2014年7月10日木曜日

オバマ大統領、TPPで11月に成果を期待(ロイタ-2014年6月20日)

日本でも報道されましたが、訪米中のニュージーランドのキー首相との会談後、オバマ大統領は記者団に対し、従来と少し異なる内容で、「11月のアジアで首脳会談でのTPPについて一定の合意を期待している」ことを語りました。先に各国から早期妥結の意欲が様々に表明されている一方、年明けまでは無理だろうとの見方が報道されています。

またTPP交渉のけん引役でもあるニュージーランドや豪州、シンガポールの首脳からは、改めて日本の市場開放を求め、年内妥結を促す発言が続いています。そしてオバマ発言の前日19日にはTPPとTPAに関して大きな影響力を持つ米国下院・歳入委員会の委員長デイビッド・キャンプ議員(共和党)から、TPP交渉の妥結を促しつつ、その前提としてのTPA法案の早期成立とTPPへの米国議会の強い要求(国有企業、ISDS、知財、為替操作規制等々)を求め、かつ市場アクセスでの日本・カナダへの厳しい姿勢が表明されています。

一方TPPに批判的なチリの新大統領が6月30日から7月第一週に米国・シンガポールを訪問し、首脳会談が行われます。8月いっぱいの米国議会閉会、中間選挙を前に、TPPも首脳レベルでのせめぎあいが動きつつあるようです。今までとは少し異なる展開に中止する必要があるかも知れません。

以下は6月20日のオバマ大統領の発言を軸にした報道記事の翻訳です。(翻訳:近藤康男/監修:廣内かおり)

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オバマ大統領、TPPで11月に成果を期待(ロイタ-2014年6月20日)

 オバマ大統領は6月20日、「11月には、TPP関係国が国民、利害関係者に対して何らかの合意を明らかに出来ることを期待している」と語った。
  大統領は、11月15~16日のG20首脳会合出席を含むアジア訪問時に、関係各国の首脳と議論をするための何らかの文書を用意することが目標だと語った。同じ時期にAPEC首脳会合も中国で開催される。

 米国は11月4日に中間選挙を予定しており、多くの貿易専門家は、雇用への影響を懸念する労働組合を支持基盤に持つ民主党への選挙での影響を考えると、今年中の妥結は絶望的と見ていた。
  オバマ大統領は、TPP参加国でありワシントンを訪問中のニュージーランドのキー首相と今年中の妥結の時間軸について議論したと語った。ちなみにTPP参加12ヶ国の経済規模は世界のGDPの5分の2、貿易の3分の1を占めている。
  大統領はキー首相との会談後、2人が再度11月に会うまでに、議会とも協議がなされ、国民への閲覧という手順を踏んだ何らかの文書を用意し、協議を前進させて妥結するための説得力ある議論が出来るようにしたい、と述べた。

 「もちろん、それまでになすべきことは山積している」

 オバマ政権は、米国のアジアへのシフトという戦略の一環として昨年中のTPP妥結を期待していたが、日本の農産物関税の問題で行き詰った。日本政府が米、小麦、酪農製品、砂糖類、そして牛・豚肉製品を守ろうとする一方、米国政府は市場競争力を強化している日本車から米国の自動車業界を守ろうとしている。
 しかし、4月の日米首脳会談後、交渉に新たな勢いが出てきたと交渉筋は伝えている。メキシコの関係者はロイターに、複数の国が遅くとも9月の妥結に向けて交渉を押しすすめている、と語った。ただ他の国々はそれほど楽観的ではない。
 6月の第2週に米国を訪問した豪州の貿易担当相ロブ氏は6月18日、「今年中の妥結はあり得ないだろう。しかし来年前半の妥結は期待出来るかも知れない」と述べたという。
 「(市場アクセスについて)妥協できないのなら日本はTPP交渉から除外されるべき」と語ったニュージーランドのキー首相は、高水準で包括的なTPPを達成できると確信している、と語った。
「どのような交渉でも、参加各国間でガップリ組んだ腕相撲状態になる時期はあるものだし、一瞬、夜明け前のもっとも暗い時間のように感じることもあるものだ」

 TPP交渉には、米・日・豪・NZ以外に、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ペルー、シンガポール、そしてベトナムが参加している。(翻訳:近藤康男/監修:廣内かおり)

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