この記事内の“プロプライエタリ・フォ-ミュラ”(製品登録)の正確な意味は判断しづらいが、「情報開示しなくてよい」ということは食品であれば安全性への懸念につながり、特許に近い要素を持つならTPPで一貫している知財への過度の保護にもつながると思われる。
いずれにしてもTPPの本質の一端を示す提案でもあり、日本を含む各国の制度を否定するものでもあると言える。
米国、マレーシアによる
プロダクト・フォーミュラ(製品組成、製法)の
保護を狙うTPP提案を支持
(インサイドUSトレード:2013年1月9日より紹介)
米国は12月に行われたTPP協議の会合の場でマレーシアが提出した提案を支持している、と情報筋は語った。この提案とは、TPP 参加国の政府が企業に対して、国内市場で売買するための製品の独占的製法(プロプライエタリ・フォーミュラ:企業が独占的に保持し、それゆえ非公開である開発製品の仕様、規格、製法、調合法など)の提出を要求できないようにすることを狙ったものである。
米通商代表部の女性報道官は1月9日のEメールで、TPPの「貿易の技術的障害(TBT)」に関する章の付属文書として提出されたこの新たな提案を、米国が支持していることを認めた。
ある情報筋によると、本付属文書案は参加国政府に対して、妥当な必要性がない限り製品登録手続きの一環として独占的製法の開示を要求すべきではない、としている。さらに本案は、開示の必要性が妥当な場合、政府は開示情報の保護策を講ずるよう求めている、と同情報筋は伝えた。
この付属文書案は明らかに、製品登録手続きのなかで独占的製法の開示を要求する政府措置がアジアおよび中南米に広がっていることに対する対応であり、これまで米国の食品・飲料業界からも反発を受けてきた。しかし同情報筋は、このマレーシアによる提案は、化学工業を含む他の部門にも益すると語っている。
同情報筋によると、独占的製法の開示要求問題は現在のTPP参加11カ国の間ではあまり問題ではないようだ。したがってマレーシア案は、今現在はTPPに参加していないものの将来参加する可能性のある国々に向けられたようである。言い換えれば、アジア太平洋地域全体に高い基準を求めて基礎作りをする一助となるよう意図されているようでもある。
11月15日に貿易の技術的障害に関する最新の報告書に対して米通商代表部に提出されたコメントのなかで、米保存食品製造業者協会(GMA)は以下のように発言した。―製品登録手続きの一環として開発製品の「厳密な製法や組成」の開示を企業に求めている国々の中には、ロシア、中国、タイ、韓国、エクアドル、ブラジルおよび日本が含まれる。日本とタイはTPP協議への参加に関心を示している。
「GMA加盟企業の製品の製法、組成は知的財産であり、情報開示請求はGMA加盟企業を商業上脅かす」と語るのは、米国の食品・飲料・消費財関連の企業を代表する業界団体である。
また、同コメントの中で、たとえコーデックス委員会(食品の安全性と品質に関する国際基準の設定委員会)の指針では品質と安全性に関する必須情報を開示するよう政府が生産者に要求することを許可していても、「製造業者は、各材料の厳密な成分量や含有率の開示を要求されるべきとする理由はない」とGMAは加えた。
独占的製法は企業秘密の一類型であるが、米通商代表部の女性報道官によると、マレーシアのTBT付属文書案は、知的財産に関する章における米国の広範な企業秘密関連の提案を補完するものである。また同報道官によると、その提案には、企業秘密の盗難に対して刑事訴訟や罰則規定を含む特定執行義務が含まれる。
とは言うものの、米国テクノロジー企業は昨年初め、米通商代表部に対して、企業秘密の開示を求めるTPP参加国政府に、マレーシアの独占的製法関連案よろしく、情報開示には妥当な必要性を示す義務を負わせる文言を加え、企業秘密関連の提案を強化するよう迫っていた。(インサイドUSトレード3月9日付)
とりわけこれらの企業は、市場参入の条件として企業秘密の開示を要求しているすべての政府に対し、その情報が妥当な政府目的を遂行するのに必要との証明を要求する文言を主張した。
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