2013年7月7日日曜日

第17回TPP交渉会合でどんな進展があったのか!?(その2)─産業界からの意見を公開

第17回TPP交渉会合がペルーの首都リマで5月15〜24日に開催され、利害関係者(ステークホルダー)会合の場で、各団体・企業が発表をしました。

 「STOP TPP!! 市民アクション」 が関わる国際ネットワークが共有したステークホルダー会議のメモを翻訳しました。(翻訳:田中 明/監修:廣内かおり)

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利害関係者会合(2013年5月19日)での産業界代表者らによる発表のメモ

コンサルタント:(どこのコンサルタントかは不明)

 非関税障壁について。誰もが消費者であり、先史からの食料不足の問題や危険な食べ物の問題がある。いまだ食料確保は主要な課題であり、ニュースにもなるが、以前よりはかなり好転、しかし依然として10億人が食料不足に直面。

 国際貿易は大きな要素―自分たちの食べたいものを生産している国はほとんどない。顧客レベルでいうと、顧客は安全で安い食料がほしい―そうなると食料を自給することが割に合わなくなり、不安定な食料供給につながるだろう。我々がここにいる目的は貿易のためではあるが、人類の英知を結集するためでもある―政府と企業の協力だ。科学は良いものだ。われわれは耕作適地を拡大することなく、より多くの食料を生産する必要がある―気候変動により耕作適地が減る可能性あり―通常の手法での貿易課題解決が必要だ。(輸出入の禁止は論外)―SPS(衛生と植物防疫措置)とTBT(貿易の技術的障害)。SPSとTBTについてWTOのルールは良いスタートだった―18年前―しかし今も食料を必要とする国へ流入させるには充分なものになっていない。

 TPPにおけるSPSは“WTOプラス”、ではない。強制力を持たせること。―強制力のない事項の交渉など説得力を持たない。食料品業者なら誰でも、国境で止められることを経験しているはず―国には食料を規制する権利がある―国境で問題があった時には、迅速に対応できる仕組みが必要である。食肉が到着したときに、1箱問題があったからといって、すべてを投げ捨てるのか。だから食料価格は高過ぎるのだ。我々は、科学に基づくべきだと考える。

 米国の牛肉はとても安全で、OIE(国際獣疫局)にも安全とされている。しかし非科学的根拠による制限を理由に、多くの国で禁止されたままだ。豚インフレエンザで豚の輸入も禁止―豚肉から豚インフレエンザに感染することは不可能であるにもかかわらずだ。こうしたことをやめさせる必要がある。

米国産業界関係者

SPS(衛生と植物防疫措置)―農産物輸出業者が直面するいつもの試練―統合された供給網が分断されることにより、消費者の負担が増える可能性がる。

リスク管理・予測可能性・透明性・船積み違反申立てへの立証(検査手続き)に対する科学的根拠に基づく取り組み、より円滑な貿易に対する体系的取り組み、各国とも同一様式の輸出証明、手続きの承認などは根本的に重要である。

- 迅速な進展に満足。章はかなり前進。
- 利害関係者の尽力のおかげ―真の世界的挑戦―規制する側の視点だけではない
- WTOプラスアルファ。
- 未解決の問題:新たな「WTOプラス」条項に強制力をもたせること。
- WTO協定を弱体化させる意図はない―強化したい。
- また、迅速な対応のための仕組みを望む。

強制力を持たせるからこそ、その章に価値がある―その公約を信頼できないとしたら、何に価値があるのか。

透明性は最も重要

迅速な対応の仕組み―紛争解決についてではなく―個々の船積み単位での問題だ。特定の問題が発生したときの、検査手続の確認―より大きな問題が含まれているかどうかを迅速に判断―問題が小さければ輸送積荷が通過できるようにすること。

カナダの穀物生産者

農地は豊富には無い―穀物、ナタネ、豆類は主食―遺伝子組み換え作物で生産量増加

われわれが以前耕作していた方法では、雑草が多く除草剤を使用。風や水による浸食―繰り返して土壌を耕す必要があった。

今は作物に(農薬を)散布できる―改善された新農耕技術。

どのように貿易を改善できるか?我々が直面している課題はより多くの人々に食料を供給すること。農民が生産性を上げるために新たな種子技術がどれだけ重要か。

- 関税撤廃。
- 強制力のあるSPS(衛生と植物防疫措置)への関与と、問題が生じたときの迅速な対応への合意。
- 非関税障壁の防止するために、農薬やバイオ技術に対し一貫性、整合性のある規制の取り組みをすること。
- 農薬と貿易
 o 防かび剤、農薬、除草剤により、昆虫や病気による収穫ロスの30~70%は食い止められるだろう。
 o 防除のための新製品の必要性。
- 農薬を使用すれば残留する可能性がある―どの程度の残留量が安全なのか、が問題だ。
カナダでは新しい革新的農産物に対して最大許容残留物が決まっているが、他国にはないかもしれない。残留の有無だけの基準が設定されている国では、輸出国の基準を受け入れるだろうか。
- 新しい農産物には世界規模での共同検証に参加すること―科学的根拠に基づく規制―そしてそれを共有することが重要だ。
- バイオ技術と貿易―新たな種子技術は、同じ土地でより多くの食料を生産でき、土壌を保全し、生産資材の投入も少ない。
- ほとんどの国では、ある国で許可されても自国で許可されていないバイオ技術に対して、断固として許さない措置をとっている
穀物輸送の場合に起きうるのだが、バイオ技術によって商品化された作物において、混入をゼロにすることはできない―それを要求すれば供給は混乱し、不安定となる―輸送の途中で何らかの混入は認められ得るのだ。

<解決>
・新たな形質については同時に承認する。
・リスクを相互に認識する。
・承認されたバイオ技術の形質があっても多少ならば受け入れる―異物混入は現時点では輸出業者・輸入業者の危険負担となっている。
・流通加工業者がそのような危険負担を引き受ければ農民への支払いが少なくなる―TPP参加国に訴えたい―有効なSPS(衛生と植物防疫措置)が必要だ。

メキシコの産業界代表

・TPP交渉会合のメキシコの交渉団に加わっている20人の産業界代表者の1人だ。
・TPP交渉が決着すれば、メキシコの産業界にとっても戦略的な意義やビジネスチャンスがあるだろう。
・なぜTPPに参加するか?競争力を高めるための新たな公共政策―電気通信改革、シェールガスと天然ガス開発の必要性。
・繊維は巨大産業のひとつ―交渉に加わりたい。
・サービスと投資―メキシコでの中国企業の進出に期待―TPPによってメキシコへの企業の進出増。
・交渉は簡単ではないだろう―メキシコにとっても気になる点は多いが、楽しみでもある。メキシコの輸出部門に利益。
・メキシコの国有企業保護は必要。社会的目標として重要。
・日本の交渉参加を歓迎―日本とのFTAは締結済みである。
(翻訳:田中 明/監修:廣内かおり)

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