2013年12月26日木曜日

米国議員によるTPA反対連続演説「この協定の透明性の欠如は類をみない」

米国下院でのTPPに関する反対派議員の演説の記録からの翻訳です。11月には160人を超える民主党議員、20数人の共和党議員が、TPP交渉の秘密性を批判し、協定締結の権限が議会にあることを強調してTPA(貿易促進権限法)に反対する書簡を大統領に送ったのに続き、今度は議会の一般演説で多くの議員が重ねて反対する演説を続けました。日本の議員の皆さんの奮闘を期待するものです。

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米国下院:一般(自由)演説
 
2013年12月4日(水)
TPPに関する討論:マーク・ポーカン議員(ウィスコンシン州、民主党)ロサ・デローロ議員(コネチカット州、民主党)、ジャレド・ポリス議員(コロラド州、民主党)


マーク・ポーカン議員(ウィスコンシン州、民主党)
「…アメリカの労働者に関する議員進歩派の特別許可演説(注:下院の自由発言時間)でとりあげたい2つ目の課題は、早ければこの年末にも決定されようとしている貿易協定、環太平洋連携協定についてだ。我々は本日、重労働に対して適正な賃金を保証する必要性について多く語ってきた。一方、我が国の労働者が不当な扱いを受ける可能性についても憂慮している。アメリカの産業に打撃を与え、雇用が海外に流出してしまう不公正な貿易協定に関するものだ。不幸にも、巨大な、秘密に包まれた、非常に有害な不公正貿易協定が身近に迫っているように思える。環太平洋連携協定、TPPであり、アメリカと他の11カ国間で協議されている、NAFTA(北米自由貿易協定)型の協定だ。大部分が秘密裏に交渉されており、過去の過ちをなぞらえるばかりでなく、もっと悪いものになりそうな協定である。

来週、TPP交渉官はシンガポールで再び会合を行い、1ヶ月にも満たない年末までに協定を妥結する計画を立てている。つまり、内容を我々がまったく知らない協定が妥結される、30日足らずしか残されていないことを意味する。協定の内容を知ることはできないが、一方で我々に対して今までなされた約束については十分承知している。ほとんどが、全米、そして我がウィスコンシン州の人々に対して今までの大規模貿易協定―NAFTAからCAFTA(中央アメリカ自由貿易協定)、米韓自由貿易協定に至るまで―で約束されてきたことだ。自由貿易はアメリカに雇用拡大をもたらし、貿易赤字を縮小させ、輸出を拡大し、ひいては世界中の人権および労働基準の改善をもたらすだろう、というものだ。残念ながら、これらの約束は1つも満たされていない。ウィスコンシン州では、NAFTAのような自由貿易協定によって地元の製造業および雇用が破滅的な影響を受けるのを目にしている。

実際、労働統計局によれば、NAFTAの成立以来500万人のアメリカ人が製造業での雇用を失った。また最近の報告からは、アメリカからメキシコに流出した純雇用の数は70万人にのぼることが判明している。小さな会社を経営する私自身、従来アメリカ国内で利用したり、作られたりしていた多くのアメリカ製品の数が減少しているのを見ている。

貿易黒字の数字も同様に痛手を受けている。NAFTAが発効する前年、メキシコとの物品貿易は16億6千万ドルの黒字だった。ところが昨年になると、我が国は62億ドルの赤字を計上した。米韓FTAが発効したわずか1年後の2012年3月、韓国との物品貿易における赤字は550億ドルまで増加し、46%上昇した。またその間、メキシコからコロンビアそして(ここで彼が述べた国名は聞き取れず・・・バーレーンか? 16:55現在)に及ぶ国々では、労働条件の改善が約束されていたものの、ヒューマンライツウォッチ、アムネスティーインターナショナル、そして米国務省の報告にあるような、しばしば悪化の方向に進んでいるという言葉に置き換わってしまった。

したがって、我々の背後にあるこうしたすべての実例や、我が国経済が金融危機から緩やかな回復を続けているという事実に照らしてみれば、アメリカの産業を促進させ、アメリカの労働者を保護し、すべての中産階級家庭の経済的利益を改善させることこそ、透明性ある貿易政策の遂行によって我が国が最優先すべき事項なのである。しかしすでに述べたように、TPPは過去の協定よりも決して良いものとは言えず、さらに悪くさえなりそうなものだ。ここで私は、コネチカット州選出の私の仲間に時間を譲りたい。政策運営委員会の共同議長であり、労働、保健、人的サービスおよび教育の歳出に関する分科会の上級委員であり、長年にわたる国会議員であり、また下院議会における私の尊敬する人、ロサ・デローロ議員です。」

ロサ・デローロ議員 (コネチカット州、民主党)
「…このような努力を払っている中での(ポーカン議員による)TPPの特徴はきわめて的確だ。この協定に関して言えば、ご存じのとおり12カ国の通商担当閣僚が来週シンガポールで会合を行うことになっている。アメリカの交渉団はこの連携協定すなわちTPP協定を引き続き推進し、なんとか事態を動かしたいとしていることから、我々は今年の末までに何かをなさなければならない。(ポーカン議員が)すでにその要点を指摘してきた。

この協定は新しい機会となりうるものだった。繁栄を共有しつつ、経済的発展を推進する新たな、持続可能な規範となる何かを生み出すための努力の表われだった。しかしご存じのとおり、残念ながら協議は以前の貿易協定と同様の道筋に帰着している。製品輸出の拡大ではなく、さらなる雇用の流出、安全でない輸入品、公衆衛生への不安などだ。(ポーカン議員が)そのことを明らかにしてくれた。我が国は、北米自由協定(NAFTA)以来、500万人以上の製造業の雇用と多数のサービス部門の雇用を失った。NAFTAおよび世界貿易機関(WTO)に反対票を投じたことを私は誇りにしているとここで申し上げたい。しかし、それらはともに発効し、500万人以上の雇用喪失を現実に見たのである。

一方、再度言うが、ポーカン議員の指摘のとおり、アメリカの賃金は低下し、経済的不平等は拡大した。経済的な不平等である。そのことに関しては本日多くが語られた。これは抽象的な概念ではない。公共施策の結果アメリカ国内の経済的不平等が助長された。そして、過去の協定の結果としてさらに拡大した。
最近の韓国との貿易協定は、我々がこれ以上同じことを続けることがいかに許されないかを確信させるものだ。初年度、韓国からの輸入が増加したのに反して、アメリカからの韓国への輸出は10%も落ち込んだ。韓国との貿易赤字はわずか1年で37%にまで激増し、およそ4万人以上のアメリカの雇用の純喪失に相当するものとなった。

国民にとって非常に困難な今日の経済情勢下、雇用喪失、賃金低下、アメリカの家庭にとっての更なる経済的不安定と危険を助長するような公共政策を、なぜアメリカは進めるのだろうか。これは間違った考えである。

環太平洋連携協定は、かつてないほど広い分野に及んでおり、アメリカの労働者やその他の国民にとって不当な協定にはならないと信じるに足る理由がない。
この協定は従来の貿易関連分野に含まれるよりはるかに広い領域に及ぶ規則を確立するものであると、大統領自身が述べている。ここで次の言葉を引用したい。「将来重要になりうる新たな貿易問題に関わる全分野が含まれる。すなわち技術革新、規制の整合性、我々はインターネットおよび知的財産権についてどう考えるか」

この協定は次のようなものを含む多数の分野に関して、将来も議会を拘束する政策になるだろう。その分野とは、労働、特許および著作権、土地利用、食品、農業および製品の基準、天然資源、環境、国有企業、政府調達政策、また同様に、金融、医療、エネルギー、電気通信およびその他サービス分野の規制である。到底、関税問題だけにはとどまらない。私が強調したとおり、範囲は信じがたいほど広い。またこの協定の透明性の欠如は類をみない。産業界はすでに(協定の)経緯や交渉内容について熟知しているが、上下両院の議員はこの協定に関して同様の情報を入手するということが出来ないでいる。私たちには、国会議員として貿易協定を承認するという憲法の権限がある。これ以上、局外に置かれる訳にはいかない。我々はこんなことを黙って見過ごさないだろう。

この協定によって、たとえばベトナムやマレーシアからのエビやその他魚介類の輸入が増加するだろう。これは私の仲間がよく知っていると思うが、他の人にも知ってもらいたいので申し上げると、2012年にベトナムから輸入された海産物は206回も汚染問題で搬入を拒否された。一方、マレーシアの輸出業者は、FDA(米国食品医薬局)の警告と反ダンピング義務の双方を逃れる目的で、中国産のエビを移送するような行動をとってきた。こうしたことはを何故防いできたのか?不潔な産品、汚染された産品、抗生物質漬けの産品だからだ。アメリカに住む人々の健康を危険に晒す。そして、加盟国の食品安全法制が改善されるのではなく、この協定によって、FDAのような機関が確実に他国と協議してこうした問題を解決できるようにするため、その資源を枯渇させる羽目になるかもしれない。この協定は重要なアメリカの食品安全規制を脅かしさえするのだ。

また、最近漏洩した条文から、“最近漏洩した”とあえて言うが、それは「われわれは情報に接することができない」と繰り返し言っているとおりのことである。われわれは条文を入手することも、誰かに示してもらうこともできない。我が国の通商交渉団による提案内容を含む漏洩文書には、貿易相手国にとって、安全でより安価な薬品の入手が妨げられる不公正な知的財産権条項が示されている。このことは、海外の医薬品価格を上昇させ、多くの国民が必要な医療を受けることを妨げるばかりか、国際的な成長のためそして国内での更なる雇用を生み出すために必要なアメリカ企業の輸出の可能性も制約するものだ。

信じがたいことだが、政府は予算上、商標のある生物学的医薬製剤の独占(競合品の取扱制限条項)の期間を12年から7年に修正する案によって、ここアメリカの消費者のためには薬品価格の低下を提案さえしているのに、貿易相手国に対しては、その臨床データに関する独占を12年と要求しており、その国の人々がより安価な薬品を入手する権利を否定しているのだ。

こんなことでアメリカはこの分野にいられるのか? 道義的に受け入れがたい。命を救う薬品、それが海外の人々にとって一層入手しにくくなるのだ。これは国民としてのわれわれのあるべき姿ではない。われわれが価値をおくべき姿でもない。これらの、またその他の重要分野が、十分な議会審議なしに交渉されている。憲法で、議会―行政府にはない―は「外国との通商を統制する」ための独占的な憲法上の権能を有し、そして国の法律を立案するところだ、と言っているにもかかわらず、である。この数十年、大統領はファスト・トラック権限(大統領貿易促進権限・早期一括採決権限)という仕組みを利用して、これら権能の双方の行使力を強めてきた。まさにその行為は、先ほど述べたとおり、関税に留まらない分野を包含する自由貿易協定の中身を決めるという、議会の機能を侵食するものである。この貿易協定の内容決定に関して、ファスト・トラック権限を与えるということであれば、その時は、ウィスコンシン州選出の私の仲間がよく知っているが、議会は修正案を出す能力を持たないという現実を意味することになる。ただ集まり、黙って承認印を押すだけとなってしまう。

それはもう許されない、許されるものではない。

2007年に期限切れとなったが、ファスト・トラック権限が繰り返される間も、アメリカの通商交渉に当たっては事前および最中にさまざまな段階で議会審議が求められてきた。しかし、環太平洋連携協定に関しては、それにふさわしい最低限の議会審議さえ行われていない。それこそが、私自身、そしてウィスコンシン州選出のポーカン議員を含むその他多くの仲間、そして上下両院がともに、次のことを訴えてきた理由である。つまり、20世紀に行われたファスト・トラック権限と、協定の形成過程で議会から意義ある関与の欠落は、もはや環太平洋連携協定のような21世紀の貿易協定にとって適切なものではないということである。
もはやファスト・トラック権限は考慮に値しない。

我々の仕事は21世紀の仕組みを作り、より多くのアメリカ人の利益を保証し、賃金を低下させず、最低賃金を低下させず、国民とその家族を支えるために彼らに機会を与えるような貿易協定について協議することである。われわれは、環太平洋経済連携協定を認めることはできない。この協定は、これまでに失敗した貿易モデルと同じであり、勤労家庭に長期間痛みを与え、国内および海外の人々の健康を危うくし、そして我々が作成過程で何の関与もできないまま、将来に渡って議会における政策を拘束することになる協定なのである。

もし我々が有権者の信任を確保しようとするなら、彼らのために、我が国経済のために、そして我が国のために、もっとましな方法をとらなければならない。そしてTPPの内容とその進め方は、我が有権者またはアメリカの偉大な国民が進めようとするより良い方向とは合致しないのである。

この協定は、最初からやり直すべきものだ。このまま進めて年末までに終了するのではなく、われわれは再度努力を傾け、議会の関与を促し、われわれが奉仕する国民の生活を向上させられるようなものにする必要がある。
私はこの問題に焦点を当てるため、特別演説の機会を与えてくれたポーカン議員に感謝している。また彼も私も、われわれの思いや、国民とその家族の利益につながらないこの法律の内容について国民に明らかにする努力を続けたいと思う。これこそ、あなたも私も努力していることだ。私に関して言えば、この闘いを続けていきたいし、年末までに協定を終結させはしない。まだ非常に多くの障害がありそうだ。今晩の機会に私が参加させてもらえたことに感謝したい。

ポーカン(議員
デローロ議員は長い間、アメリカの労働者のためそして自由貿易のみならず公正な貿易のために闘ってきた方で、この国に流入する食料の問題についても本当に説得力のある説明をしてくれている。デローロ議員に感謝を申し上げたい。

デローロ議員
食料は何よりも重要な問題だが、普段は見過ごされがちだ。いまわれわれは、この問題を前面に押し出している。

ポーカン議員
そして、医薬品や、もちろん労働基準についても。ベトナムでは時給が28セントで、すでに非常に低下しているアメリカの現行最低賃金の4%にすぎない。それを考えると、我々は28セントの最低賃金の国との公正な貿易を如何にして行うことができるのかと思う。しかもそれすら保障されず、ベトナムの労働者は、安全要件について検査を受けた10回のうち8回違反しているような工場で働いている。1か月に最低4日の休暇も規定通りにとることができない。少なくともアメリカの労働者の状況を引き上げようとする貿易協定における貿易パートナーではない。単に状況を引き下げるだけだ。
ロサ・デローロ議員と私のもう1つの懸念材料は、政府調達についてであり、この協定における政府調達とは一体どういうものかということである。私はウィスコンシン州の州議会議員時代、州の米国製品優先購入法(Buy American laws)を起草し、税金が確実にアメリカ労働者に資する製品に使われるようにした。しかしこれらの貿易協定にまさに含まれている文言は、アメリカ製品を購入しようとする権能を取り上げることになるかもしれない。我々はそれを変える必要がある。改めてあなたのその努力に大いに感謝したい。われわれはファスト・トラック権限を打ち破るために、党派を超えて多くの同僚たちと活動していくつもりだ。

デローロ議員
その通り。議会を関与させる方向に変わらないのなら、この貿易協定反対への超党派の支持、およびファスト・トラック権限反対への超党派の支持があることは重要だと思う。苦しんでいる人々は党派にこだわらないからだ。最低賃金の低下は、民主党員、共和党員など党派にかかわらず影響を及ぼし、どこにいようが、誰であろうが、人々の生活、家族の生活に影響する。改めて(ポーカン議員に)感謝し、今後も共に頑張っていきたい。

ポーカン議員
長年にわたりアメリカの労働者のために声をあげ、アメリカの労働者を代弁すべく、力強く、熱心な活動を続けられているデローロ議員に感謝を申し上げたい。ありがとうございます。
われわれが議論を進める中で問題になることの1つは、条項が数多くあるということで、労働条件、環境、調達、食品安全、知的財産権などなど、実に20を超える章が存在している。貿易取引のなかで対象となる様々な分野が含まれており、議会がファスト・トラック合意により発言の機会を失うかもしれないという事実は実にひどい間違いである。われわれは国民に選ばれ。自分たちの有権者を代表しており、自分の地域の労働者を確実に守らなければならない。もし議会の声が取り上げられないなら、民主党議員、共和党議員に関わらず、我々は発言の機会を持たなければならない。
我々を反貿易的だという人もいるかもしれない。しかし実際は貿易を大変に支持している。ただそれが「公正な貿易」であって欲しい。注意深く、間違いなく起草されて欲しいのだ。そしてそれは可能だと信じている。しかし、過去の協定や、またいくつかの漏洩した原文からみられるTPPのような協定を考えると、またもやグローバル企業の利益をアメリカ労働者の利益より優先しているかに見える。場合によっては外国所有の企業がわれわれの主権を有する法廷よりも優越し、アメリカ製品優先購入政策が弱体化させられ、企業が生産を海外に移転する気にさせる事態が生まれ、労働者保護、賃金、権利の底辺への競争に引き込まれる可能性がある。そして、アメリカ人労働者が取り残される。そんなことは許されない。
我々は貿易協定、とりわけ環太平洋経済連携協定のような広範囲な協定に含まれる内容について、議会が可能なかぎり発言できることを確認する必要がある。我々はこれらの法規の内容を知る必要があるにも関わらず、知らされていない。皆さんはデローロ議員と私が「この問題を追いかけている」と言うのを聞いたはずだ。われわれはこの協定で何が交渉されているのかもまったく知らない。質問したいことは山ほどあるが、答えはほとんどない。この協定は為替操作に取り組もうとしているのか? 分からない。協定には強制力のある環境や労働の基準が含まれているのか? 食品安全から金融規制、インターネットの自由まで、明らかに非貿易である事項について、どの程度扱っているのか? もう一度言うが、分からない、というのが答えだ。これだけ答えのない疑問があり、多くの議員が漏洩した文書の一部をかろうじて見たことしかない。この交渉が我が経済や労働者に永続的な影響を及ぶすにも拘わらず、再びファスト・トラックを試みて議会を通過させようとしているのでは、という噂がある。そんなことは決して受け入れられない。
環太平洋連携協定について、明らかになっていないすべての疑問を考えると、この法案を急いで通過させることは危険であり、無責任であると固く信じている。
ちょうど今年の始め、私は透明性について懸念を表明した書簡を35人の民主党新人議員と送付し、我々の有権者や労働者の最大の利益となる貿易交渉であることを確認しようとした。議長、議会における我々の仕事は、ここに送ってくれた人たちを代表することだ。自社の利益幅を拡大するために、できるだけ安い労働力を見つけたいとする外国企業や最高経営責任者の利益を代表するのは我々の仕事ではない。そして、最悪の貿易協定が議会を通過するのを傍観していることも我々の仕事ではない。世界の労働者と対等な舞台で競争ができることを保障する責任を、アメリカ労働者に対して負っているのだ。対等な舞台で競争すれば、我々は必ず勝つだろう。我々には労働について倫理感があり、能力もある。しかし対等な機会が与えられないなら、アメリカの労働者が公正かつ持続可能な方法で処遇されることはないだろう。仕事が海外に移転したり、賃金が生活できないほど引き下げられれば、かれらは競争することも出来ない。我々は労働者にもっと貢献できるし、そうしなければならない。

ジャレド・ポリス議員(民主党・コロラド州)
TPPを巡る問題の1つは、交渉内容の秘密性だ。実は数ヶ月前、党派的な懸念ではないことを示すため、超党派の書簡をダレル・イッサ(Darrell Issa)議員と共に用意し、透明性を高めるよう要請した。私は事務所で3回ほどTPPのテキストを検証する機会があったが、私のスタッフは、そこにいることさえ許されなかった。アメリカ国民は、秘密裏に行なわれる交渉だという理由でわが国の経済にとても重要なことについて適切な監視を行うこともできない。私の発言はこの辺で。

ポーカン議員
コロラド州のポリス議員、ありがとうございました。彼はアメリカ労働者のために精力的活動してこられた。また、私もこれらの章を見たが、そのときも私のスタッフは見ることを許されなかった。しかしもっと困ったのは、これらの協定の文言をメモすることが許されなかったことだ。この協定を見るかぎり過去の協定と比べ、明らかましなものではなく、特に労働条件やアメリカ製品優先購入法を容認している政府調達については、悪化しているようだ。(翻訳:池上明・田中久雄/監修:廣内かおり)

2013年12月12日木曜日

TPPと米国議会――ファスト・トラック権限がない場合(第三世界ネットワ-クから)

STOP TPP!! 市民アクションがつながる国際団体「第三世界ネットワ-ク」がまとめた小論を翻訳しました。これを読むと、米国議会の魑魅魍魎(ちみもうりょう)の様子が浮かび上がってきます。また、米国議会での審議の仕組みを垣間見ることができます。

11月には民主党166名、共和党28名がオバマ米大統領宛てにTPA(大統領貿易促進権限)反対の書簡を送っており、米国議会ではTPP反対の演説も行われています(近々翻訳予定)。 年明けには1月15日に暫定予算が期限切れ、2月7日には国債発効期限が到来します。しばらく米国議会から目が離せません。(翻訳:大谷一平/監修:廣内かおり)

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 TPPと米国議会――ファスト・トラック権限がない場合 
(第三世界ネットワ-クから)

アメリカ合衆国憲法では、連邦議会が“税金、関税、輸入税、物品税を課し、徴収し”、そして“外国との通商を調整する”独占的な権限を持つと定められている。米国を代表して他国と交渉する権限は行政府に与えられているものの、米国との貿易協定は議会の承認なしに発効することはない。これまでの米国の歴史において(下院と上院からなる)連邦議会は協定を承認するために様々な手続きを利用してきた。

ファスト・トラック権限

その手続きの1つがファスト・トラック権限だ。ファスト・トラック権限のもと、議会は大統領に対し、貿易協定に署名する権限と、その協定を正式に承認し国内法を適合させるための施行法を立案する権限を与えている。さらに同権限は、署名された協定及び施行法案が議会に提出されてから90日以内に、議会がその貿易協定の審議を終結することを保証している。下院については60日以内、上院についてはその期間に30日を足した期間内の採決が求められる。ファスト・トラック権限が適用された場合、議会は採決の通常の規則を適用しないことに合意しているとされる。したがって、施行法に対するいかなる修正案も、また署名された協定の変更も認められず、審議は20時間を上限に制限される。上院においても、通常、採決には特別多数決が必要だが、この場合は単なる多数決(過半数)が適用される。

ファスト・トラック権限が採用されていても、米国連邦議会の承認手続きが早まるわけではない。最終的な採決の手続き自体は加速するものの、多くの場合は協定を議会に提出する準備に1年かかり、その後、最終的な議決への90日期間が始まる。これは、ファス・トトラック権限が米国国際貿易委員会に対し、協定の米国経済にもたらす影響に関する包括的調査を要求しているためである。米国国際貿易委員会は施行法案が提案される前に、この調査結果および付随する報告書を議会に提出しなければならない。さらに、協定によって必要となる行政上の変更に関する包括的評価が行われ、その結果が施行法案と共に提出されなければならない。

議会により再交渉を強いられた過去の自由貿易協定

米国の貿易交渉官は多くの場合、議会の役割を軽視し、議会からの要求も無視する。これは、協定がファスト・トラック権限の恩恵を受け、最終的には議会でも強行採決できるとみているためだ。しかし米国交渉官といえども計算違いをすることもある。例えば、米韓自由貿易協定の交渉では、自動車と自動車部品に関する議会側の要求が無視された。しかしブッシュ政権下で2007年に協定が署名されてから3年後、ファスト・トラック権限を適用しても、米韓FTAが下院で過半数を取れないことが明らかになったのだ。すべての貿易協定は両院を通過しなければならない。結局、オバマ政権下において米国交渉官たちは韓国に対してさらなる譲歩を求めることになった。最終的に韓国側が譲歩し、この自由貿易協定は2011年に両院を通過した。

同様に米国・ペルー自由貿易協定は共和党が下院を支配していた2006年に署名された。2007年になると下院では民主党が多数になったため、ブッシュ政権は署名した協定が通らないことに気が付いた。米国交渉官たちはより厳しい労働・環境保護に関する条件の受け入れをペルー側に求め、元の協定に含まれていた医薬品特許に関するいくつかの極端な米国側の要求を取り下げた。そしてようやく、この自由貿易協定は通過した。

しかし、ファスト・トラック権限が適用されない、あるいは適用される可能性が低い場合でも、米国交渉官たちは議会の役割を重要視しない。これは、米国の交渉官たちが、確約された内容が議会の裁量の対象になることが他国の交渉官たちに知られた場合、重要分野の譲歩が引き出せなくなることを懸念しているためである。

ファスト・トラック権限を適用せずにTPPを議会に通す

議会がある協定に対してファスト・トラック権限の適用を拒んだ場合、その協定を議決で承認するためには通常の議会手続きと審議規則が適用される。まず、施行法案を立案するのは大統領ではなく、議会の委員会になる。このときが、署名済みの協定に議会が変更を加える最初の機会である。この手続きを開始するのは貿易に関して第一次管轄権を有する下院歳入委員会と上院財政委員会だ。次に、作成された施行法案は、協定の非関税側面を管轄し、貿易以外を担当する、議会の少なくとも10の委員会に照会される。法案の文書は1つの委員会でまず承認され、 次の委員会に回される。委員会のこの手続きを通して、下院と上院はそれぞれの施行法案を作成する。次に、各議会で法案が承認されると、両案の違いについて折り合いをつけるため、両院の議員からなる委員会が任命される。その結果として共通の文書である“協議報告書”が下院と上院の両院に提出され通過する必要があるが、委員会での手続きに再び戻されることはない。

ファスト・トラック権限が適用されない場合に考えられるシナリオ

施行法の立案に関していえば、連邦議員の大半が要求している条件を行政府が協定に含めていなかったり、大半が反対していたりするような条項が含まれている場合、議会が再交渉を強いる可能性がある。このシナリオが起こる可能性には様々なものがある:

・あらかじめ定められた期間内に決議を採らなくてはならないという定めがないため、要求している変更内容が得られるまで、委員会もしくは下院本会議や上院本会議が施行法の審議を拒否することができる。法案の審理・修正のために議題に採り上げるか否か、またその時期については各委員会の委員長の権限に任される。さらに委員長は、委員会が法案を承認するための採決をとるか、外部に報告として出すか否か、その時期をいつにするか、についても決定できる。修正案および法案を委員会から外部へ報告として出す場合の議決には、委員会の過半数を必要とする。

一方、特定の規定が含まれていること、または除外されていることに不満を持つ委員長は、その懸念が解消されるまでいかなる委員会の手続きも日程に入れないということも可能である。ある施行法案が下院、上院すべての委員会から取りまとめられて出されても、本会議場での審議とそれについての採決を採るか否か、いつ採るのか、については各議会の指導部に任されている。つまり、下院議長と上院与党の院内総務が、各議会での採決を日程に入れることに明確に合意しなければならない。それぞれの本会議場での採決は下院と上院でそれぞれ規則が異なるため、以下で説明する。 日本の農産物の関税はゼロにすべきだとか、強い通貨や国有企業の関連分野を含む問題のように超党派の合意がある場合、議会指導部は、交渉が行なわれ、議会が満足するように協定が変更されるまで、施行法の最終審議の手続きを単に保留にすることができる。

・砂糖や乳製品が米国市場に参入するというような譲歩を回避するなど、特定の強力な利権が関わる問題については、関係する委員会の委員長が委員会の手続きを保留にすることができる。他方で、下院と上院で最終議決までの採決規則の違いがあるが、議会指導部の支持が得られない場合でも、下院の大多数もしくは上院の場合は少人数でも自らの票を保留するか修正を働きかけることができる(米韓自由貿易協定の際に下院で実際このようなことが起こっている)。
以下で説明されるように、上院の規則では、修正案を提出するための裁量が1人の議員にかなり与えられている。このことは、追加交渉により米国交渉官が協定文書に変更を加えたうえでTPPが発効することを条件とする方向へ、施行法案が本会議場で修正される可能性があることを意味する。これは、米国側が譲歩取り下げたり、特定の相手国から追加の譲歩を引き出したり、あるいは広範囲にわたる規則の変更を伴う場合もある。

ファストトラック権限が適用されない場合の下院と上院との手続きの違い

採決の手続きについて、下院と上院では別の規則が適用される。下院には運営委員会があり、そこで重要な議決の審議条件が設定される。委員会は、修正案の提出を禁じたり、審議に制限を設けたり、あるいは修正案をある程度許可し審議の時間を限定したり、各議員による修正案の提出を許可したり、等の決定を下すことがある。重要な貿易協定の場合、委員会は修正案の提出が許可される場合でも、広く支持されている修正案のみを許可することが多い。下院にて修正案を通すには、過半数を得ればよい。

上院はまったく別の仕組みになっている。ワシントンでは“立法の墓場”と言われており、上院は全会一致により事が運ぶ。上院議員が1人でも法案の審議に反対した場合、その反対を乗り越えて審議を始めるには、全会の5分の3の賛成票(全100議席が埋まっているとして60票)が必要になる。各上院議員はさらに法案に対して“保留”を申し立てる権限があり、これは全員一致に加わらないという事前表明になる。法案が最初の60票の壁を乗り越えたあとも、審議は無制限に行われる。審議を終わらせて採決に進むには、再び全会一致の賛成が必要となる。上院議員が1人でも反対すると、討論終結の請願が提出されなければならない。そこで、採決に進むには再び5分の3の賛成票が必要となる。討論終結の請願が通らない場合、その法案は廃案とみなされ、たいていの場合は、貴重な議会での時間を何日間も無駄にする可能性のある議事進行の意図的妨害を避けて、次の議題に移る。議事進行の意図的妨害は、上院議員がスピーチや適当な文書を読み上げて議場を占拠することによって行われる。(つい最近の例として、ケンタッキー州のティーパーティー派共和党上院議員であり、ファスト・トラック権限の反対者であるランド・ポール氏が家にいる子供たちに向けてDr. Seussの絵本を読み上げ時間を費やした例がある。)討論終結の採決が通ると、上院での法案審議中に修正案の提出が認められる。多くの場合、先の2つの圧倒的多数が必要な採決を通った法案について何百もの修正案が提出され、そのうちの何十かについては実際に討論が行われ、採決される。上院で修正案を通すには過半数の票が得られればよい。修正案の審議を切り上げて最終決議へ移るには再び5分の3の票が必要となり、最終決議自体は過半数を得られればよい。

法案が上院を通過するのは、賛成の60票が確保された場合である。この事は通常、様々な小グループや時に上院議員個人の票が必要とされ、彼らの要求する変更が認められたことを意味する。ファスト・トラック権限が適用されない場合、60票ルールは、貿易協定について様々な修正を求めるのがたとえ少人数の上院議員の集まりだったとしても、その協定を再交渉に持っていくための強力な力を持ち得るということを意味している。

議会による承認後でも米国が譲歩を引き出せるもう1つの方法

法案が議会の両院を通過して大統領が署名した場合でも、貿易相手国の国内法と政策がFTAを遵守するうえで米国の期待に応えるものに変更されたことを大統領が確認するまで、米国は協定施行のための法的要件を満たしていることを伝える公式文書の通知を保留することを、米国が最近締結したすべての自由貿易協定の施行法案で求めている。言い換えると、たとえある貿易協定が議会により承認されたとしても、相手国の施行に米国が満足してからのみ、米国が発効を認めるということである。米国・パナマ自由貿易協定のための施行法の関連条項には、例えば次のように記されている: 「パナマ政府が、協定の発効日から効力を有する条項遵守のために必要な対策を講じている、と大統領が認めた時点で、大統領は、パナマ政府がアメリカ合衆国と2012年1月1日以降に協定を発効させるという書面を取り交わす権限を付与される。」

このような政策を実施するため、協定の発効を米国が認める前に、米国政府の当局者たちは米国政府が貿易相手国の国内法や政策に対して要求している変更点のリストを相手側に伝える。その後、米国政府当局は受け入れ具合を見守り、米国にとって必要とされる変化が認められるまで、貿易相手国の政府に法律や政策を変更するよう圧力をかける。2008年のInside U.S. Trade誌の記事によると、米国の役人が貿易相手国まで足を延ばし、米国の要求する国内法への変更に直接参加する例も明らかにしている。[1]当然、このような手法は米国の貿易相手国に相当な政治・政策面の問題を引き起こしている。貿易相手国の政府と民間部門が共に、ある協定で規定されている義務の意味するところや、国内法や政策をかえる必要性について米国の政府・民間部門とは相当異なる見解を持つこともある。

その結果、この仕組みを通して、しばしば意図的にあいまいで不明瞭、そして解釈が対立する貿易協定の条件や規則について、米国の商業利権と米国政府は、他国が米国側の解釈を採用し、国内法や政策を米国の解釈に適合するように変えさせる影響力を持つことができる。 このような手続きには、貿易協定の交渉が行われ、それが署名されて承認された後でも米国がさらなる譲歩を引き出すことにつながっているという批判もある。

当然、米国のこの一方的な承認手続きは、協定が議会に承認された後でも発効が大幅に遅れる結果につながっている。恐らくTPPを考えるうえで一番参考になるのは、中央アメリカ自由貿易協定(CAFTA)のメンバー国に対し米国が国別に発行した適合性証明である。これは米国の要求を受け入れた度合いにより、それぞれの国に対して違う時期に出されている。

一方、CAFTA発効までにとられた長い手続きは珍しくない。例えば、米国・パナマ間の自由貿易協定が署名されたのは2007年6月、パナマ議会が議決したのは2007年の7月である。しかし協定 が発効したのは2012年の11月5日からであり、米国議会が協定を承認して施行法案が米国の法律となった2011年10月から1年後のことである。これはパナマ議会を通過した5年後になる。米国が通達を保留したのは、適合性証明を受けるために必要であると米国が主張した特許、著作権、金融、電気通信、調達、関税、貿易救済措置その他の分野の法律や政策について、パナマが必ずしもすべての変更を行なっていなかったためだった。

米国・ペルー自由貿易協定が署名されたのは2006年4月12日だ。ペルー議会はそれを2006年の6月に批准し、修正議定書を2007年6月に承認した。米国議会がそれを承認し、施行法案を法律として成立させたのは2007年12月。しかし、協定が発効したのは、米国の仕様に適合させるためにペルーが知的財産権、労働、環境保護その他の分野の法律を変更したことを米国側が認めた後の2009年2月だった。(翻訳:大谷一平/監修:廣内かおり)

2013年12月9日月曜日

「これでいいのか?!TPP12.8大行動」に2700人参加─集会に寄せられたマハティ-ル元首相メッセ-ジ


12月8日、日比谷野外音楽堂(東京)にて「これでいいのか?!TPP12.8大行動」が開催され、約2700人が参加しました。

当日の集会には、マレーシアのマハティール元首相からのメッセージが読み上げられました。メッセージの翻訳文と原文を掲載します。

☆ ★ ☆

TPPに関するマハティ-ル元首相メッセ-ジ

第2次世界大戦後、常に世界貿易を秩序あるものにする試みが行われてきました。まずそれは、最終的には金の価値に基づいて通貨間の交換レ-トを固定するための、ブレトンウッズにおける合意から始まりました。

 通貨の金本位制が消えた時、ガットの協議が始まりました。しかしそれも失敗し、貿易のため各国の市場開放を目指してWTOが創設されたのです。

 その後、欧米の貿易大国から、国境に妨げられない、とりわけ輸出入関税という障壁のない貿易のための、国境にとらわれない世界を求める要求がされました。

 ヨーロッパ諸国はEUを作り、北米ではNAFTAが作られました。そしてこれらの強大な国々から他の国々に対し、投資、技術、専門ノウハウの自由な市場参入の圧力が高まってきました。

 豊かな貿易国によってさえ、依然、保護主義が行われています。国境の無い世界についての合意を得られないため、西側諸国からは個別の国同士の自由貿易協定が示唆されました。そして多くのFTAが国ごとに、異なる条件で締結されました。

 ASEANでは拡大した市場から利益を生み出すべくASEAN自由貿易地域構想を決議しました。また、APECは米国の支持を受けた豪州の主導により設立され、ロシアと中国もメンバ-として受け入れられました。

 そして、米国が密かにTPPを提案したのです。繰り返しになりますが、TPPは自由貿易協定として提案されたのです。

 TPPの場合、29の膨大で詳細に渡る章があり、参加国の貿易や商取引を規制しています。その内容は具体的で、国や企業が違反すれば、多額の費用が掛る訴訟に巻き込まれてしまいます。企業は、TPPで決められた条件が守られていないと考えれば、国家を提訴するかも知れません。仲裁法廷は何億ドルもの罰金を課すかも知れません。そして控訴を認める条項はないのです。

 TPPが自由貿易に関するものでないことは明白です。TPPは、その条項を参加各国が順守しなければならない、いわば規制された貿易です。その意味でFTAは全て、貿易を自由化するものではなく、実際は貿易に規制を課すものです。

 どうしてTPPが必要なのでしょうか?TPPが無くても、世界は、非常な貿易拡大をこれまで目にして来ました。マレ-シアは小さな発展途上国ですが、かつて世界17位の貿易大国でした。

 現在私たちは、2国間自由貿易協定及び域内協定を持っています。これらの国々がTPPに参加すれば、明らかに従来のFTAとTPPとの条件との間で矛盾が生じてきます。

 このような矛盾が生じる場合、どの協定が優先されるべきでしょうか?そうでなければ、TPP参加各国は先に締結された2国間、多国間の協定を廃止すべきと思います。

 国内の産業や事業を守ることは国民経済を運営する上で本来的に必要なことです。米国は高額の補助金で自国の農業を保護しています。日本は自国の米生産を守らなければなりません。世界の国々についても同様です。

 真に自由な国際貿易体制があり得ないことは明白です。そのようなものが無くとも、世界の貿易は非常な成長を遂げて来ました。TPP含め、まさに所謂自由貿易協定は必要のないものなのです。(翻訳:近藤康男)

【原文】

SPEECH BY H.E TUN DR MAHATHIR BIN MOHAMAD

THE TRANSPACIFIC PARTNERSHIP

Ever since the end of WWII attempts have been made to bring order to world trade.  It began with the Bretton Woods Agreement to fix the exchange rates between currencies, basing them ultimately on the value of gold.

When currencies went off the gold standard, negotiations were started for a general agreement on tariff and trade.  That failed and a World Trade Organisation was created for the purpose of opening up countries to more trade.

Subsequently, the demand was made by the great western trading nations for a borderless world for trade to be free of national barriers, especially taxes on imports and exports.  But the need to protect certain industries by all nations caused the borderless world to be a non-starter.

The European countries had formed the European Union while North America set up the North America Free Trade Area (NAFTA).  Pressure was brought on by these powerful blocs for the free access of their capital, technology and expertise into the other countries.

Still protectionism continued even by the rich trading nations.  Unable to get general agreement on a borderless world the West suggested free trade agreements between individual countries.  A large number of these FTA were concluded, each with different terms.

The Association of Southeast Asia decided on AFTA (ASEAN Free Trade Area) to benefit from their enlarged markets.  The Asia Pacific Economic Cooperation was set up on the initiative of Australia, backed by the US, Russia and China were accepted as members.

Then the US secretly proposed the Trans-Pacific Partnership (TPP).  Again this was billed as a free trade agreement. 

In the case of the TPP, there are 29 long and detailed chapters which would regulate trading and business transactions between the member countries.  They are very specific and breaches by any country or trader can lead to costly litigation.  The corporations involved may sue a country should it consider that the conditions laid out in the TPP had not been adhered to.  The Tribunal set up to hear this may impose fines of billions of dollars.  There is no provision for appeal.
  
Clearly the TPP is not about free trade.  It is about regulated trade as the trading partners and countries must abide by the provisions of the TPP.  For that matter all FTAs, far from freeing trade, actually impose regulations on trading.

Why do we need the TPP?  Without the TPP the world has seen tremendous growth of trade.  Malaysia, a small developing nation was once the 17th biggest trading nation in the world.

Currently we have free trade agreements between individual countries and within regions.  Obviously if these countries join the TPP, there would be conflicts between their old FTAs with the conditions of the TPP.

Should there be such conflicts, which agreement should prevail?  If this is not going to happen it will be necessary for members of the TPP to annul their previous bilateral or multilateral agreements.

The need to protect local industries and businesses is inherent in the management of a country’s economy.  The US protects its highly subsidised agricultural industry.  Japan has to protect its rice production.  And so do all the other countries of the world.

Clearly it is impossible to have a truly free international trading regime.  Despite its absence world trade has grown tremendously.  There really is no need for free trade agreements including the TPP.

2013年12月6日金曜日

【12/8東京】これでいいのか?TPP 12・8大行動



1.主催:

「これでいいのか?!TPP 12.8大行動」実行委員会

呼びかけ団体:
・TPPに反対する弁護士ネットワーク
・TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会
・主婦連合会
 ほか多くの賛同団体で構成されます

2.日時:

2013年12月8日(日)13時~16時を予定      

3.場所:

日比谷野外音楽堂(千代田区日比谷公園1-5)、ほか

4.行動内容:

集会とデモ行進(日比谷野外音楽堂での集会と銀座デモ・東京駅近くで解散のコースを予定。*なお、集会の内容、デモ行進の内容は、今後実行委員会で話し合います。

5.本「大行動」の趣旨

  TPP交渉の現状は、秘密交渉のまま、国会決議も自民党の決議も守られないままに年内合意・妥結があり得る状況にあります。したがって、そもそもTPP交渉からは即時脱退すべきと考えている人々・団体も、国会等の決議を守らせるためなお運動強化をと考えている人々・団体も、あるいは、TPPはよく分からな いが、秘密交渉のまま何らかの合意をするのはおかしいと考えている人々・団体も集まれる、「秘密交渉のまま、国会決議が守られないTPP交渉妥結なんてと んでもない」の思いを集めて、この集会・デモ行進は行われます。

※本行動の経費は、賛同団体からの賛助金と当日の運営協力金カンパなどでまかなわれます。

2013年11月15日金曜日

米国議員191名がオバマ宛にTPA大統領貿易促進権限に対する反対を表明

現地時間、11月12日付けで、民主党議員163名、共和党議員28名がそれぞれオバマ大統領あてに” ファ-ストトラック”TPA大統領貿易促進権限に対して強い反対の意を表す書簡を送りました。

しかもその反対はTPPに止まらず、今後交渉の進められる如何なるFTAに対しても同様であるとの強い意志を示すものとなっており、これまでの貿易協定の交渉過程における議会対応の全てに対して憲法上の議会権限を軽視したものであると強い批判と懸念を述べています。

なお、この経過・背景に就いて説明したパブリック・シチスンの文書についても近日中に作成予定であり、翻訳分をお送りすることを申し添えます。

また、以下に現地のウエッブサイトに掲載された全文(民主党)と署名議員リスト、及び署名入りの原文(共和党)のリンクを掲載します。

【民主党】
+ Democrats (151):
http://delauro.house.gov/index.php?option=com_content&view=article&id=1455:delauro-miller-lead-151-house-dems-telling-president-they-will-not-support-outdated-fast-track-for-trans-pacific-partnership&catid=2&Itemid=21

+ House Ways & Means Democrats (12): http://www.larson.house.gov/images/11-8-13_TPA_Letter.pdf
・共和党
+ Republicans (22) : http://jones.house.gov/press-release/gop-house-members-oppose-fast-track-trade-promotion-authority
http://jones.house.gov/sites/jones.house.gov/files/11.12.13%20Fast%20Track%20Letter_0.pdf

+ Moderate Republicans (6): http://www.citizen.org/documents/joyce-fast-track-letter.pdf

【翻訳文書】(英文と日本語文の併記/翻訳:小幡 詩子)
・democratic letter
 https://dl.dropboxusercontent.com/u/1521351/207%40Democratic%20letter%20on%20fast%20track%20_1_%29.pdf

・Repubilican letter
https://dl.dropboxusercontent.com/u/1521351/227pRepublican%20letter%20on%20fast%20track%29.pdf

2013年11月13日水曜日

ジョセフ・スティグリッツ「南アフリカ 抜け出る」

世界の著名人が論調を発信するプロジェクト・シンジケ-ト(米国・ニュ-ヨ-クとチェコ・プラハに拠点)に、ジョセフ・スティグリッツが掲載した記事を翻訳掲載します。この間、途上国に対して深刻な影響経済連携協定の見直しの動きが出ていることを紹介しているものです。

ジョセフ・スティグリッツといえば、ノーベル経済学賞を受賞した代表的な経済学者でコロンビア大学教授。クリントン政権時代には大統領・経済諮問委員会の議長を務め、世銀の上席副総裁、上席エコノミストも経験しています。最近は格差や社会の分断についての著作を出版する人物です。(翻訳:戸田光子/監修:廣内かおり)

☆ ★ ☆

南アフリカ 抜け出る(ニューヨーク発―2013年11月5日)


国際投資協定が今またニュースになっている。米国は2つの大きな、いわゆる“経済連携”協定の中で強固な投資協定を押しつけようとしている。その1つは大西洋、"bridging the Atlantic"もう1つは太平洋"the Pacific"をまたぐ協定で、現在交渉中だ。しかし、そのような動きに対して反対が高まっている。

南アフリカはアパルトヘイト撤廃後間もない時代に調印された投資協定を自動更新しないことを決定し、打ち切る協定もあると発表した。エクアドルとヴェネズエラはすでに協定を打ち切っている。インドは紛争解決の仕組みが変わらない限り米国との投資協定に調印しないと言っている。ブラジルはそのようなものにまったく関与したことがない。

こうした抵抗にはもっともな理由がある。米国内でさえ労働組合、そして環境保護、保健、開発、その他のNGOが米国の提案している協定に反対しているのだ。

経済連携協定は、途上国政府が、鉱山会社やその他の会社から自国の環境を守り、病気や死亡の原因となると知りながら製品を広めるタバコ企業から国民を守り、2008年の世界金融危機で非常に大きな役割を演じた破壊的金融商品から自らの経済を守る能力を著しく妨げるものだ。たびたび金融市場に大損害をもたらし、途上国の危機をあおった不安定な短期資本移動のようなものを政府が一時的に管理下に置くことさえ制限する。実際、経済連携協定は、債務の再編から積極的差別是正措置に至るまで政府のすることに異議を唱えるために使われてきた。

このような経済連携協定の支持者たちは財産権を守るために協定が必要だと主張する。しかし南アフリカのような国にはすでに憲法が保障するしっかりした財産権がある。自国民の所有する財産より外国企業所有の財産のほうを優先して守らなければならない理由はない。

さらに、もし財産権保護に対する南アフリカの約束を投資家に納得させるのに憲法の保障でも十分でないというなら、外国人はいつでも、多国間投資保証機関Multilateral Investment Guarantee Agency(世界銀行グループの一員)が提供する収用保険や同様の保険を提供するさまざまな国家機関を利用することができる。(たとえば、アメリカ人は海外民間投資公社Overseas Private Investment Corporationから保険を買うことができる。)

しかし投資協定を支持する人たちは、どちらにしても、財産権の保護について本当に心配しているわけではない。真の目的は、企業に規制をかけ課税する政府の能力を制限することにある。すなわち、権利を守るだけではなく、政府が企業に責任を課す能力を制限することにある。企業は、公開の政治的手順では獲得できないものを―秘密裏に交渉した貿易協定を通して―こっそり手に入れようとたくらんでいるのだ。

これが外国企業を保護するものだという考えさえ一種の策略である。A国を本拠地にする企業がB国に子会社を作りA国の政府を訴えることもできる。たとえば、アメリカの裁判所は一貫して規制の変更による利益の損失(いわゆる規制的収用)に対して企業に補償する必要はないと裁定してきたが、典型的な投資協定の下では、外国企業(あるいは外国の子会社を通じて事業を行うアメリカの企業)は補償を要求することができるのだ!

さらに悪いことに、投資協定は、まったく理にかなった当然の規制変更に関して、企業が政府を訴えることができるようにするものである。―たとえば、タバコの使用を制限する規制によってタバコ会社の利益が減じたときなどだ。南アフリカでは、人種差別政策の後遺症に取り組むべく策定された政策によって純利益が損なわれた可能性があると企業が確信すれば、訴えを起こすことができる。

これまで長期にわたってとられてきた「国家主権による免責特権(訳注:国家が外国の裁判権に服することから免除される国際法上の原則)」という考え方がある。つまり、国家が訴えられるのは限られた状況の下でだけであるというものだ。しかし米国が支持するこのような投資協定は途上国に対し、この免責を放棄し、21世紀の民主主義のあるべき姿からはかけはなれた手続きによる裁定を容認するよう要求している。この手続きには、複数の委員会から提出された相容れない決定を一致させるための体系的な方法もなく、恣意的で気まぐれなものであることがわかっている。支持者たちは投資協定によって不確実性が小さくなると主張するが、こうした協定の条項の曖昧さや解釈の対立によって、不確実性は大きくなっているのだ。

このような投資協定に調印した国々は高い対価を払ってきた。なかには、膨大な数の訴訟―そして莫大な額の支払いにさらされてきた国もある。非民主的で腐敗した前の政府が調印した契約について、国際通貨基金やその他多角的機関が無効とされるべきだと勧告してからも、国家はそのような契約を守るべきであるという要求すら出されている。

途上国政府が訴訟に勝っても(訴訟は過去15年間で大幅に急増した)、訴訟費用は巨額である。その(意図された)効果は、企業に規制、税、そしてその他の責任を課すことによって国民の利益を守り、前進させようという、政府の合法的な努力を委縮させることである。

さらに、そのような協定に調印するという愚行を犯した途上国にとって、たとえ利益があったとしてもわずかであることが証明されている。南アフリカ(政府)による再調査で、協定を結んだ国からは多額の投資を受けておらず、結んでいない国から多額の投資を受けていたことがわかった。

南アフリカが投資協定を慎重に見直した後、少なくとも協定は再交渉するべきであると決定したのも驚くことではない。そうすることは投資に反対なのではない;開発に賛成なのだ。そして、もし南アフリカ政府が国の経済と国民にもっとも役立つ政策を追求しようとするなら、見直しは必要不可欠のものである。

実際、国内法で保障されている投資家保護の内容を明確にすることによって、南アフリカは、1996年の新憲法採択以来繰り返ししてきたように、法の支配に対する国の責任を今改めて行動で示している。民主的な意思決定を最も深刻に脅かすのは投資協定そのものなのだ。

南アフリカを祝福すべきだ。他の国も後に続くことを願っている。(翻訳:戸田光子/監修:廣内かおり)

2013年11月12日火曜日

フロ-マンUSTR代表「何が未解決の問題なのか、みんなの頭にはっきりと描かれている」「満足のいく結果を二国間交渉で導き出す必要がある」

米政府機関の閉鎖は解除されましたが、まだ閉鎖中の時にワシントン・トレ-ド・デイリ-がUSTRフロ-マン代表に独占インタビュ-をしています。

勿論フロ-マン氏がマイナスのコメントをすることはない訳ですが、バリ島での首脳会合以降、年内合意の目標を維持するために議会対策にかなり集中し、かつ議会の各関係委員会を総動員して取り組んでいる様子が伺われます。年内妥結を優先するために合意の水準を切り下げることも許されないという事情け中で、一方で中間会合や2国間交渉で妥協点を探ろうとする動きも垣間見ることができます。

★ ☆ ★

2013年10月15日(水)
ワシントン・トレード・デイリー第21巻207号からの紹介
フロマン米国通商代表部代表との議論

マイケル・フロ-マン米国通商代表部代表は昨日、WTD(ワシントン・トレード・デイリー)との独占インタビューに応じ、進行中の貿易における重要な出来事について語った。インタビューでフロ-マン代表は、目下、米国政府が閉鎖されているが、多くの重要な貿易分野において進展していることを強調した。
彼は、終わったばかりのバリ島におけるTPP参加国の首脳による協議とそれに続く環大西洋貿易投資協定の交渉(先週のブリュッセルでの交渉第2ラウンドは延期)に触れた。(WTD, 10/11/13)

フロマン氏はまたジュネーブにおける「バリ」危機について語ったが、WTOのロベルト・アゼベド新事務局長は12月はじめのWTO第9回閣僚会議までに貿易構想をまとめるためにできることはすべて行っている、とも述べた(この号の関連記事参照)。

オバマ政権は(ほかにも喫緊の懸念を抱えるが) 、大統領貿易促進権限や米国一般特恵関税制度(GSP)の更新など今後も様々な貿易問題について議会と密接に協議を続けていく。

以下は30分のインタビューを書き起こしたものである。

Q:大統領貿易促進権限と米国一般特恵関税制度の更新については、どのように進んでいますか?オバマ政権はどちらも達成したいことと思います。議会との議論はどういう状況ですか?どちらも今年中の決着を望んでいますか?

A: 大統領貿易促進権限については、オバマ大統領はそれを望んでいることを言明しており、われわれは早期実現を目指し、幅広い超党派の支持のある法案をまとめたいと思っています。ですから、管轄の委員会と作業を続けています。下院歳入委員会と上院財政委員会がこの数ヶ月間、法案についての作業を行っており、私たちもそれに協力しています。私たちは必要に応じて技術的支援を提供しています。できるだけ早く、できるだけ幅広い支持を得るために、協力に意欲的であると彼らにはっきりと伝えてあります。

一般特恵関税制度についても、私たちは更新の必要があると明言しています。両院には現在、はっきりとした更新をめざす法案が出ていると思います。私が感じるところ、両院とも目下ほかの問題に集中しているようですが、私たちの目標は、両院にできるだけ早く上程してもらうことです。重要な開発上の利益があることはもちろん、輸入に頼っているがゆえに現在高いコストに直面している企業にとっても重要な利益があります。ですから、議会が一般特恵関税制度の問題に注意を向けることができるようになった時には、これを進めてくれることを私たちは望んでいます。

Q:TPAとTPPの関係についてはどうお考えですか?TPPに決着をつけるためには大統領貿易促進権限が必要と感じておられるのか、あるいはTPAはむしろTPPを議会で通すためのものなのでしょうか?

A: TPAは重要な手段であり、できるだけ早く通せればよいでしょう。私たちは全力を上げてTPP交渉を継続しており、年内の決着を目指しています。前のTPAによって認められた既存の手続きのもとで議会と協力しているので、提案内容は、下院歳入委員会と上院財政委員会だけでなく、管轄する他の委員会も前もって目にしています。たとえば、農業問題の場合は農業委員会に提示sぅるなどです。私たちは積極的に議会を巻き込んでいますので、この間、議会が驚くようなことをTPPで交渉しているということはありません。しかしとにかく、繰り返しますができるだけ幅広い支持を得た上でTPAを早急に可決することが望ましいと思います。

Q:TPPの他の参加国は米国政府がTPAを持っていた方がいいと思っているとあなた方は感じていますか?交渉はいま最も困難な問題にさしかかっているので、合意について議会が承認するという一定の安心感を持てるのでは?

A:TPP交渉参加国は、オバマ政権がTPPを決着させて議会を通すことに専念していることを承知しています。彼らは米国での私たちの政策過程についてよく理解しており、私たちが貿易政策を議会と政府のパートナーシップとしてとらえており、議会が交渉のプロセス全体を通じて関与していることを分かっています。ですから、私は、繰り返しになりますが、議会は安心感を持っていて、驚くことはないと思います。私たちの議会のパートナーたちは、私たちが進めている内容はすべて知っており、これまでずっと意見や提案を出す機会を持ってきました。

Q:バリでのTPP首脳会合を受けて、TPPの現状についてお話しいただけますか?交渉官たちに対して、交渉を年内に終えるための具体的な事項について明確な指示が出ているのでしょうか?

A:7月から数か月は、交渉に大きな進展があり、いくつかの未解決の問題を解決しましたが、それだけでなく、残りの解決すべき問題を整理し、解決のための道筋を打ち立ててきました。主任交渉官の会合と閣僚そして首脳たちの会合との間、ここ二週間に、全TPP交渉参加国は、すべての未解決の問題や、今後全体として討議される必要のある事項や妥協点について明確な道筋を描き、取り組むべき内容とその方法を具体的に把握したうえでバリを後にしたと思います。


今後は厳しい交渉を行なわなくてもいいという意味ではありません。そういった交渉は今後もあります。しかし、何が未解決の問題なのか、みんなの頭にはっきりと描かれていると思います。これまで、それらを解決するための政治的指針が示されたり、政治的指針が主な妥協点を探るために有用だったこともありました。しかしそうした点については今後、交渉官たちが取り組んでいくことになります。

Q:現時点で、技術的な面で残っている問題はあるのでしょうか。それとも今後はフロ-マン氏やそれ以上のレベルでの交渉となるのでしょうか?

A:実際はまだ、あらゆるレベルでの問題があります。技術的問題はほとんど解決しましたが、残された問題には、中間会合や二国間交渉で交渉官が取り組まなければならないこと、そして最終的には閣僚がこれから行なわなければならない重要な作業が依然として存在します。

Q:残された課題の中で、内最も難しい問題を処理していくための道筋はあるのでしょうか?

A:主な未解決事項については、それぞれに解決への道はありますし、それらを処理していくための包括的な提案もあります。TPP交渉参加国の間には、交渉の次の段階で私たちが目標とすべきなのは、個々の主要な未解決分野で高い水準を確立してから、次に、特定の国がセンシティブな問題として挙げている特定の問題に集中し、かつ、すでに確立した高い水準と矛盾しないで議論することだということについて、全体的な合意があります。現在、私たちは取り組みを始めているところです。私たちは二国間で、それぞれの国の固有な問題について理解を深め、同時に全参加国による多国間交渉で、高い水準を確立しようと取り組んでいます。

Q:包括的提案が明確になってきたと言われますが、章と章の間で交換条件が可能な分野が明らかになってきたということでしょうか?

A:あるいは、ひとつの章の中で複数の未解決の問題がある場合もあります。ある国がある方向に前進し、それによって他の国が他の問題において別の方向へ前進できるということはあります。この種の議論を私たちはバリで始めたわけで、現在も交渉が続けようとしています。

Q:バリの会合を受けて、TPP交渉に参加している12カ国がすべて、ゴールすると思いますか?

A:全参加国がそのために努力していると思います。最終的には、これによってそれぞれの国が核となる関心をもつ事項に充分に対処できるのか、各国が判断する必要があります。しかし、すべての国はこれから数ヶ月間集中して、未解決の問題に取り組むために協力することになると思います。

Q. TPP交渉参加国は、交渉の終盤にさしかかった今、通貨操作の問題を議論に持ち込みたくないことが明らかなようですが、議会は積極的です。通貨操作の貿易に与える影響への議会の懸念に、TPP以外で対処する方法はあるのでしょうか

A: まず、私たちは議会との間でこの関心事を共有しています。ですから現政権の発足以来、例えば中国との通貨問題は私たちの最重要課題となってきました。大統領の方からこの問題が提起され、我々は 中国政府とのあらゆる会合で、取り上げてきました。G-20でも、適切な場合はG-7でも、IMF、WTOでも追求てきました。ですから、私たちもこの課題を共有しているのです。
問題は、これらの問題を最善のかたちで進展させることであり、解決のための最善の方法を議員や利害関係者たちと協議をしているのです。

Q:日本について、日本は米国との二国間合意がなければTPPに署名できないことは理解しているのでしょうか。あるいは、二国間合意まではTPP合意そのものがないのでしょうか?


A:私たちは、日本を含むものとしてのTPPを決着させるために、自動車、保険、非関税措置に関する二国間交渉で満足のいく結論に至る必要があると明言しました。そして日本は概して、TPP交渉そのものについては、たいへん建設的な姿勢で交渉のテーブルについています。
二国間交渉は、とても重要です。私たちは二国間交渉で進展が見られるよう、大変な努力をしています。最終的に、TPPを日本と一緒に終結させるには、満足のいく結果を二国間交渉で導き出す必要がありますから。

Q:これら二国間交渉はどのような段階にありますか?

A. 現在、進行中です。正式には8月以降、東京で一連の会合を行い、米国でも一連の協議を持ちました。日本は7月下旬にTPP交渉に参加し、8月初めにはウェンディ・カトラー代表補が日本に行ってきました。それ以来、私たちは多くのやり取りをしてきました。ほんの2~3週間前にはアジアで茂木大臣と甘利大臣にも会いました。ですから、交渉は進行中であり、彼らとは、満足のいく進捗をはかるためにはよい結果をださなければならないという点を明確にしています。

(中略)
Q.連邦政府閉鎖が続くことは、貿易交渉の遂行にどのような影響を与えていますか?例えば、あなた方は環大西洋貿易投資協定TTIPの第二次会合をキャンセルしなければならなかったし、オバマ大統領はバリ会合に参加できませんでした。それによって、他の国々が、米国を信頼に足る貿易相手国と見るかどうかに影響が出ないでしょうか。

A. まず、米国通商代表部のスタッフは、信じられないくらい献身的かつ勤勉で、連邦政府閉鎖の間も私たちの優先事項が重視されるよう手を尽くしています。具体的にいうと、ここ米国通商代表部には最小限の人員からなる基幹的なチームがあります。私たちはTPPが進展するようその最小限のチームを派遣し、その結果、大統領不在にもかかわらずかなりうまくいったと思います。
確かに大統領がいればもっとよかったかもしれません。しかし、勢いは継続できたと思います。ニュージーランドのケイ首相とケリー国務長官には、首脳会合を成功させる上で重要な役割を果たしていただき感謝しています。
WTOでの課題もあり、これは延期できません。WTOが始まる前にジュネーブに法律の専門家を派遣してこれらのケースについての議論を行うか、あるいは概要説明を提出しなければならず、このスケジュールは変えられません。

しかし確かに、影響はあります。今のところ、多くの問題を保留にしなければなりません。環大西洋貿易投資協定の交渉会合の延期であったり、二国間交渉の中で持ち上がった重要な問題をフォローするための相手国への関与の延期であったり、優先的に実施すべき重要な事項の延期などです。ですから、私たちにとっては大きな影響がありますが、貿易相手国側は理解してくれていると思います。私たちが前進させようとしてきたTPPやバリでの合意の勢いは失われることはないでしょう。もちろん私たちはみな、閉鎖が終わるのを待ち望んでいます。そうすれば、私たちのスタッフを配置に戻すことができ、現行の交渉に取り組み、既存の協定や合意を監視して、私たちの貿易の権利と貿易法の全面的な実施による雇用創出、成長の促進、中間層の強化、にとって非常に重要と私たちが考える問題について取り組みを続けることができるのです。

WTD: ありがとうございました。
(翻訳:清水亮子/監修:廣内かおり)

2013年11月9日土曜日

「TPPフリーゾーン(無効地域)」をアメリカで初めて公式宣言、ウィスコンシン州デーン郡

米国では過去1~2年の間に、50州の州議会が何らかの形でのTPP反対決議を上げていると聞いています。まるで日本の市町村会などがTPP反対決議を上げているのと同じことが米国でも起きていることを最近知りました。その中にあって、下記のデ-ン郡による「TPPフリ-ゾ-ン宣言」はユニ-クであり、今回紹介したいと思った次第です。(翻訳:池上 明/監修:廣内かおり)

★ ☆ ★

ウィスコンシン州デーン郡、「TPPフリーゾーン(無効地域)」をアメリカで初めて公式宣言

ウィスコンシン州デーン郡(※)の郡委員会(郡の最高機関)は、全会一致(2名棄権)で環太平洋経済連携協定(TPP)に反対する強力な決議を可決し、「デーン郡のTPPフリーゾーン(無効地域)」を決定した。さらに、たとえTPPが制定されたとしても、郡は「住民、労働者及び地域ビジネスに最善の利益をもたらす政策を実行し、生命の基盤となる生態系を守ることを放棄しない」と宣言した。

郡委員会はまた、郡内の全市町村にもTPPフリーゾーンとなるよう呼びかけた。

この案はとりわけ郡委員会委員長John Hendrick氏、郡議会長の Chris Schmidt氏及びマディソン市長の Paul Soglin氏に支持された。

TPP交渉は長年にわたり行われているが、いまだにほとんどの人は交渉が行われていることすら認識していない。これはアメリカの交渉当局が提案内容の開示に消極的なためだ。TPPは現在、ベトナム、日本、オーストラリア、マレーシアを含む最大且つ、最もハードルの高い自由貿易協定となっている。Citizens Trade Campaign(市民団体)が最初に漏洩した条項案によると、交渉当局は国と地方の政策立案について深く介入できるような提案内容を推進していることが明らかとなっている。

「地方自治体は、多国籍企業が仲裁機関を通し、地方条例に異議を唱えられることに特に不安を感じている」と郡委員会委員長 Hendrick氏は述べた。「例えば、マディソン市とデーン郡の『地消主義』や生活保証賃金についての条例は、企業利益にとっての障害と見られかねない」。

デーン郡の決議はまた、通商協定の交渉及び承認に関するファスト・トラック・プロセス(大統領に対して与えられている通商協定に関する一括的取扱いの権限)を批判している。企業のロビーグループの一部は、通常の議会による検討、修正及び討議の手続きを回避できる新しいファスト・トラックを可決するよう議会を後押ししている。

透明性こそ市政府において、我々が重視し要求していることだ」とマディソン市長の Soglin氏は述べた。「我々が反対したNAFTAのときにもそうだったが、もう同じことはさせない。支持することはできない」。

「もしこれ(TPP)が良いものならば、公開の場で議論されるはずだが、実際のプロセスは秘密裡以外の何物でもない」とウィスコンシン公正貿易連合委員長でありAFL-CIO前ウィスコンシン支部長の David Newby氏は語った。「連邦政府は交渉に関する文書を報道関係者にも国民にも出したがらない。それにもかかわらず、600社以上の企業ロビイストはこれを入手できる。良い統治だとはとても言えない」

「TPPは多国籍企業の利害と利益を優先している」と群議会議長の Schmid氏は語った。「TPPは我々の雇用、環境そして食料までも犠牲にし、多国籍企業による賃金の搾取や海外労働者に対する保護の欠如を可能とするものである。これは我々の生活水準を低下させる恐るべき公共政策であるだけでなく、経済的クーデターである」。(翻訳:池上 明/監修:廣内かおり)

(※注)ウィスコンシン州デーン郡
ウィスコンシン州はアメリカ中西部の最北にあり、五大湖のミシガン湖西岸に位置する(アメリカ合衆国50州の中で面積は第23位、人口は第20位)。デーン郡は、人口約49万人を擁し、州内72郡の中で人口はミルウォーキー郡(95万人)に次ぐ。郡都はマディソン、面積は3,113㎢(東京都の1.5倍弱)。(出典:ウィキペディア)

2013年11月6日水曜日

「これでいいのか?! TPP 12.8大行動」への賛同と参加のお願い

「STOP TPP!! 市民アクション」も実行委員会として関わっている「これでいいのか?! TPP 12.8大行動」の賛同と参加の呼びかけです。ぜひよろしくお願いします!

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このままTPP交渉妥結はおかしい
と考えておられるすべての団体のみなさんへ

「これでいいのか?!TPP 12.8大行動」実行委員会

よびかけ団体
・TPPに反対する弁護士ネットワーク
・参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会
・主婦連合会


「これでいいのか?! TPP 12.8大行動」への賛同と参加のお願い

 連日のご活躍に敬意を表します。
 さて、ご承知のように、TPP(環太平洋経済連携)交渉では、政府は、秘密保持契約を盾に、日本としての提案も含めて、交渉内容を国民にも国会にも一切明らかにしないまま交渉を続けています。その一方で、年内妥結をめざして、交渉は大詰めを迎えていると伝えられています。
 このままでは、安倍首相が交渉参加に当たって約束した丁寧な議論もないまま、結論だけが押しつけられる事態になりかねません。衆・参農林水産委員会決議が求めている情報開示が行われないままでは、「聖域」を守ることを含めた交渉内容に関わる決議も守られる保障はありません。
 私たちは、いまこそ、TPP交渉に反対する声、あるいは秘密のまま進められている交渉に疑問を持っている声を総結集して、政府に対して「国民的な議論もないまま交渉妥結でいいのか」の声を突きつけ、このことを広く社会にもアピールすることが必要ではないかと考えました。そこで、私たちは、呼びかけに応えた多くの団体とともに、集会とデモ行進からなる「大行動」を、128()に開催したく、準備を始めました。
 貴団体におかれましても、別紙「大行動の趣旨」等にご賛同いただき、下記により行動にご参加・ご協力いただけますよう、要請申し上げます。


1. 行動への参加と賛同などお願いしたいこと。

(1)   別紙(文末にリンクあり)「大行動」の趣旨・原則にご賛同いただき、貴団体の構成員はじめまわりの方々に参加を呼びかけていただくこと。

(2)   賛同に当たって、運営経費に充てるため、賛助金を拠出いただくこと。
(一口2,000円で何口でも)

(3)   賛同していただいた団体には、行動の準備状況を逐次お知らせします。賛同団体は実行委員会に出席して、意見を述べることができます(出席が義務ではありません。念のため)。
  
2.       賛同の可否など、以下の内容でご回答をいただければ幸甚です。
(1) 団体名
(2) 住所
(3) 賛同の可否
(4) 賛同いただける場合、賛助金の口数
(5) 12.8大行動への参加の予定(参加する、参加できない)
(6)チラシ・ポスターの必要枚数
(7)担当者・連絡先など
(8)ほかにご意見や要望があれば。

3.別紙回答用紙にご記入いただき、EメールかFAXで、下記連絡先にご回答ください。

4.賛同し、賛助金にご協力いただける場合は、下記にご送金ください。
  (金融機関名)ゆうちょ銀行 (記号)10120 (番号)67178361
*ゆうちょ銀行以外の金融機関から送金の場合
(店名)〇一八(ゼロイチハチ) (店番)018 (普通口座)6717836
  (名義はいずれも)「これでいいのかTPP実行委員会」

5.賛同の締め切りについて
  賛同は、125()まで受け付け、当日のポログラムに掲載し紹介させていただく予定です。なお、あまり期日がありませんが、1111()までに賛同をご連絡いただいた団体については、チラシに掲載させていただく予定です。

6.「大行動」のチラシ・ポスターの配布について
  11月中旬には、チラシとポスターを発行します。ただし、経費の都合で団体の買い取り制(チラシ@6円、ポスター@100円、送料込)とさせていただきますので、必要な場合は枚数をお知らせ下さい。代金は、賛助金と同じ口座に送金をお願いします。
  なお、チラシのPDF版は賛同団体にメール送信させていただきますので、ご活用下さい。

7.連絡先:TPPに反対する弁護士ネットワーク事務局
  〒104-0061 中央区銀座6丁目12-15 COI銀座612 七階 東京市民法律事務所内
宇都宮健児弁護士気付 TEL: 0335716051(代表)/FAX: 0335719379/Eメ-ル: kznakano45※gmail.com(担当・中野和子弁護士/※を@にして送信下さい)

以上

※ 賛同依頼の文書は以下からダウンロードできます
(PDF版)

2013年10月23日水曜日

つながろう! TPP交渉妥結?! 2013年末連続アクション

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の年内妥結に向け、日本政府が国内外の調整を加速している。10月21日に東京都内で関係団体向けの説明会を開き、同じ時期に米国と二国間の貿易問題を話し合う「日米並行協議」の第三回会合が米国内でスタート。10月末には知的財産に関わる中間会合を日本国内で開催する予定だ。

そんな動きになんとか歯止めをかけようと、「STOP TPP!! 市民アクション」に関係する団体は次々とイベントや講演などを実施。2013年末連続アクションとして、随時イベントをアップしていきます!

【TPP交渉妥結?! 2013年末連続アクション・スケジュール一覧】

 トーク(講演会等) ムービー(映像上映)
デモ・行動
日程 イベント 会場/主催
12/3 首相官邸前(国会記者会館前)/STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会
12/4
  TPP、この先どうなる?~わたしたちのくらしを守るには~
多摩消費生活センター(東京都立川市)/東都生協 第8&第9地域委員会
12/7 主婦会館プラザエフ 7階会議室「カトレア」/東都生活協同組合、食糧の生産と消費を結ぶ研究会
12/7
  TPPでどうなる!?わたしたちの食と暮らし
篠ノ井市民会館(長野県長野市)/はたらく女性の長野県交流集会実行委員会
12/7
 大デモ
代々木公園
12/8
 これでいいのか?! TPP 12.8大行動
日比谷野外音楽堂/「これでいいのか?! TPP 12.8大行動」実行委員会
12/8
 『誰のためのTPP?―自由貿易のワナ―』上映&交流会@市民社会フォーラム(神戸)
元町映画館2階/NPO法人AMネット
12/10
 ★遺伝子組み換え問題からTPPを考える連続講座「食卓から安全と安心が消えていくTPPと遺伝子組み換え食品」(チラシ
東京ウィメンズプラザ 視聴覚室遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
12/11
 ★TPP連続講座「山村の崩壊と再生・自立─秩父の村からの報告」(チラシ
連合会館5階501号TPPに反対する人々の運動





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【TPP交渉妥結?!緊急アクション・ <終了>したスケジュール一覧】
 トーク(講演会等) ムービー(映像上映)
日程 イベント 会場/主催
10/16 連合会館501号室/TPPに反対する人々の運動
10/20
 <終了>みえ医療福祉生協・伊賀町診療所の職員が始めたストリートミーティング
渋谷区の青山こどもの城/(社)命・地球・平和産業協会 日本国憲法を活かすフォーラム
10/20
 <終了>TPP問題を考える集会「世界が食べられなくなる日」上映会&討論会
ストップTPP!!山形県民アクション
10/25
 <終了>新作DVD完成イベント『誰のためのTPP??自由貿易のワナ』
日比谷図書文化館地下1F 日比谷コンベンションホール/アジア太平洋資料センター
10/26
 <終了>豆乳ヨーグルトのつくりかた&TPP学習会~TPPでその豆乳も遺伝子組み換えに?
会津労働福祉会館(福島県会津市)/会津地区平和フォーラム
11/5
 <終了>STOP TPP!官邸前アクション
首相官邸前(国会記者会館前)/STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会
11/13 東京都台東区東上野6-18-14/国際協力NGOセンター
11/14 豊島区民センター 6階文化ホール/農業・農協問題研究所
11/16 宮下公園→代々木公園</11.16 みんなでストップ!TPPデモ 実行委員会
11/20
 「国会前座り込み・議員要請」行動(11:00〜)
衆議院第2議員会館前/全国食健連
11/21 連合会館5階501号TPPに反対する人々の運動
11/23
  遺伝子組み換え、TPPと 食の未来
神奈川県秦野市/丹沢未来プロジェクト
11/23
 ★ストップ!TPP県民集会(チラシ
NOCプラザホール(新潟県新潟市)/自由法曹団新潟支部、新潟県保険医会、TPP参加交渉から即時脱退を求める大学教員の会/新潟、TPP参加阻止新潟県民共闘会議
11/23 市民交流センターひがしよどわ403号室/AMネット
11/24
  第66回VIDEO ACT!上映会~TPPって何だ!?~
野菜を食べるカフェ 油揚げ(東京都 大田区)/八王子・生活者ネットワーク
11/25
 ★シンポジウム「TPPと医療制度の未来」~破壊されたら後戻りできない危険な仕組み(チラシ
弁護士会館10階 1003号室/第二東京弁護士会
11/26 杉並区立産業商工会館3階/こどもの未来をまもる会・杉並
11/28
  NO!!TPP郵政公共サービスを守る院内決起集会(14:00〜)
衆議院第2議員会館多目的会議室/郵政産業ユニオン
11/28 東京ボランティア・市民活動センター(東京都 新宿区)/VIDEO ACT!
11/30
  TPPでわたしたちの暮らしがどうなるの?食べてわかる!聞いてわかる!TPP
北野市民集会所(東京都八王子市)/八王子・生活者ネットワーク

2013年10月20日日曜日

10月8日 USTR TPP説明会の質疑応答

USTR TPP(環太平洋経済連携協定)説明会
インドネシア、バリ
2013年10月8日

<前半部分省略>

政府高官:首脳たちは、今年中の交渉妥結という目標を再確認した。進展の状況によって日程は決まる。期日を守るためだけに都合の悪い協定に合意する者はいない。野心的ではあるものの可能な目標だというのが大方の見方と思われる。先週、またそれ以前も含め、今年の夏以降のマレーシア、ブルネイでの交渉ラウンドなどは実り多きものとなり、さらにブルネイでの閣僚会合とこの会合を通して進展が見られ、残る課題への対処にもはずみがついた。

貿易協定(の交渉)は、もっとも困難な問題が最後まで残るものだ。各国は大詰めになって問題の複雑さを認識し始めているのだろう。交渉担当官たちはこれらの問題に協力して取リ組み、独創的な解決法を見つけ出そうとしている。

質問者:では来年にかかる可能性もあるのか?

政府高官:その、-今年中にまとめるのが目標。

質問者:わかりました。

質問者:米国から見た場合、残された課題の中でもっとも難しいと思われるものは何か?それらを克服するための論拠は?

政府高官:どの章にも未解決の問題はあるが、これは貿易協定というものが全ての合意後初めて最終合意に達することによるものだ。交渉の様々な側面は最後にまとまる。パートナー諸国と共に新たな規律を構築し、貿易と投資に影響を与える広範な課題に確実に対処しようと取り組んでいるのが国有企業や知的所有権、環境の章である。つまり、新たな規律を定めるために我々は協力して作業をしている。他の協定から利用可能な枠組みを移せるような分野ではなく、協力し合って新しいものを作り上げていくしかない。

質問者:今の件について --
質問者:すいません、ただいまおっしゃったのは国有企業、環境、3つ目はなんでしたっけ --

政府高官:知的所有権です。

質問者:知的所有権、わかりました。知的所有権ですね。レズリーが話したことについて。マレーシアなどの何人かの首脳は(妥結が)不可能だと言っていると指摘した。マレーシアの大臣がはっきりと、我々は年内にこれをまとめることができないと表明しており、その理由の1つとしてブミプトラ政策があると理解しているが。

政府高官:どの国にも慎重に扱わなければならない問題があり、交渉の目的はそれらの問題に対して柔軟、且つ、的確に対処しながら克服しつつ、新たな規律のもと高度な基準を確立する方法を見出すことである。

質問者:では例えばマレーシアぬきで、あるいは日本[聞き取れず]ぬきで合意に達することもありうるのか?

政府高官:(質問者は)見逃したのかもしれないが、いま、ちょうど全首脳が出席した会合が終了し、年内に交渉をまとめようという目標を再確認し、合意したところだ。 それが目標であり、目指しているところだ。繰り返すが、大胆な目標であり、複雑な問題があるものの目指している目標はそれである。

「翻訳省略」

質問者:では最終合意まであとどれくらいか?

政府高官:[聞き取れず]

質問者:要するに、--

質問者:2カ月ですよね。

政府高官:はい。(会場:笑い)

質問者:そこが問題なのではないのか?2カ月ですよ?

政府高官:目標は2か月半です。(会場:笑い)

政府高官:いや、だってそうでしょ。ね。


質問者:2か月半ではだめだと思うが。

政府高官: -- 難しいことではある。TPPには29もの章があるのだから。

質問者:その通りですよね。

政府高官:すべての点について合意しない限り、合意というものはない。我々にはあらゆる問題に対して道筋が確保されている確固たる作業計画があり、最終的に均整のとれた包括的なパッケージがまとまるよう、様々な課題を並行して進捗させる。そして様々な問題に対応して交渉が進行中である。

大胆な日程で、複雑な問題もある。各国は残る課題の込み入った部分に注力しているのではないか。特に驚くべきことではない。貿易交渉の最終段階では、各国政府は最も困難な課題に(作業を)集中するし、それが今の我々である。しかし、多大な努力と、献身的な作業、継続的な取り組みによりこれらの問題解決をはかっている。

質問者:例えば様々な点で失敗しているドーハには無く、この協定にはある秘密が何かあるのか?12カ国は発展段階も経済形態も多様であるにもかかわらず、より野心的な協定を結ぼうとしている。ドーハが失敗に終わっているなか、TPPをどうやって今後2カ月で成功させようというのか?

政府高官:とても良い質問です。我々からすると、ドーハが失敗したのは主要な新興経済国が世界経済の中で果たす役割に見合った関与を拒んだから。つまり、サービスや製造品へのアクセス等の分野において、国際競争力を様々に反映させる形で経済を解放することを拒んだ。そのようななかで包括的なパッケージを見出すのは無理があった。

ここ2、3年の間に我々ができたことは、国際社会を巻き込むことだった。現在は、交渉が前向きになることを願いつつ、ドーハでの個々の課題を進展させる斬新で現実的な手法に的を絞ろうという国際社会の総意ができている。ここバリでのWTO閣僚会議まで2カ月となったいま、貿易促進を中心に据え、農業や開発についても含まれる包括的なパッケージの輪郭が明らかになっている。これについては昨日のAPEC首脳会議でも議論され、WTO(世界貿易機関)の事務局長が今週初めにいたときにも、APEC大臣間の会談で議論になった。我々の貿易交渉担当官の多くが、このパッケージの取りまとめに尽力している。

「翻訳省略」

質問者:どのようにしてベトナムやシンガポールと最高の基準を確立することができるのか?

政府高官:これらの国々がTPPに参加する以前、そして我々自身がTPPに参加する以前、P4と呼ばれていたころ、我々は高度な基準の協定を結ぶという目的について厳格な協議を行った。ベトナムを例にとれば、国有企業の問題は確かに難しいが、ベトナム政府との協議の中で、彼らが国有企業セクターの改革を求めており、TPPはその目的に沿うものと見ている、ということを彼らが明確にした。日本の首相も今日の会合で、(日本国内の)経済改革政策にTPPがいかに合致するかということを話していた。つまり、TPPに参加する理由として、TPPは各国が追い求めているよりさらに大胆なもくろみの達成を助けるものである、という面も一部あると思う。

質問者:それは改革の、ということですか?

政府高官:課題による。市場アクセスの改革、市場統合など。高度な基準と規律を持つ協定を目指し自主的に集まったグループだ。

質問者:本日の会合において、例えば大統領が欠席したため欠けてしまったものはあるか?

政府高官:そうですね‐

質問者:どんな事でもいいが、もしも大統領が出席していたらもっと進展が望めたであろうものはあったと思うか?

政府高官:大統領がいなかったのは確かに残念だったが、ケリー国務長官に代理で出席していただいたのは幸運だった。それに我々同様、そこに的を絞っている他の首脳達と共に先週の会合の勢いをそのままに保つことができたと思う。

「翻訳省略」

質問者:あるインドネシア政府役人が、TPPに注目が集まってしまうのをあまり快く思っていないこと、実質的にはTPP交渉の場を公式会場から他へ移したこと、そして12月にはここバリでもう交渉は行って欲しくないことを明らかにしている。これには一体どのくらい真実が含まれているのか?

政府高官:インドネシアの皆さんはAPECにおいて素晴らしい仕事を成し遂げたと思う。APEC首脳会議だけでなく年間を通じたAPEC関連の諸活動をも運営し成功裡に終わらせている。私は非常に成功したと考えている。そして12月になってここで閣僚会合、WTOの閣僚会合を開催するときも成功するだろうと思っている。我々と彼らはその面で非常に緊密に協力していて、その上当然他のTPP参加国ともやり取りをしていり。

アメリカ合衆国政府は、全省庁にわたり深くこれに携わっている。APECとの関わりにおいては国務省と米国通商代表部が主導しているが、議題が広範囲にわたり、多数の政府機関が関わってくるし、インドネシア側の意図も支持するように努力している。

国務省高官:[聞き取れず]これが本当に最後の質問になります。

質問者:どうも、ありがとうございます。(会場:笑い)[政府高官へ]ありがとうございます。

政府高官:これが最後の質問ですか?それとも最後から二番目?

質問者:最後から二番目です[聞き取れず]。いや。失礼。

年内にまとまる見通しがついていると全員が表明していることは知っているが、これはマレーシアの大臣の公の発言や、テレビで数回にわたって、あるいは記者会見で言っていることと完全に矛盾している。そこで自分が考えていることは、ブミプトラ政策に関してマレーシアに、あるいは農業に関して日本等にある種の保証を与えているのではないか?ということだ。年内妥結に間に合わせるために、ある参加国に対して、これこれに関しては大丈夫ですよ、というような保証がなされたのか?それとも、年末になんらかの取り引きがあり、12カ国のうちの何カ国かは問題が解決し次第、加入するというような可能性があるか?

政府高官:マレーシア首相のその言葉というのは私はまだ見ていないが。

質問者:いや、首相ではなくて通産大臣です。

政府高官:ああ、通産大臣ですか‐

質問者:ええ、お送りしましょうか。

政府高官:‐で、そのことに関して‐

質問者:無理だと言ってました。

政府高官:首脳達の間で、交渉の現状、これまでの成果、今後対処すべき課題について、とても有意義な議論があった。取り組まなければならない複雑な課題がいくつかあることは明らかである。先ほど申しあげたように、我々が交渉のどの段階にいるかということ考えると、これは特に珍しいことではない。最終段階に入って大詰めを迎えると、残された課題に議論を集中させるのだ。

実質的には、どの国も優先課題や慎重な扱いが求められる課題がある。マレーシアにもあるだろうし、日本やアメリカもしかり。交渉の目標は、これらの課題に対処しながら達成しうる最高の基準を確立することだ。

私が言えることは、繰り返しになるが今年中に交渉を終結させるという目標を、首脳たちが肯定しているということ。大胆な日程であること、対処を迫られている複雑な問題が存在していることは認識されていて、これらに焦点が絞られ始めている段階だとということだ。ただ期日を守るためだけに自国の利益と一致しない協定に署名する国は無いだろうし、最終的には交渉の実体が日程を決定すると確信している。

「以下翻訳省略」

マレーシア首相からの強いメッセージ「合意の期限には縛られない」

2013年10月9日
TPP協定、年内合意の目標
MUSTAPHAKAMIL記者(ニュー・ストレーツ・タイムズ)

マレーシア首相からの強いメッセージ「合意の期限には縛られない」「われわれは、やみくもに要求に従いつもりはない」とナジブ首相は語った。

(バリ発)環太平洋戦略的経済連携協定(TPPA)交渉中の12カ国のリーダーたちは昨日会合において、協定結着の作業目標を年末とすることで同意した。
しかし、Datuk Seri Najib Razak首相はこの期限は確定ではないと語った。
「このスケジュールは、最善を尽くす努力目標である」と昨日、同地で開催されたアジア・太平洋経済協力(APEC)首脳会議の最後に述べた。

TPPA交渉は、APECの年次会合の合間に開催されている。
「期限を延長すべき理由がある場合は、われわれは延長を求めるつもりだ。われわれは、やみくもに他の参加国による要求に従うつもりはない」
「私は(昨日)午後の会議で、マレーシアにはTPPAの条項の一部に対する強い懸念があると明確に伝えた。われわれは、われわれの国益を決して犠牲にするつもりはない」、とナジブ首相は語った。

TPPAは、アジア・太平洋地域に広く自由貿易圏を確立しようとするもので、この協定の交渉にあたっている12カ国は、協定の包括的範囲と高い水準に同意する用意のある他の国々にも門戸を開いている。

TPPAには、旧来の自由貿易分野だけでなく、マレーシアにとって新たな分野である競争、労働、環境、政府調達、国有企業、知的財産権などの分野も含まれている。

TPPAが実現すれば、人口8億人、国民総生産(GDP)の合計額27.5兆米ドル(87.8兆マレーシア・リンギット)の市場が生まれることになり、人口2950万人、GDP3000億米ドルのマレーシアの市場をはるかに超えることになる。

協定は、マレーシアだけでなく、ほとんどの参加国で強い反対にあっている。
ナジブ首相は「われわれは、貿易と投資については争点にしていない」と言う。

「しかし、TPPAには、国内政策を決定する際のわれわれの主権に影響を及ぼす条項を含まれている。私はこのことについて会合で説明し、他の首脳からも理解を得た。年内の決着は、協定締結の最終期限ではない」。

2013年9月27日金曜日

米国市場参入への進展 (ファーマーズ・ウィークリー・プラスの翻訳)

そろそろ、そして急速にギリギリの腹の探り合いや駆け引きが始まろうとしているも知れません。以下は米国の乳業を含む業界団体がUSTRフロマン氏と農務長官ト-マス・ビルザックに送った書簡からの紹介です。

日本・カナダと言う大きな市場が加わる中で、米国の乳製品を含む農業団体は「TPPでは、例外を設けない交渉を支持」との書簡を農務長官に送りました。オ-ストラリアや、特にフォンテラという乳製品の巨大企業の攻勢があっても米国自身が攻め込む市場がTPPに参加したとの認識からでしょうか?一方ニュ-ジ-ランドのグロ-サ-貿易相は、「これは米国内の少数派である乳業団体をなだめえるためのポ-ス」とも言っている、と冷静?

ブルネイ以降政治的な駆け引きが活発化しているようです。(翻訳:戸田 光子/監修:廣内かおり)

      ※ ※ ※

ファーマーズ・ウィークリー・プラス
米国市場参入への進展
(ナイジェル・スターリング/2013年8月29日)

ニュージーランド農産物輸出品に対する米国市場の開放を求める戦いは、アメリカの農業関連主要圧力団体が農業を例外にしない包括的環太平洋貿易協定に支持を表明したことで、大きく前進した。

米国最大の農業圧力団体のうちの37団体が米国政府に対し、環太平洋連携(TPP)自由貿易交渉の支持を示す書簡を書き送った。この交渉は12カ国間で関税およびその他の貿易障壁撤廃を目指すものである。

新任の米国通商代表マイク・フロマンと農務省長官トーマス・ヴィルザックに送られた書簡の中で業界団体は、交渉に関わるいかなる国の農業も例外としないのであれば、包括的協定を追求する米国の交渉官たちを支持すると表明した。

「農業に含まれる生産物の例外も部門の例外もあってはならない。例外は加盟各国が新たな市場に参入し、事業を成長させ、経済成長と雇用を生み出す機会を制限するだろう」と書簡は述べている。

重要なのはその書簡にアメリカ乳製品輸出協会と全国生乳生産者協議会の署名があることである。

両団体はかつて、米国のTPP参加に懐疑的であり、国内市場を開放しニュージーランドの輸出品との競争になることの脅威をアメリカの農業従事者に強調していた。

2010年、全国生乳生産者協議会は、TPPを通じてニュージーランドが米国市場へ自由に参入できるようになれば、この協定から10年で(米国の)地域産業に200億ドルの損害を与える可能性があると言っていた。

ニュージーランドのティム・グローサー貿易大臣は、米国の乳製品業界からの支持は、農業を含むがゆえにニュージーランドに利益をもたらす協定をアメリカ議会が通過させるのに決定的に重要な意味を持つと述べた。
「ここでは政治の駆け引きはかなり見え見えだ。議会が動くのはこうした類の書簡を通じてだから、みんな賛成する団体の数を合計し、反対する団体の数を合計する。これが今進行中の政治プロセスだ。」とグローサー大臣は言った。

書簡は米国政府高官に先月送られたが、明るみに出たのは先週になってからだ。

それは、ニュージーランドのアグリビジネス団体がニュージーランド政府宛に7月半ばに送った、今週公開予定の書簡の事実上の丸写しである。

その書簡では、―フォンテラ(訳注:国策による乳業会社)、アンズコ(訳注:食肉関連会社)、食肉産業協会、そして農民連盟を含む―ニュージーランドの12の最も大きなアグリビジネス団体が、ニュージーランドの交渉担当者が交渉で追求すべきだとする7つの原則がまとめられている。交渉は今年決着する予定である。

農業のための例外排除のほか、この原則には商業的に有意義な時間枠内の関税廃止とTPP参加政府による科学的根拠に基づかない貿易制限の禁止が含まれている。

この原則はワシントンDCで行われた5月の会合で米国とニュージーランドの農業団体の間で作り上げられたもので、そこにはグローサー貿易大臣と前の米国貿易担当当局の高官が参加していた。

フォンテラは、ニュージーランド政府の支援を得て、他のTPP参加国の業界団体に対し自国の政府に同様の書簡を送るよう働きかけている。

「ここでは政治の駆け引きはかなり見え見えだ。議会が動くのはこうした類の書簡を通じてだから、みんな賛成する団体の数を合計し、反対する団体の数を合計する。これが今進行中の政治プロセスだ。」

ティム・グローサー貿易大臣
交渉に参加している国は他に、シンガポール、ブルネイ、ペルー、オーストラリア、ベトナム、マレーシア、メキシコ、カナダ、そして日本である。
仮にすべての国がゼロ関税に同意すれば、ニュージーランド経済の利益は2025年には21億ドルという高額になると見積もられている。
以前は敵対的だった米国の乳製品業界の姿勢が変わったのはTPP交渉がこの1年で拡大しカナダと日本を含むようになったからだ。
その2カ国はそれぞれ米国の2番目と5番目の乳製品市場である。カナダの場合は現在300%という高い関税率がかけられており、アメリカの生産者にとって将来性はさらに大きい。
米国がTPPを通してこれらの市場へ自由に参入できるなら、交渉の例外なきルールによって自国の市場へも同様のアクセスを提供することを多少なりとも余儀なくされる。そのルールに同意するとアメリカの業界は言っている。
しかし世界最大の経済大国の消費者市場を視野に入れるニュージーランドの輸出業者にとってはまだこれで成功だというわけではない。米国政府は19回に及ぶ交渉の後もまだニュージーランドに対して乳製品に関する提案を申し出る予定だ。
今年4月の米国上院議員への証言で、アメリカ乳製品輸出協会と全国生乳生産者協議会は、ニュージーランドの乳製品業界におけるいわゆる構造問題に取り組まないなら、いかなる貿易協定も拒否する可能性がまだあると述べた。
特に彼らはフォンテラによるニュージーランド乳製品業界の支配に批判的であった。フォンテラは生乳供給の90%以上を占めている。
グローサー貿易大臣は、米業界団体の公式な立場はまだそのようなものだが、ニュージーランドによる米国内市場への参入拡大に反対する米国の乳製品業界の少数派をなだめるための政治的ポーズでもあると思うようになったと述べた。
「これは交渉戦術であり我々はそのように扱っている。交渉の本質とはそういうものだ。なんとかどちらにもいいようにしようとしている。」
「我々の仕事はそんなことはさせないことだ。」

彼は10月初め、APECに合わせてTPP参加国の首脳たちがインドネシアで会合を開催するときまでに米国が乳製品に関する提案を出すことに期待した。
(翻訳:戸田 光子/監修:廣内かおり)

フローマン米国通商代表による電話でのTPP説明会

フロ-マン米国通商代表によるブルネイ交渉会合後の利害関係者説明会の内容を紹介します。最近になって始まった日本における政府説明会との違いがよく分かると思います。細かい内容や具体的な内容を明らかにしている訳ではありませんが、対話として一定成立しており、交渉のスタンスは感じられると思います。


         * * *

フローマン米国通商代表による電話でのTPP説明会
9月9日(月)午後4時45分~午後4時50分開始

米国通商代表部政府間事項および市民参加窓口補佐官、ジュエル・ジェームス氏
・我々は、市民団体やNGOが協定の交渉経過に関する情報を確実に入手できるようにしたい。
・あらゆる分野の250を超える利害関係者を招待した。
・TPP環太平洋経済連携協定への関与を期待している

米国通商代表マイケル・フローマン氏
・大統領の貿易交渉における最重要事項は、成長促進、雇用創出、中間層の強化である。
・大統領は貿易自由化促進のため、TPP、TTIP環大西洋貿易投資連携協定、WTOを含む、思い切った広範囲な通商協定に着手してきた。
・すべての交渉において、各協定が最高水準を誇る21世紀型の協定になるべきであると交渉相手国に明言してきている。
・最終的に目指すものは成長と雇用の創出である。

TPP
・2009年の交渉開始以来、交渉相手国と水準の高い野心的な協定を形にすべく作業を進めてきた。
・世界の中で経済成長のもっとも著しい地域は今後輸出が伸びる可能性が高く、米国内の雇用創出を促すために協定は重要である。
・19回目の会合を終えたばかりだが、TPPの首脳陣が集まる予定のバリ会議に向けて作業を進める。
・首脳陣は今年中の交渉妥結に合意しており、バリ会議は重要な位置づけとなる。
・TPPは参加国間や今後協定に参加する国々との間の、また、他の分野も含む貿易に影響する高度な水準を設定する機会である。
・旧来の障壁を壊し、雇用を拡大し、環境やIP(知的財産権)基準を設定し、SOE(国有企業)や中小企業にも照準をあて、あらゆる革新的な課題のために作業を進めている。

<質疑応答>

全米生乳生産者連合
質問:米国産品がカナダ、日本市場へ進出する大きなチャンスである-全ての人々にチャンスが与えられる素晴らしい協定となることを今一度希望する。
GI(地理的表示)の保護に対する懸念がある-EUとの交渉が失敗(一般的名称の使用付加)したのと同じ轍を踏むのではないかという不安である。

回答:TPP交渉においては、乳製品を含む市場参入の重要性についてカナダや日本にも明確にしている。交渉相手と協力しながらGIにも対処していくとしており、その点ではあなたと共通の視点を持っている。商標や一般的名称を守ること、それが交渉における我々の基本的な立場である。

米国砂糖連盟
質問:バリ会議における見通しを示されたい-困難な課題を解決できるのか、もしくは妥協した内容を固めているのか?誰もが年内妥結を謳っているが、日本は農業分野の例外5項目を提唱して交渉に参加した。果たして年内交渉妥結に現実性はあるのか?

回答:交渉国は夏から秋にかけ、交渉妥結に向け猛烈に作業を進めてきた。ブルネイ会議とバリ会議の間では中間交渉も予定されている。バリ会議は指導者達にとって年内妥結に向け何が政治的課題として残るのかを知る重要な会議となるだろう。日本は準備を整え追いつこうと多大な努力をはらっており、(私たちは)市場参入やあらゆる規制に関する課題への取り組みに期待している。日本は交渉を遅延は望んでおらず、前向きな精神で交渉に参加した。

全米鉄鋼労組
質問:先週の会議では着地点や交渉の妥結等々について話し合った。鉄鋼労組は自動車部品メーカー35万人の労働者を代表している。いつRDCに関する米国の要求を机上にのせるつもりなのか、また我々はいつ、承認を受けた助言者がその内容を再検証する機会があると考えれば良いのか?

回答:自動車分野全般に関してと、日本側との2国間交渉において我々はその問題について提案を出す準備を精力的に進めており、この問題について再度日本側と協議するつもりである。
次席交渉官は8月に日本を訪問しこの問題についての申し入れを行った。我々は現在その追加作業を実施している。また、より繊細な課題解決についても努力している。準備作業は完了しつつあり、近いうちに交渉を始めることになるだろう。しかし短期間での交渉は期待しないでいただきたい。

全米自動車労組 
質問:我々は日本の交渉参加が米国内の自動車業界の回復にどのような意味を持つのか懸念を抱いている。自動車部品の分野について、何か共有できる情報はあるか?また今後の交渉、もしくはこれと並行して行われる2国間交渉はどのように推移すると考えているか?

回答:我々は自動車、保険、その他の非関税的手段の交渉を日本と直接2国間で並行的に行うことは必須だと考えている。2国間合意はTPP交渉に盛りこまれ遵守の対象となるし、TPPの紛争解決の対象にもなる。
我々はこれらの要求を具体化する過程にあり、既にこの前提となる交渉を8月に行った。我々は交渉における要求作りのため3大自動車メーカー、国会、そして労働者団体等いくつもの利害関係者と話し合いを行っている。

米国国際ビジネス評議会
質問:オーストラリアにおける政権交代が今回の交渉にどのような影響を及ぼすのかについてお聴きしたい。特に投資の条項に関してだが、他の分野に対する影響も予想しているか?

回答:選挙の結果はまだ決着しておらず、新たな貿易担当相も発表されていない。我々は新政権が確立した段階で協議を進めることを待ち望んでいる。
率直に言えば、彼らがTPPもしくはTPPに含まれる個別事項に対しどのような立場をとるのかについて推測するには、若干時期尚早である。

必須薬品に対する大学同盟(UAEM)
質問:IPと投資家国家の条項についてはまだ交渉が決着していない。今年度中に交渉が決着すると考えているか?IP(知的所有権)条項決着の期限はいつか?また、TRIPS+(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)は交渉に含まれるか?もしそうであれば、どのようなものか?最も気掛かりなのは医薬品入手への影響である。
回答:IP条項は最も難しい条項の1つだが、最難関の条項については交渉が終盤に近付いた段階で決着すると思われる。我々は革新を促進し、革新的産業を保護しつつ、発展途上国での(安価な)医薬品入手も確保するという目標のもとで作業を進めており、適切に調和させたいと考えている。これは最後に決着する課題の1つになるだろう。

シエラクラブ(環境保護団体) 
質問:ブルネイの交渉が最後の正式な交渉の場だが、未解決な事項がいくつもあると理解している。懸念しているのは、交渉が進展する一方で利害関係者の意見聴取の機会が減りつつあることである。今後中間会合がどんな感じで進むのか、また、どの段階で利害関係者が関与できる機会があるのかを教えていただきたい。例えば、主席交渉官が来週ワシントンに来る予定だが、詳細について情報提供をしてもらえないか?

回答:利害関係者の関与は交渉の進展にとって非常に重要である。例えば交渉の中に特別に設けられた会合の場で、全ての国々から来た利害関係者が交渉官に向かって意見を述べるような場である。我々はまだ、年末までに残された期間の主席交渉官らの会合等、交渉日程を調整している段階であり、バリ会合以降の追加的な(交渉)機会等についてもまだ分からない。利害関係者がこれまでの会合で交渉に関与してきたような機会を今後も設定しようと考えている。日程が確定次第お知らせしたい。

米国癌協会 
質問:現在、マレーシアと米国ではタバコ業界に対抗する要求が出されている。マレーシアから出されたこの要求がTPPのタバコに関する条文に及ぼす影響について、直近の状況を教えてほしい。

回答:ご存じのとおり我々はこの分野について条文を提案している。この分野に関心を抱くマレーシアおよび他の国々と協議している。目標は米国や他のTPP参加国が、タバコを含め国民の健康に対する関心事を十分に法制化できるようにすることである。例えば、米国議会は2009年に決議を行ったが、同時にそのことが他の分野に波及したり貿易に対する過度な制限となる前例になったりしないよう配慮している。我々は、国民の健康が米国そしてTPP交渉参加の全ての国々に対し保障されることに注力している。現在は利害関係者やTPP交渉国とこの目的を達成する最良の方法について話し合っている。数週間、もしくは数か月のうちに良い結論を導き出せると考えている。

米国通商代表部、マイケル・フローマン氏
・我々は、最良の結果を導き出すためには、利害関係者からの情報提供が非常に重要であると考えている。
・この段階において、いくつもの難しい決断をしなければならす、全ての人々が100%満足することは難しいと考えている。しかし、皆さんから情報を聞き、相談をし、自分たちだけで決断を下さないことを約束する。
・交渉の過程において皆さんの関与を積極的に取り入れていきたい。
・もし回答しきれていない質問があれば、こちらのEメールアドレス(IAPE※ustr.eop.gov ←※を@に)に送っていただきたい。

午後5時15分終了
(翻訳:田所 剛/監修:廣内かおり)

2013年9月14日土曜日

押し付けを拒絶せよ!マレーシア国会議員が"STOP TPP"緊急動議を提出!透明性の欠如、知財、医薬品、著作権…

今年に入り、マレ-シアの国会議員がTPPに対して懸念を持つ超党派の集まりを形成し、政府によるTPP交渉に対し牽制をしていますが、ペル-においても国会議員がやはりTPPに対する懸念を国会動議に掛けています。

以下にその内容を紹介します。(翻訳:小幡 詩子/ 監修:廣内かおり)

★ ★ ★


決議案

以下に署名したペルー共和国国会議員、国会議員アクショングループ・人民拡大戦線のメンバーらは、共和国議会規則の第68条に基づいて、次の動議を提出する:

この動議は以下の条項を踏まえたものである:

一つ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は12ヵ国の経済―米国、カナダ、ペルー、メキシコ、ブルネイ、ニュージーランド、シンガポール、オーストラリア、マレーシア、ヴェトナム、チリ、日本を太平洋自由貿易圏に統合する目的で、モノ、サービス、農業、および知的財産権、投資、原産地規則、競争、労働および環境基準についての協定の妥結を目指す。

一つ、我々の注意は過度に紛糾する本交渉へ向けられ、公然の秘密および透明性の欠如によってTPP交渉の条文の内容を知ることができず、それゆえ参加国として、わが国がどのような基準に関与しているのか分からない。

一つ、米国により提案された知的財産に関する章について2011年に漏えいされた文書によると、TPP加盟国に対し著作権保護規則に従うよう提案しているが、それは技術革新同様に、知的および芸術的創造物にも深刻な制限を課すもので、ペルー人すべての表現の自由、プライバシーおよび革新を起こす能力を危うくしている。これは知的財産権に関わる規則を厳しいものとする新たな試みである。

一つ、TPP協定は他の交渉においても拒絶された内容を進めるものである。それは、競争およびジェネリック医薬品の市場への参入を制限し、生物学的製剤、とりわけ重要な抗癌剤を保護するという目的を危険にさらすものである。従って、この提案は受け入れるべきではない。

一つ、TPP協定はさらに、情報の自由な入手、インターネットや文化財の利用を脅かすものである。米国による提案は、厳格な著作権保護規則を課すことを求めているが、それはSOPA著作権保護法(オンライン海賊行為防止法案)において批判された著作権規則に類似している。本法案はアメリカ本国においても、情報への権利やインターネットおよびその他文化財(書物、ソフトウェア、音楽など)の自由な利用に対し、深刻な脅威をもたらすことになるので、最近否決された。

一つ、TPP協定はその上、ひとつの投資保護モデルを推進しているが、国際的には疑問視されつつあるモデルである。その理由は、本モデルにより、例えば民間資本および超国家企業は、国内の裁判を回避し、各国の主権や必要な措置に異議を唱えることが可能になり、公的医療や環境面での持続可能性を支持する法律の推進に影響を及ぼすからである。米国・ペルー自由貿易協定の投資条項の下、ペルーに対して8億ドルもの賠償を求める訴訟をドー・ラン社によって起こされたラ・オロヤ訴訟の間違いを正すこと、そしてこうした企業の優越性を新たな参加9カ国に拡大しないことを要請する。

チリ上院による2013年8月13日付けの合意に関連し、TPPが国内並びに地域の利害に及ぼす影響について警告を発しつつ、チリ共和国大統領がTPPに関する公開討論を開くよう要求する。

共和国大統領閣下、合意は“政府がTPPで進めている交渉の経緯における外交手続きや仕組みを超越して、公開討論を開くよう要請する。この討論は、本協定がチリに経済的に及ぼすかもしれない影響について、また国際関係について、とりわけ我が国もその一員となる地域統合の方法について、そして我が国の主要貿易相手国である中国との関係について、専門的で政治的な討論であり、時宜を得た開かれた討論であるべきである”としています。

一つ、経済的により強い国家による圧力や野望に対し、交渉上強豪な姿勢を保つ必要がある。また高所得国の実態に沿う目的のために構想されたモデルは、他の参加国の現実とは大いに異なるため、当モデルの押し付けを拒絶する必要がある。

一つ、自国に及ぼされる影響や費用対効果について分析し、ペルーが本貿易協定に固執する理由を明確にすることが絶対不可欠である。

以上を踏まえ、共和国議会は決議する:

第一に:政府に対し、ペルーが参加するTPP交渉の提案に関して、公開された政治的で専門的な討論を設けるよう要求する。

第二に:外国貿易観光省並びにTPP交渉担当の専門チームが、当議会において本件についての報告を行うよう要請する。

リマ、2013年8月28日

(翻訳:小幡 詩子/ 監修:廣内かおり)

2013年9月10日火曜日

ブルネイ第19回TPP交渉会合報告

8月末からブルネイのラウンドテーブルに参加していた、TPPに反対する人々の運動」メンバーで、翻訳グループリーダーの近藤康男(こんどう・やすお)氏から、報告が届きました。

各分野の進捗状況や、争点などメディアでは伝えきれない細かな情報があります。ぜひ今後の運動の参考にしてください。
 
 ★ ★ ★

13.822(木)~31日(土)
ブルネイ第19TPP交渉会合報告

13830日(金)近藤

〇今後、政治的な折衝が加速されるだろう
  〇10APEC首脳会議以上に場合によってはWTO閣僚会合が重要になる可能性も

1,国際NGOによる共同行動

(1)    各分野別に毎日、日本を中心とするメディアへのプレゼン実施:詳細別紙
(2)    情報交換、諸会合設定の共同作業
  毎日の総括と翌日以降の行動打ち合わせ。
  各国交渉官・メディアとの接触から得た情報の交換
26日首席交渉官会合でマレ-シアが、健康に関わるものとしてのタバコはTPP交渉から除外することを強力に提案、ほぼ受け入れられた模様(日本の交渉官は継続協議との認識。マレ-シアのNGOの同国政府への働き掛けが奏功した好事例の一つ)
  民主党議員・国民会議と外国の与野党議員との会合を協力して設定
(3)    日本以外の市民団体は自国以外の交渉官とも盛んに会合を設定。日本消費者連盟もコンシュ-マ-ズ・インタ-ナショナル及びNZコンシュ-マ-と共同でNZと会合を設定
4)(近藤)主な個別日程:
  〇26日(月):日本政府の利害関係者説明に出席
         記者向けのプレゼン(日本から近藤・山浦・マーチン・フリッド)
  〇27日(火):ブルネイ政府主催の利害関係者フォ-ラム出席
         外国の議員と民主党・国民会議との昼食会を設定・出席
  〇28日(水):日本政府の利害関係者説明に出席
         外国の首席交渉官と民主党・国民会議の昼食会を設定・出席
         国際NGOと民主党・国民会議の懇談を設定・出席
  〇29日(木):Jane Kelsey氏と民主党・国民会議との懇談を設定・出席

2,交渉会合日程:閣僚会合+7分野 

  〇閣僚会合:2223日(豪州、チリ、ペル-は代理出席)
〇原産地規則:2328日    〇金融サ-ビス:2528
  〇環境:2630日       〇投資:2428
  〇知的財産権:2230日    〇政府調達:2224
  〇市場参入:2228

3,日本の利害関係者の参加

〇医師会、TPPを考える国民会議、畜産ネット・中央畜産会・酪政連・肉牛事業協組・日本食鳥協会・養豚協会、日消連、北海道農協中央会、北海道庁、JA全中・全農、連合、TPPって何?TPPに反対する人々の運動、日本商工会議所、経団連、精糖工業会、自民党、民主党
27日利害関係者フオ-ラムでの意見陳述:5団体
日本消費者連盟、TPPって何?、TPPを考える国民会議、日本精糖工業会、畜産ネットワ-ク
〇推進の立場での発言の内容
・経団連:関税なども2国間協議でなく、全体会合・統一様式でやってほしい。
・商工会議所:中小企業が海外進出しやすい協定を目指して欲しい。
・畜産・酪農関連団体は、自民党外交・経済連携調査会や国会の農林水産委員会決議に立った主張をした。

4,日本政府主催の利害関係者説明会(渋谷審議官);
  28日も開催。記者会見はほぼ毎日。30日は鶴岡首席交渉官の記者会見予定

1826日(月)
〇初日は政府側からの説明、28日・29日は意見・情報交換中心に
〇甘利担当大臣:交渉を加速させる。バランスの取れた内容とプロセスを
閣僚のリ-ダ-シップが問われている
閣僚は、問題を・課題を把握しそして整理をし、交渉官に具体的な指示をし、その上で一定の権限を与えるべき。
バランス:高い水準の協定を目指すとともに各国は重要関心分野を尊重するというバランスと、先進国・途上国とのバランスとを配慮すべきで、大国が小国に押し付けることは控えるべき。
漁業補助金は乱獲防止のためのものと主張(各国の理解を得られたとのこと)
TPPは米国に押し付けられたものではない。日米で途上国の規制を改革させ、市場を開けさせるものである。
〇遅れている分野の中間会合と首席交渉官会合を8月末~9月にやることになるだろう ⇒107日~8APECの間にTPP首脳会議
〇知財は難航(一つの注記を午前中に外したら、午後はもっと多くが追加)
政府調達は攻めの姿勢、WTOの協定に参加していない国は持ち帰り宿題
関税譲許表はいくつかの国と交換、準備の遅れている国が若干ある。
豪州は97日の選挙を控え保留、米国は国際貿易委員会の議会報告書により9月になってからとなろう。
〇投資:信用秩序のル-ル確立を途上国に求めた。
Regulatory Coherence(規制の内外調和):各国はこれから国内社会政策上対象がとした「留保リスト」を提出。全体の合意が得られれば国内法制・規制が維持の余地も
〇市場への参入:
  25日はテキストの議論
  テキストは全体会合、それ以外は2国間協議で進める。米国は21日の国際貿易委員会報告を受けてからの動きになる遅れているが9月中旬には提出か?譲許表の交換は今後も続き、10APEC後も交渉は続く。

2828日(水)
〇知財、国有企業、環境が特に遅れている。著作権は各国とも国内でも意見が割れているので、各国とも具体的主張が出来ていない。知財は閣僚段階で整理をして交渉官に指示を出すことになるのではないか?
〇貿易の技術的障害TBTは今回やっていないので中間会合になるか?
ISDSは反対の国も多く、それらの国から修正案が出てきた。まとめ方が難しい。
〇市場参入はテキストは全体会合、関税は2国間、2国間協議が終わってから全体会合に
14章は終わったのか?:完全には終わったわけではない。WTO以上の内容があまり含まれていない章は進んでいる模様。
〇批准問題は、妥結した段階で専門家が検討し、手順を決める。
〇ディスクロ-ジャ-は出来ないが、コミュニケ-ションは図りたい。どのような方法が適当かは真面目に考えたい。

5,外国の議員との懇談
〇既に交渉に入っている現実、貿易自由化を進める立場に立つが、強い立場で交渉を注視し、国家利益・独自の社会制度が危うくなる場合には徹底的に反対する。

1.  海外NGOと民主党議員・国民会議意見交換:
多岐に渡る意見交換が出来たが、“negotiation history”に改めて気付かされた。
 〇場合によっては解釈の余地の残る表現もされる条文の背景には、日本参加以前の交渉官同士のメモの交換があり、(それを日本の交渉官が入手しているか不明)解釈を巡って遅れてきた参加国との間で相違が出る場合は、既参加国で合意した非公式メモが力を持つ、」というのが交渉の歴史・現実である。
   仮に“重要関心品目に配慮”となった場合、品目数は日本の5品目でなく、アメリカの2品目と理解されている可能性もある。

2.  外国の首席交渉官との懇談
  〇困難な課題は、①政治的決断を要するモノ、②交渉の戦術として駆け引きがある場合、③関連する章が多いモノ、であり、政治的決断は閣僚段階で解決、他の2点は我々に与えられた権限であり、交渉は動き始めている。

3.  Jane Kelsey氏との懇談:
   マレ-シアの強い姿勢が出てきている。
   米国USTRフロ-マン氏「一定のタイムリミットを決めて慌てて合意するようなことはしない。しかしAPECは重要なmile stoneである。」
   APECは一定の着地点で政治的に対応し、12WTO閣僚会合の時にTPP閣僚会合を目指すか?何とか政治決着をするか、あるいは越年となるか何とも言えない。
   各国とも運動のダイナミズムは衰えて来ている。
   焦点を絞り、分かりやすい言葉で、若者など新しい層に働き掛け、ネットの世界での広がりなどを作り、メディアや政府が耳を傾けるような状況を作ることが重要。
   弁護士ネット・労組など新たな層へウィングを広げたい。
   自民党の確信層との連携のあり方・政府への働掛けの工夫をしたい。
   秘密性、非民主的な進め方、国家主権・社会のあり方への影響など、基本的でメッセ-ジが届きやすい部分を前に出した広報を
   情報開示の要求
   1078日のAPECでは多分フィリピンに拠点を置くIBONというグル-プ(ウォルデン・ベロ-など)とビアカンペシ-ナが現地での行動を組織すべく準備しているはずだが、TPP参加国ではないので、APEC、アジアの安保情勢などを課題とした行動となる。TPPのネットワ-クではこれからの議論。

4.          中間会合の予定
全体会合は無い模様。但し首席交渉官会合レベルでの連携は、首席交渉官会合を実施も含め一層緊密に行われる。TPP参加国の担当閣僚会合も10APEC12WTOに合わせて行われる可能性が高い。

  〇82629日:労働 オタワ      〇925日:TBT メキシコ
  〇936日:電子商取引 サンフランシスコ
9815日:保険、透明性     〇法的問題;9815日 ワシントン
922日~8日間:知財(特許、著作権、GI)メキシコシティ
91821日:国有企業 ワシントン
92329日:金融サ-ビス ワシントン
91822首席交渉官会合 ワシントン
〇投資(場所・時期不明)