2012年9月28日金曜日

「事実上の米日FTAである」米国議会調査報告が発表(全文翻訳)

【米議会調査局報告・2012年8月24日】

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米国の議会調査局が日本のTPP交渉参加における影響を分析した報告書をまとめました。8月24日付の報告は「Japan’s Possible Entry Into the Trans-Pacific Partnership and Its Implications(日本のTPP参加可能性とその含意)」として発表され、当運動および「TPPに反対する人々の運動」翻訳グループは重要資料として全文翻訳しました。 (翻訳:戸田光子、田所剛、池上明、田中久雄/監修:廣内かおり)

報告書は「米国の参加するTPPへの日本の加盟は、事実上の米日FTAである」とし、TPPの目的が日本への貿易や投資の拡大、日本の非関税障壁の自由化であり、「牛肉」「自動車」「郵政」3分野での問題解決が参加の条件であることを示しています。また、政局や国内の反対運動により、年内に交渉参加の是非を判断するのは困難との見方をしています。

22ページの報告書は以下のアドレスからダウンロードできます。プリントアウトする際はどうぞご利用下さい。

「米国議会調査報告(pdfファイル)」 http://bit.ly/V32dYW

【関連記事】 ■3分野解決が条件 日本の反対運動も報告 TPP交渉で米議会調査局 (日本農業新聞/2012年09月05日) http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=16359

2012年9月14日金曜日

誰が秘密のTPP文書にアクセスできる?インサイダー(内部の人)リストを公開!

米国で国会議員も読めないTPP交渉テキストに自由にアクセスできる「公式アドバイザー」のリストが一挙公開されました。ウェブに掲載したのは米国の"Sojourners"(米・ワシントン)です。

この「インサイダー(内部の人)リスト」に名を連ねる「公式アドバイザー」は総勢605名。業界団体の他、シェブロン、GE、ウォルマート、IBMなど大企業名が挙がっています。

■The Insider List(米・Sojourners/英語サイト)
http://sojo.net/blogs/2012/06/29/insider-list

■一覧への直接リンク(エクセルファイル)
http://sojo.net/sites/default/files/Who%20gets%20to%20see%20the%20secret%20TPP%20negotiating%20text-current%206-22-12.xls

2012年9月11日火曜日

9.18 「STOP TPP!官邸前アクション Special Program」開催!

9月18日に「STOP TPP! 官邸前アクション」で大イベントが企画されます。ぜひご参加下さい!(以下、STOP TPP!! 官邸前アクションページより転載です)

☆ ★ ★ ★ ☆

 9/18(火)は世界同時アクション!×STOP TPP!!
TPPを進め命と環境・農を支配する多国籍大企業・
モ ン サ ン ト に N O ! 

STOP TPP! 官邸前アクションは、8月中旬より首相官邸前で活動を開始しました。市民や国会議員、地方自治体、労働組合や農民団体、NGO等の「反対」の声を無視し、財界と野田首相は「TPP参加」を今なお企んでいます。民主主義を踏みにじり、人々の暮らしを米国・日本の大企業に売り渡す暴挙を止めるため、私たちは毎週火曜日18:00~20:00、首相官邸前で「STOP TPP」を訴えています
(http://notpp.jp/TPP_kantei.html)

今年9月は、米国で「ウォール街占拠」が始まって1年。全米各地では様々な行動が企画されています。OCCUPY MONSANTO(モンサント社を占拠せよ!)も、こうした中から生まれた世界同時アクションの一つ。世界有数の多国籍企業である同社は、遺伝子組み換え作物を世界に広げ、種を支配することで世界中で農民を、食べ物を支配し、各国の食糧主権を脅かしているのです。こうした暴挙を止めるため、世界各地の農民や消費者団体、NGOなどが9月17日を「OCCUPY MONSANTO」の世界同時アクションデーに決め、全世界に呼びかけています。
★OCCUPY MONSANTO : http://occupy-monsanto.com/

モンサントはTPPによって参加国へのさらなる「進出」も目論んでいます。もちろん日本もその対象の一つ。TPPを強烈に推進している経団連の米倉会長が会長を務める住友化学は、モンサントと提携をしています。私たちは「OCCUPYMONSANTO」世界同時アクションに呼応して、9月18日、日本モンサント社前と首相官邸前で「STOP TPP」と同時に「NO! モンサント」を訴える特別プログラムを行います。ゲスト・トーク、映画『モンサントの不自然な食べもの』紹介の他、演劇、世界同時アクションの紹介など盛りだくさんです。ぜひご参加ください!

●日時:2012年9月18日(火)

①16:30~17:00
銀座・日本モンサント株式会社前でのアクション
◎中央区銀座4-10-10 銀座山王ビル8F
※都営地下鉄浅草線・東京メトロ日比谷線「東銀座駅」A2出口

②18:00~20:00 首相官邸前でのアクション
※東京メトロ日比谷線・丸の内線「国会議事堂前駅」等

【ゲストトーク】(予定)
●脅かされる食の安全と食料主権/安田節子(「食政策センター ビジョン21」
主宰人/NPO「日本有機農業研究会」理事)
●世界の種を支配するモンサントの戦略と人々の運動/印鑰智哉(国際連帯活動家)
●茨城県のモンサント実験圃場で何が起きているのか!?/高士太郎(にゃんとま~)
(自由業)
●STOPモンサント!―遺伝子組み換えに反対する団体から
●農民をこれ以上苦しめるな!(農民からのアピール)
●環境も農も壊すモンサントはいらない!-生協の立場から   などなど

【アピール・出し物等】
★映画『モンサントの不自然なたべもの』特別予告編上映!
★OCCUPY MONSANTO 世界同時アクション 世界各地の取り組み紹介
★特別公演! 演劇「モンサントポリスを日本に入れてはいけない!」

●主催:STOP TPP! 官邸前アクション実行委員会
http://notpp.jp/TPP_kantei.html
Twitter: @TPP_kantei

自由貿易どころではない環太平洋自由貿易協定(TPP)

環太平洋経済連携協定(TPP)の草案は新たに特許の特権を与え、ネットの自由を制限する可能性があるが、これは秘密である―多国籍企業のCEO以外には
(by Dean Baker, 2012年8月27日投稿ザ・ガ-ディアン紙)

「自由貿易」と言えばワシントンでは神聖な呪文だ。「自由貿易」のレッテルが貼られていれば何であれ、ワシントン支配者集団の誰もがこれにひれ伏し、支持することを求められる。さもなければ、お偉方リストから除名され、保護貿易主義ネアンデルタール人の地に追放されてしまうからだ。

このことこそ、環太平洋経済連携協定(TPP)、つまり米国がオーストラリア、カナダ、日本およびその他太平洋地域の8ヶ国と交渉中の協定で、今何が進行しているのかを理解する上での根本的背景だ。本協定は「自由貿易」協定としてひと括りにされているため、ワシントンのご立派な方々は1人残らず、TPPを支持せざるを得ないのである。

実は、本協定は貿易とほとんど関係がない。本協定参加国間における実際の貿易障壁は既に極めて低いからだ。TPPとは、諸条件を押し付けたり国内法に優先させたりするために、この自由貿易という聖杯を利用しようという試みの1つ。しかもその方法は、通常の立法化の過程で同様の対策案を通過させようとしたら、ほぼ不可能と思えるようなやり方だ。強大な企業の利益を並べ立てることにより、「のるかそるか(交渉の余地なく受け入れるか、いやなら止めるか)」で、参加国政府がこの新たな「自由貿易」協定を強引に議会通過させてくれることを期待しているのである。

本協定の目的は、この種の多国間協定ではご多聞に漏れず、徐々に領域を拡大していくことである。つまり、TPP先発参加国が受け入れる条件はすべて、太平洋地域のその他の国々にも後に課せられる可能性があるし、さらには世界中の他の国々にも課せられる可能性が大いにあるのだ。

現時点では、TPPの利点について議論することは不可能に近い。政府が草案を一般に公開せず秘密にしているためだ。実際の文書にアクセスできるのは、交渉担当者と選りすぐりの企業家たちだけ。GE、ゴールドマン・サックス、ファイザー社の最高幹部たちは、恐らく全員がTPPの関連セクションの草案を手にしているだろう。しかし、関連の米連邦議会委員会の委員たちには、何が交渉されているのかいまだ教えられていない。

それでもこれまでに漏えいされたいくつかの事項が、TPPの進む方向について多少の洞察を与えてくれる。本協定の一大焦点は、やはり知的財産権保護の更なる強化だろう。レコード音楽や映画については、SOPA(オンライン海賊行為防止法案)の場合と同様の規定を目にするかもしれない。それにより、グーグルやフェイスブックなどインターネット媒介企業の他、実にウェブサイト開設者の誰もが、著作権侵害の監視員(コピーライト・コップ)になってしまう可能性がある。

これらの法的措置は極めて不人気だったため、SOPAが独立した法案として通過することは、恐らくないだろう。しかし、包括的な協定と結びつき、「自由貿易」という聖水で祝福されれば、娯楽産業は欲しいものを手に入れることができるかもしれない。

また、製薬産業も本協定から一大利益を上げられる可能性がある。製薬業界は、1995年WTO協定に当業界が盛り込んだ特許規則の強化が充分ではない、と判断した。特許保護のさらなる強化、特許保護期間の長期化、さらに「新薬データの独占権」の利用拡充を狙っているのだ。競合企業である後発薬品メーカーは、大抵の場合14年間も、別の会社による新薬の安全性と効能についての治験を基に市場に参入することが禁じられることになってしまうだろう。これは政府に許可された独占権である。

著作権及び特許の保護の強化、そして新薬データ独占は共に、自由貿易と真逆であることに留意すべきである。これらは政府による市場介入の増大や競争の制限と関係し、消費者には更なる価格高騰を招くことになる。

実際、著作権保護や特許保護に関わる費用は、つねに自由貿易主義者たちが懸念を示している関税や割当制に関する費用をはるかに凌ぐ。後者の場合、製品価格を20~30%以上引き上げることは滅多にない。しかし、ジェネリック医薬品として自由市場で5~10ドルで売れる医薬品を、特許で保護された処方薬であれば、処方箋につき何百ドル、何千ドルでさえ売れるようにできるのだ。特許保護は、米国の患者たちが薬に支払う代金を年間2700億ドル近く(GDPの1.8%)も増大させる。薬を必要としている人たちに到底手の届かぬものになってしまうことに加えて、こうした市場の歪みが暗示する経済的代償は計り知れない

TPP協定には、同じく論争を呼びそうな条項が多数ある。TPPが創り出すルールは、環境、労働現場の安全性、投資に関する国内法に優先することになるだろう。しかし言うまでもなく、公的に入手可能な草案が手にはいらないため、詳細を語ることはなかなか難しい。

本来なら、TPPはまさしく今秋の選挙で取り上げられるべき類の政策課題だ。投票者は、米国および世界中の人々の医薬品の価格引き上げを支持する候補者に投票したいのか、私たち皆をただ働きの著作権監視員に仕立てることを支持する候補者に投票したいのか、決断する機会を持つべきである。しかしながら、選挙運動のなか、条文も議論もない―これこそ、儲ける側に立つ企業が望んでいることなのだ。

企業側の楽しみを台無しにする方法がひとつある。米国の団体ジャスト・フォーリン・ポリシーはウィキリークスに対して、TPP草案のコピーを公表した場合、現時点で最大2万1100ドル(※訳注:本記事の原文が書かれた時点の数字。2012年9月2日現在で2万4455ドル)の報奨金を申し出ている。一般の人々も資金を提供して報奨金を増額することや、立場によっては、協定案のコピーを世界中の人々が入手できるようにすることが可能だ。

政治指導者らはTPPの条文がテロリストたちの手に渡ることを恐れていると言うだろう。しかし、私たちには本当のことがわかっている。政治指導者らが怖いのは、国民的議論だ。そんなわけで、自由な市場が機能するのであれば、人々はきっと草案を見ることができるようになるはずである。
(翻訳:小幡詩子  監修:廣内かおり)