙から
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)における自動車原産地規則に関する今週(9月9日~11日)の4カ国交渉会合に先立ち、米国と日本がすでに取決めたこの分野の原産地規則をより強力なものにすることを、米国自動車部品メーカーは求めた。しかし完成車については、両国が出した結果以上に厳しい原産地規則を明確に要求するには至っていない。
米国自動車・部品産業協会(MEMA)は、マイケル・フローマン米国通商代表への9月9日付けの書簡と、カナダとメキシコの同業者団体と共に3ヶ国政府に送付した9月8日付けの共同書簡の中で、自動車部品の30%という域内原産比率(RVC)に反対した。しかし、両書簡では、米国と日本が自動車完成品について定めた45%という域内原産比率に明確には反対しなかった。
日米間の取決めに、カナダとメキシコの政府は、域外調達の割合をあまりに大きく容認し過ぎているとして7月に拒否したが、それには最低基準に適合すれば自動的に域内調達と見なす7種類の自動車部品リストもまた含まれていた。(インサイド米国貿易、8月28日掲載版)
9月9日付の書簡では、MEMA代表兼最高経営責任者のスティーブ・ハンシュ(Steve Handchuh)は、域内原産比率をあまりに低くすると、TPP域内で操業している米国自動車部品製造業者と、その域外で操業している日本の製造業者との競争関係を悪化させるだろうとほのめかした。彼はフローマンに対して、確実に「自動車部品の原産地規則が、自動車の完成品のために成立させた合意を(反映する)」よう要請したが、両方の分野の具体的な域内原産比率はなにも提示しなかった。
3つの業界団体からの9月8日付の書簡では、米国、カナダ、メキシコの貿易担当大臣に対して、「自動車完成品の最終合意をすべて反映する、自動車部品の原産地規則」を要求するよう促しているが、そのことは、原産地規則が自動車と部品の双方に適用されるならば、50%以下の数字でも書簡の署名者は受け入れ可能との道を開いていることを表している。
部品メーカーは、日本、米国、メキシコ、カナダの交渉官が自動車の原産地規則に関する相違を縮めようと、今週ワシントンで共同会合を開催する時に合わせて圧力を強化した。同じ時期に、米国の上院財務委員会の3人の議員が、TPPの原産地規則を北米自由貿易協定で定められている62.5%と少なくとも同等にすることを要求た。
TPPにおける自動車問題の日本側の首席交渉官である森 健良は、水曜日(9月9日)午後に米国通商代表部次席代表代行ウェンディ―・カトラーとの会談を始めた。ワシントンには金曜日まで滞在する予定である。
カナダとメキシコの交渉官も木曜日と金曜日に協議に加わるだろうと、関係者は述べた。カナダの代表団はTPPの首席交渉官カーステン・ヒルマンが率いると、カナダ政府の広報官は話した。
他の交渉課題と同様に、カナダ政府の目標はカナダの製造業者が競争力を維持できる結果を確保することであると、その広報官は語った。
9月8日付けの書簡で初めて、米国、カナダ、メキシコの自動車部品製造業者は米日間の自動車の原産地規則の取決めに反対を明らかにした。しかし、カナダ自動車部品製造業者協会(APMA)とメキシコ全国自動車部品産業(INA)は、NAFTAが必要条件とする「純費用方式」(net cost method)による自動車部品に対する50%の現地調達比率を求める共同書簡を、8月20日に両政府に対し送付している。(純費用方式:取引価格から中間費用を除いた純費用から非原産材料価格を差し引き、純費用で割り算をした%)
しかしながら、MEMA、APMA、INAにより署名された9月8日付け書簡では、これら団体が求めているはっきりした数字を確認するには至らなかった。注目すべきは3団体が、50%の域内原産比率という自動車完成品の原産地規則を求めるNAFTA域内の自動車製造業者による提案を支持するということである。この点で、共同書簡は50%の域内原産比率というカナダとメキシコの自動車部品メーカーの断固たる要求とMEMAの柔軟な立場の双方に配慮しているように思える。
9月10日のインタビューで、MEMAの政府問題担当上級副代表アン・ウィルソンは、自分たちの団体がカナダやメキシコの同業者と特に同じような立場をとっているものではないことを認め、交渉の最終段階で重要なことは、現在協議されている内容が「過去の歴史(past history)」に反していると述べることであると語った。
彼女はまた、MEMAは自動車の完成品に対して域内原産比率の最低基準とはどうあるべきかという問題に明確な立場を示さないだろう、と語った。MEMAの柔軟な立場は注目すべきことであるが、その理由は、既に米国自動車メーカーは米日間で合意された自動車完成品の45%域内原産比率を受け入れるつもりであると示唆しているからである。
MEMAからの書簡は、自動車部品製造業者は74万人の直接雇用を伴う米国で最大の製造業部門を構成していることを強調したものである。「強力な原産地規則は、すべての自動車製造業者に十分な供給基盤を提供し、同時に部品製造業者にとっては国内外における成長機会を守ることになるだろう」、とハンシュは書いている。
そして、弱い原産地規則は特に小規模な自動車部品製造業者への痛手になるだろうと主張している。規模の小さなMEMAメンバーはメキシコに工場を持ち、ある程度の生産能力を他のTPPの国々に拡大していると伝えられているが、それでも米国内での事業における日本との競争の可能性に不安を覚えている、と書簡で述べている。
「それゆえ、米国通商代表部は警戒を怠らず、部品製造業者が国内及びTPP各国において生産能力を築き、維持する機会を提供しなければならない。原産地規則は、米国における部品製造業者に損失を及ぼすために使われてはならない」と、ハンシュは書いている。
自動車部品の原産地規則が低い水準であれば、北米やTPP域内の他の場所で事業展開をしている米国の製造業者に対してではなく、現在TPPの域外で事業展開しているかもしれない日本の部品製造業者に成長の機会を与えることになり、競争条件を悪化させることになるだろう、とウィルソンは警告した。(翻訳:田中 久雄/監修:廣内 かおり)
2015年9月12日土曜日
地理的表示に関するTPPの暫定合意 交渉済み協定を例外措置に
地理的表示はEU諸国が有名ですが、日本でも昨年6月に地理的表示法(特定農産物等の名称の保護に関する法律)制定、本年5月に施行規則が策定されました。農水省も日本の農産物のブランドを守り育てるためにその推進に力を入れています。同時に農業の競争力を強化し持続させる上でもその普及を図ろうとしています。
本件についての日本の報道はほぼ見られません。知的財産権としての地理的表示の問題は、左記のマウイでの閣僚会合で大筋合意がされています。ここでもEUとのEPA交渉で重要な課題になっているにも関わらず、日本は対EUの戦略との整合性をどこまで確保すべく主張を展開しているのかどうかが問われている筈ですが、あまりその辺りが聞こえてきません。
Inside US Tradeが8月20日付で掲載しているものを「市民アクション」翻訳チームが翻訳しました。(2015年9月9日)(翻訳:池上 明/監修:廣内 かおり)
■ □ ■ □ ■
地理的表示に関するTPPの暫定合意、交渉済みまたは発効済みの貿易協定を例外措置に
2015年8月20日付けInside US Trade Daily News
環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加国は、地理的表示(GI)の規定に関して先月、暫定合意に達した。消息筋によると、新しく地理的表示を保護しようとするTPP参加国は国内協議の手順を踏むまなければならないが、すでに発効済みまたは交渉済みの国際協定の下で保護されている地理的表示はその要件を免除される。
この暫定合意は、先月のマウイ閣僚会議で合意された。まだ条文のかたちにはなっていないが、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドにとって部分的な勝利だったと伝えられている。これらの国々は、地理的表示として、チーズやその他食品の名称を保護できるよう世界中の国々を巻き込んでいるEUの圧力に、TPPを通じて対抗しようとしてきた。
しかし、その勝利はあくまでも部分的でしかなかった。国によっては、すでに発効済みまたは交渉済みのEUとの自由貿易協定の下で保護されている地理的表示について、国内協議の要件を免除されることを確保できたからだ、と消息筋は述べている。
この免除措置の恩恵を受けるのはメキシコ、チリ、カナダとベトナムだろう。すでにEUとのFTAを発効済みであるか交渉済みだからだ。しかし日本とマレーシアはまだEUとの自由貿易を交渉中なので含まれない。
この国内協議の要件として、TPP参加国は地理的表示保護の適用を承認するための、明確でひらかれた手続き方法を提示することが求められる。そしてこの手続きには、利害関係のある人・政府が地理的表示保護指定に異議を申し立てる機会を与えることが含まれる。
また、ほかにも、結果的に部分的な勝利だったと考えられる側面がある。消息筋によれば、アメリカは2つの点で、以前に求めたものに比べ効力の弱い地理的表示規制に同意することになるという。
第1に、アメリカが求めていたのは、地理的表示保護の適用に異議申し立てができる国内協議の手続きを提供する義務に加えて、利害関係者が登録済みの地理的表示の取り消しを請求できるという手続きだった。
しかし、マウイでの暫定合意は、主に取り消しよりも異議申し立てを念頭においていると関係者は述べている。さらに、アメリカはまだ正式に取り消し手続きの案を取り下げてはいないが、最終的にはそうなる見込みが高いとも語った。
アメリカが妥協したと見られる第2の点は、地理的表示保護の適用を拒否するかまたは既存の地理的表示を取り消す具体的な根拠をTPPの条文のなかで記しておくべきだ、というアメリカの要求だ。
TPPの各参加国は、地理的表示承認時の国内協議の手続きを独自に整備できることになるだろうと、消息筋は述べた。同様に二人の米国業界筋も、異議申し立てと取り消しの根拠にかかる事項についてはアメリカが譲歩すると見ていることを示唆した。その一人によれば、アメリカの交渉担当者は、その主張を維持できないと数ヵ月前に明言していた。
これだけ明らかに妥協しているにもかかわらず、アメリカ産業界を代表する人々は、食品の一般名称と考えられる用語を使用し続けることを望む、生産者の権利を保護する方向へ確実に前進したとして、マウイの交渉結果を支持している模様だ。
同様に消息筋の一人は、アメリカはどの国が考えているよりも、TPPでは地理的表示について多くを得たと述べた。
マウイでの地理的表示に関する暫定合意は、7月30日(会議最終日の前日)の夜、閣僚がこの問題を検討したあとに出てきた。その時の消息筋によれば、閣僚たちが問題解決の方向性を交渉担当者に示し、夜遅くなって合意が成立したとのことだ。
TPP参加国は、他の国際協定の下で保護されている地理的表示をこの新しい規則から除外するかどうかについて、そしてその範囲について長く争ってきた。貿易担当大臣は2014年10月のシドニー閣僚会合でこの問題を検討したが、解決できなかった。
漏えいされた5月11日時点での知的所有権の章によれば、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドと、その3ヶ国の要求に反対していた日本、ベトナム、マレーシア、カナダ、メキシコ、チリとの間で、国際合意の下で保護されている地理的表示がどのように扱われなければならないかという点について、まだかなりの意見の相違があったことがうかがえる。
ノレッジ・エコロジー・インターナショナルによって漏えいされた草案によると、その時点での未解決事項の1つは、どの国際協定が国内協議要件を免除されるのかあるいはされないのかを決定する「線引きの期日」の問題であり、3つの選択肢が提示されていた。
*注:ノレッジ・エコロジ-KEI
人類にとってより効率的で公平な知的資源の管理のあり方を研究しているNGO。
1番目の選択肢は、2013年12月31日以前に妥結したか大筋で合意した協定を免除するもので、アメリカが支持し、日本、ベトナム、マレーシア、メキシコ、チリが反対していた。
2番目は、TPP発効以前に妥結あるいは合意された協定を免除するものだ。消息筋が述べているように、マウイでの交渉結果はこれに則しているようにみえる。3番目は、TPP発効の3年後までに妥結する協定にまで、措置を拡大するものだ。
最初の選択肢では、2013年10月に大筋合意が発表されたカナダ-EU間の自由貿易協定CETAが含まれるが、8月4日に決着したベトナム-EU間の貿易協定は含まれない。
CETAの下では、カナダは145のEUの地理的表示を保護することに合意した。この中には、アメリカの酪農業界が一般名称だと主張して論争の的になっているチーズの名称も複数含まれている。EUとカナダは2013年10月に大筋合意を宣言したが、ほぼ2年後の今もまだ正式に交渉は妥結していない。
欧州委員会の8月4日の記録によれば、EUとの協定においてベトナムはパルミジャーノ・レッジャーノやロックフォールなどのチーズを含む食品・飲料で、169のEUの地理的表示を認めることに同意した。しかしそのリストはまだ公表されていない。チリとメキシコはEUとの貿易協定で、ワインと蒸留酒に関する特定のEUの地理的表示を保護することに同意した。協定はすでに発効しているが、消息筋によれば、これらの合意は、別の地理的表示が後日加えられることを認めている。
マウイで作成された暫定合意の中では、参加国で地理的表示が新たに加えられる場合もTPPの下で要求される国内協議手続きの対象になる、と消息筋は語った。
また漏えい草案によれば、地理的表示への異議申し立てまたは取り消しの具体的な根拠について意見の相違があることも明らかだ。 条文QQ.D.3には、TPP参加国が地理的表示の適用を拒否できる3つの根拠が明記されている。最初の2つはベトナムが反対しており、既存の商標または地理的表示との混同を引き起こす可能性がある場合に、地理的表示の適用は拒否され得ると唱っている。第3の根拠は、地理的表示が「その加盟国の領域において、関連商品の通称として、その国で広く使われている言葉で慣習的な」用語である場合だ。こうした文言は、ワイン類への適用に関する注書きを除いて、大方合意されているようだ。
*注:地理的表示とは
「ある商品に関し、その確立した品質、社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において、当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示をいう」と規定されており、欧州各国は全般に地理的表示の保護に積極的であるが、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの歴史の新しい国々は、ヨーロッパに比して、歴史的に伝統ある地名を由来とするブランド品を持たないために、消極的である。
(翻訳:池上 明/監修:廣内 かおり)
本件についての日本の報道はほぼ見られません。知的財産権としての地理的表示の問題は、左記のマウイでの閣僚会合で大筋合意がされています。ここでもEUとのEPA交渉で重要な課題になっているにも関わらず、日本は対EUの戦略との整合性をどこまで確保すべく主張を展開しているのかどうかが問われている筈ですが、あまりその辺りが聞こえてきません。
Inside US Tradeが8月20日付で掲載しているものを「市民アクション」翻訳チームが翻訳しました。(2015年9月9日)(翻訳:池上 明/監修:廣内 かおり)
地理的表示に関するTPPの暫定合意、交渉済みまたは発効済みの貿易協定を例外措置に
2015年8月20日付けInside US Trade Daily News
環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加国は、地理的表示(GI)の規定に関して先月、暫定合意に達した。消息筋によると、新しく地理的表示を保護しようとするTPP参加国は国内協議の手順を踏むまなければならないが、すでに発効済みまたは交渉済みの国際協定の下で保護されている地理的表示はその要件を免除される。
この暫定合意は、先月のマウイ閣僚会議で合意された。まだ条文のかたちにはなっていないが、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドにとって部分的な勝利だったと伝えられている。これらの国々は、地理的表示として、チーズやその他食品の名称を保護できるよう世界中の国々を巻き込んでいるEUの圧力に、TPPを通じて対抗しようとしてきた。
しかし、その勝利はあくまでも部分的でしかなかった。国によっては、すでに発効済みまたは交渉済みのEUとの自由貿易協定の下で保護されている地理的表示について、国内協議の要件を免除されることを確保できたからだ、と消息筋は述べている。
この免除措置の恩恵を受けるのはメキシコ、チリ、カナダとベトナムだろう。すでにEUとのFTAを発効済みであるか交渉済みだからだ。しかし日本とマレーシアはまだEUとの自由貿易を交渉中なので含まれない。
この国内協議の要件として、TPP参加国は地理的表示保護の適用を承認するための、明確でひらかれた手続き方法を提示することが求められる。そしてこの手続きには、利害関係のある人・政府が地理的表示保護指定に異議を申し立てる機会を与えることが含まれる。
また、ほかにも、結果的に部分的な勝利だったと考えられる側面がある。消息筋によれば、アメリカは2つの点で、以前に求めたものに比べ効力の弱い地理的表示規制に同意することになるという。
第1に、アメリカが求めていたのは、地理的表示保護の適用に異議申し立てができる国内協議の手続きを提供する義務に加えて、利害関係者が登録済みの地理的表示の取り消しを請求できるという手続きだった。
しかし、マウイでの暫定合意は、主に取り消しよりも異議申し立てを念頭においていると関係者は述べている。さらに、アメリカはまだ正式に取り消し手続きの案を取り下げてはいないが、最終的にはそうなる見込みが高いとも語った。
アメリカが妥協したと見られる第2の点は、地理的表示保護の適用を拒否するかまたは既存の地理的表示を取り消す具体的な根拠をTPPの条文のなかで記しておくべきだ、というアメリカの要求だ。
TPPの各参加国は、地理的表示承認時の国内協議の手続きを独自に整備できることになるだろうと、消息筋は述べた。同様に二人の米国業界筋も、異議申し立てと取り消しの根拠にかかる事項についてはアメリカが譲歩すると見ていることを示唆した。その一人によれば、アメリカの交渉担当者は、その主張を維持できないと数ヵ月前に明言していた。
これだけ明らかに妥協しているにもかかわらず、アメリカ産業界を代表する人々は、食品の一般名称と考えられる用語を使用し続けることを望む、生産者の権利を保護する方向へ確実に前進したとして、マウイの交渉結果を支持している模様だ。
同様に消息筋の一人は、アメリカはどの国が考えているよりも、TPPでは地理的表示について多くを得たと述べた。
マウイでの地理的表示に関する暫定合意は、7月30日(会議最終日の前日)の夜、閣僚がこの問題を検討したあとに出てきた。その時の消息筋によれば、閣僚たちが問題解決の方向性を交渉担当者に示し、夜遅くなって合意が成立したとのことだ。
TPP参加国は、他の国際協定の下で保護されている地理的表示をこの新しい規則から除外するかどうかについて、そしてその範囲について長く争ってきた。貿易担当大臣は2014年10月のシドニー閣僚会合でこの問題を検討したが、解決できなかった。
漏えいされた5月11日時点での知的所有権の章によれば、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドと、その3ヶ国の要求に反対していた日本、ベトナム、マレーシア、カナダ、メキシコ、チリとの間で、国際合意の下で保護されている地理的表示がどのように扱われなければならないかという点について、まだかなりの意見の相違があったことがうかがえる。
ノレッジ・エコロジー・インターナショナルによって漏えいされた草案によると、その時点での未解決事項の1つは、どの国際協定が国内協議要件を免除されるのかあるいはされないのかを決定する「線引きの期日」の問題であり、3つの選択肢が提示されていた。
*注:ノレッジ・エコロジ-KEI
人類にとってより効率的で公平な知的資源の管理のあり方を研究しているNGO。
1番目の選択肢は、2013年12月31日以前に妥結したか大筋で合意した協定を免除するもので、アメリカが支持し、日本、ベトナム、マレーシア、メキシコ、チリが反対していた。
2番目は、TPP発効以前に妥結あるいは合意された協定を免除するものだ。消息筋が述べているように、マウイでの交渉結果はこれに則しているようにみえる。3番目は、TPP発効の3年後までに妥結する協定にまで、措置を拡大するものだ。
最初の選択肢では、2013年10月に大筋合意が発表されたカナダ-EU間の自由貿易協定CETAが含まれるが、8月4日に決着したベトナム-EU間の貿易協定は含まれない。
CETAの下では、カナダは145のEUの地理的表示を保護することに合意した。この中には、アメリカの酪農業界が一般名称だと主張して論争の的になっているチーズの名称も複数含まれている。EUとカナダは2013年10月に大筋合意を宣言したが、ほぼ2年後の今もまだ正式に交渉は妥結していない。
欧州委員会の8月4日の記録によれば、EUとの協定においてベトナムはパルミジャーノ・レッジャーノやロックフォールなどのチーズを含む食品・飲料で、169のEUの地理的表示を認めることに同意した。しかしそのリストはまだ公表されていない。チリとメキシコはEUとの貿易協定で、ワインと蒸留酒に関する特定のEUの地理的表示を保護することに同意した。協定はすでに発効しているが、消息筋によれば、これらの合意は、別の地理的表示が後日加えられることを認めている。
マウイで作成された暫定合意の中では、参加国で地理的表示が新たに加えられる場合もTPPの下で要求される国内協議手続きの対象になる、と消息筋は語った。
また漏えい草案によれば、地理的表示への異議申し立てまたは取り消しの具体的な根拠について意見の相違があることも明らかだ。 条文QQ.D.3には、TPP参加国が地理的表示の適用を拒否できる3つの根拠が明記されている。最初の2つはベトナムが反対しており、既存の商標または地理的表示との混同を引き起こす可能性がある場合に、地理的表示の適用は拒否され得ると唱っている。第3の根拠は、地理的表示が「その加盟国の領域において、関連商品の通称として、その国で広く使われている言葉で慣習的な」用語である場合だ。こうした文言は、ワイン類への適用に関する注書きを除いて、大方合意されているようだ。
*注:地理的表示とは
「ある商品に関し、その確立した品質、社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において、当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示をいう」と規定されており、欧州各国は全般に地理的表示の保護に積極的であるが、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの歴史の新しい国々は、ヨーロッパに比して、歴史的に伝統ある地名を由来とするブランド品を持たないために、消極的である。
(翻訳:池上 明/監修:廣内 かおり)
カナダ、メキシコの自動車部品メーカーがTPPからの離脱を警告
カナダの新聞が報じたカナダとメキシコの業界による、日米自動車協議に対する強い抗議と批判の声を翻訳チームで翻訳しました。この記事に続いてインサイド・ユーエス・トレード紙やポリティコが更に詳しい記事で、この問題提起に関して“原産地規則の算出方法などを含む批判の声を掲載しました。
TPP交渉を書簡する甘利 明経済・財政再生相が乳製品とニュージーランドが大筋合意先送りの主因だとしているのは、奇妙にも日本の自動車業界にとって不利益となることを批判しないのは不思議です。まるで、日米の身勝手な、そして稚拙な交渉主導が起こした対立を目立たないようにしているとのではないかとさえ思われてしまいます。(翻訳: 戸田 光子/監修:廣内 かおり)
■ □ ■ □ ■
カナダ、メキシコの自動車部品メーカーがTPPからの離脱を警告
(オタワーグローブ・アンド・メイル紙/2015年8月23日(日)付け→8月24日(月)最終更新)
合計で100万人近くの労働者を雇用するカナダとメキシコの自動車部品メーカーは、当該分野にとってのよりよい条件がないままTPPが決着されれば、製造業の雇用に悲惨な結果をもたらす、と警告している。
彼らは、日本政府が環太平洋の貿易協定をつくるための協議で模索している譲歩案について心配しているのだ。その譲歩案は、日本の自動車メーカーがTPP非参加国からかなりの部品を調達して、自動車と自動車部品を北米に無税で輸出することを許すことになるものだ。
カナダのエド・ファスト貿易相とメキシコのイルデフォンソ・グアハルド・ビジャレアル経済相に宛てた8月20日付けの書簡の中で、自動車部品メーカーはカナダとメキシコの政府がよりよい取決めを結べないならば、この分野は深刻な損害を被るだろうとの懸念を述べている。
「この条項が施行されれば、我々の企業と労働者は北米市場において競争力で不利な立場に置かれるだろう。我々の北米地域における事業に深刻な損害を与え、我々は事業を著しく縮小することを余儀なくされる可能性がある」と、カナダ自動車部品製造業協会(APMA)のフラビオ・ヴォルプ会長とメキシコの全国自動車部品製造業協会(Mexico’s Industria Nacional de Autopartes)のオスカル・アルディン執行副会長は書いている。
チリから日本まで広がる12カ国間の環太平洋交渉を先導している米国は、NAFTAの相手国であるカナダとメキシコに相談を持ち掛ける前に、暫定的に日本の要求に同意した。
カナダとメキシコの政府は、先月ハワイで行われたTPP交渉のマウイ会合の時にこのことを知ったのであり、このことが、米国政府が望んだように協定を妥結させる上で、大きな障害となることが明らかになった。
カナダ、メキシコそして米国の交渉官は、行き詰まりを打開するためつい先週(8月20日)も協議をしている。伝えられるところによれば米国は、米国における国内自動車販売台数がTPP違反のために落ち込むことがあれば、その時には、米国政府が日本車に対して関税を復活させることができるように、米国自身のための緊急措置を交渉している、とのことである。
カナダの高官は、TPPの自動車協議で自分たちにとって最大の問題の1つは、このことに関する米国と日本の政府間の暫定合意によって、輸入される部品及び車両により低いTPP域内部品調達率を許容するという、一連の適用除外が取り決められたことだと言う。
現在NAFTAの規定では、1台の自動車の62.5%がカナダ、米国あるいはメキシコに由来するのであれば、その3カ国へ課税なしに輸出することができる、と決められている。
カナダとメキシコの自動車分野の高官が求める最低限のTPPの部品調達規定は、消息筋によれば、交渉が行き詰まる前に日本と米国が暫定的に合意したという、部品では30%、軽量自動車(訳注:普通乗用車、バン、スポーツ用多目的車(SUV)などに相当する)では45%より高いというものである。日本の自動車メーカーは、原材料や部品をタイなどTPP交渉に参加していない国々のサプライ・チェーンから得られるようにしたいのだ。
ヴォルプ氏とアルディン氏は、自分たちの業界は過去20年以上にわたりカナダとメキシコに相当な投資をしてきたと言う。このことが「雇用、経済生産高、そして今日NAFTA 3カ国市場の全貿易の20%を占める産業を通して、カナダ、米国そしてメキシコの経済に利益をもたらす、活力ある自動車サプライ・チェーンを構築してきた。」と言う。
書簡ではカナダとメキシコ政府に対し、域内部品調達比率が50%以下の物品がTPP諸国から無関税で入ることを許すような、自動車部品の輸入に対する規定で決着することのないよう求めている。
「我々は自由市場を信奉しているが、公正で競争的な環境を強く求める」と、両協会の会長らは書いている。
「TPP交渉が最終段階に向かって進んでいることもあり、北米3カ国の市場に活力ある製造業を求めるこの目標を達成するため、これから数週間くらいのあいだに、皆さんと協議する機会があることを期待している。」
ファスト貿易相の広報官は、カナダの自動車部品メーカーという、国の経済の重要部門から出された懸念にコメントすることを拒否した。
広報官のリック・ロス氏は、カナダ政府は利害関係者の話に耳を傾けている、と述べるだけだ。
「何度も繰り返してきたように、我々はメディアを通してこの協定を交渉しようとは思わない」とロス氏は語った。
「我々の目標は常に、我が国の全地域にわたって、我が国経済の全分野に利益をもたらす野心的な成果を確実に手に入れることだ。我々はその目的を追求し続けていきたいと思っている」とファスト貿易相の広報官は語った
「首相はカナダ国民の利益を最優先にする協定にしか署名はしない。」
環太平洋連携協定には、合計で世界の経済生産高の40%を占める国々が含まれるが、その協定を世に送り出すための交渉は、7月末にハワイで合意に至ることができなかった。
今月初めに、オーストラリアのアンドリュー・ロッブ貿易・投資相は、残る2つの大きな障害は自動車と乳製品の輸入に関してカナダ、米国、日本そしてメキシコの間で合意がなされていないことだと述べ、これら4カ国が意見の相違を解消することができれば、その時は「2,3日の協議でこれを完結させることができると思う」と語った。
(翻訳:戸田 光子/監修:廣内 かおり)
【関連記事】
■首藤信彦氏が分析を掲載(「TPP違憲訴訟の会」サイト)
http://tpphantai.com/info/20150901-problem-of-auto-rules-and-future-tpp-negotiations/
■(本記事の原文)
http://www.theglobeandmail.com/report-on-business/international-business/canadian-mexican-auto-parts-makers-warn-of-fallout-from-tpp-trade-pact/article26067376/
TPP交渉を書簡する甘利 明経済・財政再生相が乳製品とニュージーランドが大筋合意先送りの主因だとしているのは、奇妙にも日本の自動車業界にとって不利益となることを批判しないのは不思議です。まるで、日米の身勝手な、そして稚拙な交渉主導が起こした対立を目立たないようにしているとのではないかとさえ思われてしまいます。(翻訳: 戸田 光子/監修:廣内 かおり)
カナダ、メキシコの自動車部品メーカーがTPPからの離脱を警告
(オタワーグローブ・アンド・メイル紙/2015年8月23日(日)付け→8月24日(月)最終更新)
合計で100万人近くの労働者を雇用するカナダとメキシコの自動車部品メーカーは、当該分野にとってのよりよい条件がないままTPPが決着されれば、製造業の雇用に悲惨な結果をもたらす、と警告している。
彼らは、日本政府が環太平洋の貿易協定をつくるための協議で模索している譲歩案について心配しているのだ。その譲歩案は、日本の自動車メーカーがTPP非参加国からかなりの部品を調達して、自動車と自動車部品を北米に無税で輸出することを許すことになるものだ。
カナダのエド・ファスト貿易相とメキシコのイルデフォンソ・グアハルド・ビジャレアル経済相に宛てた8月20日付けの書簡の中で、自動車部品メーカーはカナダとメキシコの政府がよりよい取決めを結べないならば、この分野は深刻な損害を被るだろうとの懸念を述べている。
「この条項が施行されれば、我々の企業と労働者は北米市場において競争力で不利な立場に置かれるだろう。我々の北米地域における事業に深刻な損害を与え、我々は事業を著しく縮小することを余儀なくされる可能性がある」と、カナダ自動車部品製造業協会(APMA)のフラビオ・ヴォルプ会長とメキシコの全国自動車部品製造業協会(Mexico’s Industria Nacional de Autopartes)のオスカル・アルディン執行副会長は書いている。
チリから日本まで広がる12カ国間の環太平洋交渉を先導している米国は、NAFTAの相手国であるカナダとメキシコに相談を持ち掛ける前に、暫定的に日本の要求に同意した。
カナダとメキシコの政府は、先月ハワイで行われたTPP交渉のマウイ会合の時にこのことを知ったのであり、このことが、米国政府が望んだように協定を妥結させる上で、大きな障害となることが明らかになった。
カナダ、メキシコそして米国の交渉官は、行き詰まりを打開するためつい先週(8月20日)も協議をしている。伝えられるところによれば米国は、米国における国内自動車販売台数がTPP違反のために落ち込むことがあれば、その時には、米国政府が日本車に対して関税を復活させることができるように、米国自身のための緊急措置を交渉している、とのことである。
カナダの高官は、TPPの自動車協議で自分たちにとって最大の問題の1つは、このことに関する米国と日本の政府間の暫定合意によって、輸入される部品及び車両により低いTPP域内部品調達率を許容するという、一連の適用除外が取り決められたことだと言う。
現在NAFTAの規定では、1台の自動車の62.5%がカナダ、米国あるいはメキシコに由来するのであれば、その3カ国へ課税なしに輸出することができる、と決められている。
カナダとメキシコの自動車分野の高官が求める最低限のTPPの部品調達規定は、消息筋によれば、交渉が行き詰まる前に日本と米国が暫定的に合意したという、部品では30%、軽量自動車(訳注:普通乗用車、バン、スポーツ用多目的車(SUV)などに相当する)では45%より高いというものである。日本の自動車メーカーは、原材料や部品をタイなどTPP交渉に参加していない国々のサプライ・チェーンから得られるようにしたいのだ。
ヴォルプ氏とアルディン氏は、自分たちの業界は過去20年以上にわたりカナダとメキシコに相当な投資をしてきたと言う。このことが「雇用、経済生産高、そして今日NAFTA 3カ国市場の全貿易の20%を占める産業を通して、カナダ、米国そしてメキシコの経済に利益をもたらす、活力ある自動車サプライ・チェーンを構築してきた。」と言う。
書簡ではカナダとメキシコ政府に対し、域内部品調達比率が50%以下の物品がTPP諸国から無関税で入ることを許すような、自動車部品の輸入に対する規定で決着することのないよう求めている。
「我々は自由市場を信奉しているが、公正で競争的な環境を強く求める」と、両協会の会長らは書いている。
「TPP交渉が最終段階に向かって進んでいることもあり、北米3カ国の市場に活力ある製造業を求めるこの目標を達成するため、これから数週間くらいのあいだに、皆さんと協議する機会があることを期待している。」
ファスト貿易相の広報官は、カナダの自動車部品メーカーという、国の経済の重要部門から出された懸念にコメントすることを拒否した。
広報官のリック・ロス氏は、カナダ政府は利害関係者の話に耳を傾けている、と述べるだけだ。
「何度も繰り返してきたように、我々はメディアを通してこの協定を交渉しようとは思わない」とロス氏は語った。
「我々の目標は常に、我が国の全地域にわたって、我が国経済の全分野に利益をもたらす野心的な成果を確実に手に入れることだ。我々はその目的を追求し続けていきたいと思っている」とファスト貿易相の広報官は語った
「首相はカナダ国民の利益を最優先にする協定にしか署名はしない。」
環太平洋連携協定には、合計で世界の経済生産高の40%を占める国々が含まれるが、その協定を世に送り出すための交渉は、7月末にハワイで合意に至ることができなかった。
今月初めに、オーストラリアのアンドリュー・ロッブ貿易・投資相は、残る2つの大きな障害は自動車と乳製品の輸入に関してカナダ、米国、日本そしてメキシコの間で合意がなされていないことだと述べ、これら4カ国が意見の相違を解消することができれば、その時は「2,3日の協議でこれを完結させることができると思う」と語った。
(翻訳:戸田 光子/監修:廣内 かおり)
【関連記事】
■首藤信彦氏が分析を掲載(「TPP違憲訴訟の会」サイト)
http://tpphantai.com/info/20150901-problem-of-auto-rules-and-future-tpp-negotiations/
■(本記事の原文)
http://www.theglobeandmail.com/report-on-business/international-business/canadian-mexican-auto-parts-makers-warn-of-fallout-from-tpp-trade-pact/article26067376/
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