2015年2月12日木曜日

「主要な未解決事項の最も効果的な解決策」レビン米下院議員が“効果的な協定への道のり”を発表

1月22日に発表された民主党のレビン下院議員のTPPに対する提言です。レビン氏は民主党の重鎮で、かつ通商を扱う下院歳入委員会の有力メンバ-でもあります。USTRにも影響力を持っており、TPAの成立の可否に大きな影響を持つと見られています。また、彼自身、USTRが自分を納得させるまではTPAの審議には乗らないとしています。
TPAには多くの民主党議員が反対をしており、TPP交渉が大詰めを迎える中で議員・業界団体から更に強い圧力が掛けられ始めています。通商促進の立場の共和党も、オバマ大統領を批判する立場でもあり、そのため民主党議員の相当数のTPA賛成がなければTPA可決に積極的にはならないとも見られています。

そのような文脈でレビン議員の提言を捉えておくことが必要かもしれません。ちなみに、レビン議員は前回シドニ-での閣僚会合に突然姿を見せたのですが、その際民主党の篠原議員と前職の首藤信彦氏が面談をされています。(翻訳:清水亮子・西本裕美/監修:廣内かおり)

米国下院歳入委員会幹部メンバー  
民主党 サンダー・M・レヴィン

2015年1月22日
環太平洋戦略的経済提携協定:効果的な協定への道のり

現在行われているTPP交渉は、この時代で最も重要なものだ。

加盟12ヵ国のGDPは世界全体の40%に相当し、世界最大の経済大国の中でも最も開発の進んだ市場中心経済の国から、小さくて最も開発の遅れた計画経済国家まで含まれている。加盟国には日本も含まれているが、米国はこれまで日本と農業、自動車などの重要分野で、公正な競争の場を作ることができなかった。また加盟国の中には、労働条件、人権、法の統治などに深刻な懸念を抱えた国もある。

交渉の範囲は、過去のいかなる多国間交渉もはるかにしのぐ広いテーマにわたっており、知的財産権、医薬品の市場参入、金融規制、食品安全措置、基本的労働・環境基準、国境を超えたデータの流出入、国有企業などが関わっている。

TPPによって、米国の企業、労働者、農家は、高い基準と新市場の開拓が可能になるかもしれない。あるいは、低い基準、非競争的なビジネス慣行、貿易のもたらす恩恵が広くいきわたらないシステムから抜け出せず、アメリカの家計を逼迫させる可能性もある。

交渉開始から4年が経過したが、多くの重要な問題が未解決のままで、TPPは重要な岐路に立たされている。これらの問題を解決できるかどうかで、TPPの利点やTPPが近年締結された複数のFTAの成果のよりも一歩進んだものになるかどうかが決まる。

これから説明するのは、主要な未解決事項の最も効果的な解決策と私が考えるものだ。これらについて成果が出れば、TPPは、とても重要で、多くの超党派の支持を得られる協定になるだろう。米国通商代表部がこれらの成果を出せると確信するまで、議会は今後も追及の手をゆるめてはいけない。

I. TPPの未解決事項
1. 農産物市場アクセス
問題点:米国の農産物輸出は、年間1400億ドルを超える。この額は、海外市場における市場アクセスの障壁を実質的に取り除くことができればさらに大きくなり、米国の家庭にもなんらかの影響をもたらすだろう。日本は600近い産品を関税撤廃から除外しようとしており、米国がこれまで交渉してきたどのFTAよりもその数は多い。他の国々、たとえばカナダも今のところ、農産物の市場アクセスの交渉に十分に取り組んでいない。昨年、140名の下院議員が大統領に書簡を出し、農産物市場アクセス交渉の現状について深い懸念を表明したが、それには正当な理由がある。

解決のための提案:TPP協定では、アメリカから輸出される事実上すべての製品に対する関税その他の諸経費を、ある決まった日までに撤廃すべきだ。関税の完全撤廃とならない限られた例外品目についてTPP協定は、関税率割当その他において、米国の輸出産業にとって有意義な新しい市場アクセスを確立すべきだ。正確な時間軸と限定的例外品目を政府が決める際には、議会と利害関係者たちはその決定に関与すべきである。

さらにTPPは、 (1) 各国政府が人間・動物・植物の生命と健康を守る正当な措置をとる権利を保持しつつ、衛生植物検疫措置(SPS措置)が不当な貿易障壁を作り出さないような履行可能な義務を含み、 (2)地理的表示保護のための国内システムの不適切な使用を通じた米国産品の市場アクセスの弱体化を排除・予防すべきだ。

2. 日本の自動車市場へのアクセス
問題点: 米国の日本に対する貿易赤字は、対中国に次いで二番目に大きく、そのうち4分の3近く(74%)が自動車産業の赤字だ。これによって米国の製造業と労働者は打撃を受けている。日本の自動車産業の閉鎖性は悪名が高く、米国が自動車輸入を何十年にもわたって開放してきたのに対し、日本の自動車市場における輸入車のシェアは、他のいかなる先進国よりも低い。1年に米国が日本車を100台輸入するごとに日本は米国産自動車を1台輸入する計算になる。米国は過去において、日本の市場開放のための交渉を何度か行ってきたがいずれも失敗に終わっている。この問題に効果的に取り組むには、新たなアプローチが必要とされる。

オバマ政権はこれまで、米国産自動車のいかなる関税引き下げも、TPP加盟の2ヶ国間で他の製品に関して交渉したいかなる期間と比べても、最長の交渉期間を伴い、(しかし)おそらくその結末は他の加盟国の手に委ねられることとなり、そのため米国においては、ある産業と他の産業が反目しかねないような立場をとってきた。オバマ政権は、段階的廃止がいつ始まっていつ終るのか、具体的な時期については明言していない。

解決のための提案:日本の自動車市場(乗用車・トラック・自動車部品を含む)に関して、そして歴史的に米国からの輸出品に対して閉ざされてきたその他あらゆる製品の市場に関して、日本が当該の製品の米国からの輸出に対して市場開放を確実に行うのに十分な期間、米国は、日本から輸入する同等の製品に対する関税を維持すべきだ。日本の自動車市場に関しては、米国は以下の2つのうちいずれかのアプローチをとるべきだ。 (1)日本が他の大半の先進工業国と同様の輸入に対する開放性を着実に示し次第、関税を段階的に撤廃する、あるいは、(2) TPP協定が施行されてから少なくとも25年は関税引き下げを行わず、少なくとも30年は関税を撤廃しない。

3. 為替操作
問題点:米国の上下院議員の過半数は、強力で実施可能な通貨に関する義務をTPP協定に盛り込むことをオバマ政権に対して強く求めてきた。TPP加盟国の中には、日本のようにこれまで通貨操作を行ってきた国が多く含まれる。オバマ政権は、まだTPP交渉のなかでこの件について提起していない。

国際通貨基金(IMF)は、すでに価格操作を禁止しており、どのようなケースを価格操作というのかを見定めるためのガイドラインを開発している。問題は、IMF には実施のための仕組みが欠けていることだ。TPP加盟国は、IMFの既存の規則を取り入れ、これらの規則を踏まえて、TPPで実行可能なものにすべきだ。

フレッド・バーグステンをはじめ、多くの貿易拡大の提唱者たちが、この行動を要求してきた。「格差なき繁栄に関する委員会」が最近出した報告書には実際、こう書かれている。「新たな貿易協定には、為替操作を防止するための規則を明示的に盛り込むべきだ。それらの規則では、相互の貿易特恵と、為替レートが他の国を犠牲にして、ある加盟国を利するようなことがあってはならないという相互理解とが、適切に結びつけられなければならない。」

解決のための提案:TPP協定には、TPP加盟各国が為替レートを操作して、国際貿易における不公正な競争優位性を獲得することがないよう、各加盟国が長年従ってきたIMFによって課される義務と一貫性のある、実施可能なルールを盛り込むべきだ。(IMFのルールは、政府が外国為替市場に介入する通貨操作と金融政策とを、明確に区別している。)

4.国有企業
問題点:今日の貿易は、特にアジア太平洋地域において「国家資本主義」の性格をますます帯びるようになってきている。国有企業への政府の支援、商業ベースに基づかない国有企業の行為などがこれに当たる。これらの行為は、米国の労働者や企業を犠牲にして、貿易を歪曲するものである。

TPP加盟各国が一般的義務の条文に関連して連帯し始めると、国有企業の定義を狭くしたり、各国ごとの例外をもうけるなどして、条文に書かれた義務が弱められる危険がある。

解決のための提案:TPP協定は、貿易の歪曲を排除・防止すべきであり、国有企業や国営企業の商行為への関与を優遇するような不公正な競争を排除・防止し、とりわけ差別と貿易歪曲的な補助金を廃止・防止するような規則や、透明性を高めるための規則などを通じて、国有企業と国営企業の関与が純粋に商業ベースだけに基づくことを確実なものにしなければならない。重要なのは、国家が支配するあらゆる企業(会社の株式の半分以下ではあるが、支配可能なだけの株式を国が所有する場合を含む)に対して国有企業の規則が幅広く適用されるべきだ。そして、TPP加盟国は、例外措置を最小限にとどめ、また全ての例外が、目的に沿って厳格に設定されることを確保しなければならない。

5.原産地規則
問題点:原産地規則とは、TPP地域以外を産地とする原料を最終製品にどのくらいまで使い、TPP協定の関税ゼロの適用を受けることができるのかを定めるものである。例えば中国のようなTPP加盟国でない国から輸入した原料がかなり含まれているかも知れない製品を、アメリカに関税ゼロで輸出できるような緩やかなルールを主張してきた国々もある。しかし、緩やかな原産地規則によって米国や他のTPP加盟国の生産や雇用が促進されることはない。そして、TPP加盟国でない国々が、TPP協定によって課される義務を引き受けることなく、TPP協定の利益を享受すべきではない。

解決のための提案:原産地規則は、特に米国産製品と米国産原料を使った製品について、TPP協定による利益を最大限にTPP加盟国が受けとることができるようなものでなければならない。原産地規則が決着する前に、政府は実証的証拠に基づく報告書を議会に示し、自動車製品、繊維、アパレル製品など原産地規則が重要な意味を持つ品目について原産地規則に関する説明をすべきだ。

6.労働者の権利
問題点: 環境分野や手頃な価格の医薬品へのアクセスなど他の主要な条項と同様に、2007年の“5月10日合意”には、貿易協定としてこれまでになく厳しく、かつ徹底した法的強制力をもつ労働分野の義務が含まれている。“5月10日合意”は、TPPにあますところなく反映されるべき根本的な原則であり、今後もそうあり続けなければならない。
 (訳注5月10日合意:2007年5月10日にブッシュ政権とペロシ下院議長との間にむすばれた、「FTAの議会承認を早期に得るために、FTAに労働権・環境保護に係る条項を付加する 旨の合意」)

TPPには、他の条項と同様の紛争解決メカニズムを適用している“5月10日合意”の労働条項が含まれるべきである。この条項の義務は、加盟国が交渉に取り組みはじめたばかりの分野でも、完全に履行されなければならないが、TPP加盟国のなかにはそれが簡単ではない国もあるだろう。特に、独立した労働組合が許されておらず、すべての労働者を代表するとみなされた、政府と結びつきの強い労働組合が1つだけ存在する共産国ベトナムにとっては厳しい規制だ。またブルネイ、マレーシア、メキシコにおいても履行は困難だろう。

解決のための提案: TPPには以下の義務が含まれるべきである:
(1)   国際的に認められている労働者の権利の保護手段を適用し維持すること
(2)   労働法の施行
である。これらの義務には、TPP協定における他の義務と同様の紛争解決制度が適用されるべきである。TPP交渉参加国は、以下のように、この義務を履行し、厳正に実施することに合意しなければならない。

 (i) 労働者は、彼らの選択によって、自主独立の組合へ参加・形成する権利を有し、組合は、特定の連合体に所属することを要求されず、どのような連合体を形成・所属するかに関して、組合自身が自由に選択できる、こととする。

(ii) TPP加盟国は、米国連邦議会に実施法案が上程される前に、TPP協定を順守するための法と規制を導入するために必要なあらゆる措置を採り、かつそのような法改正を実施するために必要な新たな手続きや制度変更を採択しておかなければならない。

 (iii) TPP協定における労働分野の義務を果たすためにその国の労働分野の体制を大幅に変革しなければならないTPP加盟国に関しては、TPP協定発効の日から、当該加盟国におけるTPP労働関連の義務を順守しているかどうか、専門家による独立した委員会(パネル)を設立し、定期審査および公開報告を行う。この際、当該加盟国及び関係者からの情報提供並びに他の関連情報・報告に基づく構造的な改革に焦点を充てることとする。上記委員会が、当該加盟国がその義務を順守していないと判断した場合、その判断は、紛争解決の章における調停委員会の最終報告として扱われる。例えば、合意により、第一審でTPP協定との不適合を排除する、もしくは、最終審として、TPP協定による便益を一時停止にするなど、TPP協定の一連の手続きに則って取り扱われる。

7. 環境保護
問題点: TPP交渉参加国は、過去の貿易協定の条文にそのまま7つの多国間環境協定を盛り込んだ“5月10日合意”とは異なる環境保護体系を検討中である。形式は内容に比べれば重要ではないが、TPPは、法的拘束力のある義務を含む“5月10日合意”を全体的に維持、発展させた水準にしなければならない。しかし、貿易相手国の多くは、保全のような重要な課題を含め、その基準にも満たない水準まで条文の規制を弱めようとしている。

解決のための提案: TPPには、貿易及び投資における環境保護の基準に関し、以下に示すように、少なくとも2007年の“5月10日合意”で確立された水準以上を確保する義務が含まれなければならない;

 (A) TPP加盟各国は、主要な多国間環境協定を履行する施策を採用、維持し、環境保護法を確実に執行すること、

 (B) 違法に捕獲された産品の取引及びサメのひれ切りを禁止すること。違法取引を許可することが知られている準政府組織による行為を含む。

 (C) 過剰に漁獲されている魚種の漁を推進する補助金を禁止すること、

 (D) 気候変動に対処する協調的な取組を推進すること、

 (E) 環境保護義務に対しても、TPP協定における他の義務と同様の紛争解決及び救済措置が適用されること。

8. 医薬品へのアクセス
問題点: WTO規則の下で要求される知的財産権を強化する一方、TPPには、手頃な価格で購入可能な医薬品へのアクセスを確実に確保できるようにした“5月10日合意”の条項が含まれなければならない。しかし、“5月10日合意”において合意された慎重なバランスにゆさぶりをかけている国があり、TPP協定下での医薬品へのアクセスが制限されることになるかもしれない。例えば、発展途上国に対して、ごく限られた移行期間のみ、“5月10日合意”の基準を適用させようとする圧力がある。

解決のための提案: TPP協定は、カタールのドーハで採択されたWTOによる知的所有権の貿易関連の側面に関するTRIPS協定と公衆衛生に関する宣言、革新を育て、全ての人々のために医薬品へのアクセスを促進する“5月10日合意”を共に尊重すべきである。

9. 人権
問題点: TPPのような自由貿易協定により、貿易国間には非常に親密な経済関係が確立される。ほとんどの連邦議会議員もアメリカ市民も、基本的人権を無視する国とそのような関係を確立することを望んでいない。

解決のための提案: 交渉参加国それぞれと協定を結ぶかどうかを決定するにあたり、大統領は、当該国政府が、国際的に認知された人権に常に敬意を示しているのか、また懸念のある分野に対して対策を講じているのかという点を考慮しなければならない。

10. 国家主権: 独自規制の権利
問題点: 貿易は互恵的で水準を引き上げるとはいえ、米国や他のTPP交渉参加国が、主権国家としての規制の権利を放棄するよう要求されているわけではない。TPPの規則は、米国およびTPP交渉参加国が適切に規制する権利を維持できるように、慎重に策定される必要がある。

解決のための提案: TPP協定は、消費者利益、公衆衛生、安全、環境、プライバシー、金融システムの健全性と安定性、国家安全保障などの公益目的の正当な対策を講じる政府の権限を守るべきである。

A. 食の安全に対する対策
問題点: 過去の米国の自由貿易協定(FTA)には、加盟諸国の食の安全対策に関する規範は含まれていなかった。しかしながら、米国の農産物輸出業者は、産品を海外市場に輸出する際の越えられぬ障壁に、たびたび不満を感じてきた。その結果として、彼らは、TPPに対し、衛生及び植物検疫のより幅広い規範を強く要求している。同時に、米国は世界で最も利益を上げられる市場であり、他国の輸出業者が参入したいと考えていることは明白である。我々は、新しい規範が、我が国の規制に関する主権を脅かすことのないようにしなければならない。つまり、TPPの規則は、米国政府やその機関(米国農務省、食品医薬品局、税関・国境取締局)の決定権を護らなければならないし、我が国政府としては、それらの機関に対して、危険な輸入品から国民を守るために必要な手段と体制を確保しておかなければならない。

解決のための提案: TPP協定は食の安全を守るための正当な対策を弱めるものであってはならない。大統領は、TPP協定に従うことが要求される可能性のある米国の法令、規制、慣例に対するすべての変更を、連邦議会でのこの協定の討議の前に特定しなければならない。また、輸入食品が米国内で生産された食品と同程度に安全であることを確認するための費用に関する法令も制定されるべきである。

B. 投資と投資家対国家間紛争解決(ISDS)
問題点: この問題については、交渉担当者及び交渉参加国の幅広い層が、その内容を慎重に吟味している。TPPの交渉国のいくつかは、ISDSを支持せず、若しくは、国家による規制の権利を確実に担保できる予防策を求めている。エコノミスト誌、ケイトー研究所、ドイツ政府(ISDS発祥の地)もISDSに関する懸念を表明している。これらの紛争は近年激増し、公共の福祉や環境規制にとって、これまでにない費用のかさむ問題となっており、政府の行動に萎縮効果をもたらすことにもなるだろう。

解決のための提案: TPPに、以下のような国家の主権を守るための新たな条項が含まれるようにする。(1) 金融危機を予防又は緩和するための資金の越境移転を制限する政府の権利を認めること (2)いわゆる「最低待遇基準」の明確化(カナダの鉱山会社グラミス・ゴールド社がNAFTAのISDS条項により米国政府を訴えた事件の判決に倣って) (3) TPP諸国が投資分野の義務の解釈について合意するためのメカニズムの内包化。仲裁に持ち込まれた申立てが、裁判所によって原告に有利な賠償が認められるべきという申立てではないことの決定を含む、(4)“ 5月10日合意”の文言との結合――その文言に従えば、TPP協定は、国内法下の国内投資家に対するものより実質的に大きな権利を付与されるものではない、と明確に述べられている。つまり米国と同様に、国内法下の投資家の権利は、TPP協定と同等あるいはそれ以上に保護される。

C. 煙草規制
問題点: 最近の国際紛争の多くは、米国のクローブ入りタバコ禁止措置を含め、タバコ対策に対するものである。政府は2013年、それまで支持していた、タバコだけは紛争に巻き込まれない安全域とする方針を、TPP交渉においては求めないことを決定した。さらに、米国が締結する貿易協定の中では、タバコは通常の公衆衛生上の例外として扱われることを単に明示することを提案した。しかしTPPでは、より強固な対応が必要で、政府による行動が待たれる。

解決のための提案: TPP協定はその仕組みにおいて、タバコに関する無差別的な公衆衛生対策が、TPPの義務に矛盾するとして問題にされるようなことがあってはならない、と明確にすべきである。

II. 連邦議会議員と利害関係者に対する透明性
連邦議会の全議員が、交渉参加国の立場に関する情報を含む交渉文書に、完全かつ遅延無しにアクセスできるようにする必要がある。連邦議会の各議員は、適切な機密保持権限とともに、TPP交渉の提案文書をすべて、遅延無く入手できる担当者1人を指名出来るようにすべきである。

政府は諮問委員会のメンバーが、米国及び他国の交渉提案文を入手できるようにすべきである。これにより、諮問委員会は、時宜を得た実効性ある助言を政府に提供することが可能になる。

(翻訳:清水亮子・西本裕美/監修:廣内 かおり)

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