2013年5月25日土曜日

5月25日に「TPP参加をとめる!5.25大集会」が芝公園にて開催!

4月2日に「TPP参加をとめる!院内対話集会」を開催しました。その次の展開として、5月25日に集会が開催されます。「STOP TPP!! 市民アクション」では5月25日に「TPP参加をとめる!5.25大集会」を開催することになりました。

【チラシ】

※クリックするとpdfチラシをダウンロードできます。

【とき】
5月25日(土)12:00〜16:00(詳細は以下)

【ところ】
芝公園23号地(最寄り駅、地下鉄三田線「御成門」駅) 

http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/map001.html

【予定】
1.プレ集会 12:00~(TPP反対の文化イベントを予定)
2,大集会  12:30~1時間程度「集会」
3,デモ行進 13:45~(全体終了16:00の予定)
(銀座を通り東京駅横・鍛冶橋駐車場解散予定)

3月15日に安倍首相が行った公約破りのTPP交渉参加表明に続き、4月12日に発表された、TPP交渉参加にむけた事前協議の「日米合意」は、包括的で高い水準の協定を達成するという「TPPの輪郭」を改めて確認するとともに、アメリカの要求を丸呑みするだけという内容です。これでは、安倍自公内閣が言うところの「国益を守る」どころか、国民のくらしやいのち、食の安全、雇用や地域経済などが壊され、国の主権までもが脅かされることが、いよいよはっきりしてきました。
交渉に参加してしまえば、TPPの秘密主義で、交渉の中身をあれこれを持ち出して途中離脱はあり得ません。まだ遅くはありません。参加表明を撤回し、TPP交渉への参加を止めるべきです。
私たちは、これまでも多くの団体・個人の思いを集め、国際的な連携も進めながら、TPP交渉参加反対の運動を進めてきました。参議院選挙を前にしたいま、安倍内閣にTPP交渉参加を断念させるため、標記「TPP参加をとめる!5.25大集会」をよびかけることとしました。
TPP交渉参加に反対するすべての人たちの力で集会を大成功させ、政府や財界、アメリカのねらいにストップをかけるため、ぜひみなさま方におかれましても、「TPP参加をとめる!5.25大集会」の趣旨にご賛同いただくとともに、たくさんの方々にご参加いただけますようお願い申し上げます。




【賛同・出席】
賛同・出席は以下のフォームにてお申し込み下さい。
http://my.formman.com/form/pc/T8lk1dGveIYMlDnS/

※締めきりました!

【集会名】
「TPP参加をとめる!5.25大集会」

【よびかけ】
STOP TPP!! 市民アクション

【趣旨】
安倍首相の参加表明があったものの、国民のいのちや暮らし、雇用、地域を壊し、主権をも脅かすというTPPの危険性や秘密主義が明らかになるにつれて、「交渉参加反対」「自民党の公約違反は許されない」の声はさらに高まっています。この声を参議院選挙に向けて社会的にアピールするため、市民、さまざまな団体、超党派の国会議員、さらには地方でTPP交渉参加反対運動をすすめているすべての団体、個人にも広く呼びかけて開催します。
集会では、今の情勢を共有し、さらに確信を持ってたたかいをすすめられるようにすることにも留意したものにします。

【主な内容】
①各界・各分野からの決意表明
②超党派国会議員の挨拶

【参加のよびかけ】
(1)さまざまな階層や地域の声が反映された集会となるように企画します。「開催の趣旨」への賛同と「非暴力を貫くこと」を原則に、多くの団体へ賛同と参加を呼びかけます。
(2)銀座デモでは、私たちの主張が市民によく分かるように、プラカードや横断幕を準備するなど、大いに工夫しましょう。

【財政】
カンパでまかなうことを基本とします。カンパにご協力頂ける団体は、下記口座へお振り込み頂くとともに、会計担当(近藤)へ送金の旨メールをお送り下さい。
(1)口座番号:ゆうちょ銀行 名義「STOP TPP!! 市民アクション」
*ゆうちょ銀行から振り込む場合:記号10050 番号69005641
*他の金融機関から振り込む場合:店名〇〇八(ゼロゼロハチ) 店番008 普通預金口座6900564      
(2)会計担当近藤メールアドレス:mkykondo【a】ybb.ne.jp(【a】を@に変えて送信下さい ※迷惑メール対策の都合上)

【事務局連絡先】
国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-5-5 新宿農協会館内
電話:03-3372-6112 FAX:03-3370-8329
Eメール:center【a】shokkenren.jp(【a】を@に変えて送信下さい ※迷惑メール対策の都合上)

2013年5月18日土曜日

ISD条項よりも問題?!──リーク翻訳から見える「Regulatory Coherence(規制の内外調和)」の実態

「Regulatory Coherence(規制の内外調和)」についてのリーク情報です。これは、日本でも問題視されている「ISDS」や「Transparency」と共にTPPの本質を代表する項目です。じっくり読むととんでもないことが書いてあります(訳語が一定していませんが、ここでは“規制の内外調和”としておきます)。また、TPPにおける非公開性・秘密主義がどのように取り扱われているかが、冒頭の文章で分かります。

★ ★ ★

環太平洋パートナーシップ(TPP)
─ 規制の内外調和 ─

発出元:2010年3月4日付 機密指針

論拠:1.4(b)
機密扱いからの除外:TPP発効4年後、発効しなかった場合には交渉終了後4年後
*この文書は了解なく公表することはできない。しかし、郵送、もしくは機密扱外のeメール、ファクシミリ、盗聴防止機能のない電話での会話でやりとりされ、機密保護されていないPCへの保存は可能。資料はセキュリティの効いた建物、部屋、もしくは保管庫に施錠管理されること。

【規制の内外調和】

第Ⅹ.1章:
一般条項

1.規制の内外調和には以下のものが含まれる:
(TPP加盟国は規制の内外調和の定義に対する適切な範囲に関する検討を深めること)

2.加盟国(団体)は以下の重要性を認める:
a.規制の内外調和に関する条項、特に、加盟国間における、物品の貿易、サービス、投資の促進に関するものについて、本協定による恩恵を保つこと、
b.各国が妥当と認識する水準において、加盟国が規制上の優越事項を特定し、この優越事項に対応する規制措置を確立および行使する国家としての自主権、(※注1)

※注1.この文言は、加盟国の権利を規定する協定の前書きに記載されるべきか、または正当な目的を追求するうえでの各国の規制の権利に関する指針として別の章のなかで追記するか、再度見直しが必要とされる可能性がある。

c.この規制が公共政策の目的、つまり環境保護、労働権、市民や労働者の健康と安全を達成するために果たす役割、
d.規制措置を策定、遂行する上での幅広い利害関係者の参加、
e.加盟国の国際的な義務を考慮に入れた地域の規制協力。

第Ⅹ.2章
国家レベルの調整機関を含む、調整および検証の手順や仕組みを持つ中心的機関の設立

1.規制の内外調和とは、一般的に適用される規制措置を構築するための手順について、関係閣僚間の協議と調整を促す国内の仕組みを通して促進されるということを、加盟国は認めている。さらに加盟国は、規制措置に関する情報が確実に一元管理され、広く頒布されることによって、規制事項に関する加盟国間の関与が高まることを認識している。それゆえ、各国は、中央政府のレベルで新たな規制措置(”対象となる規制措置”)の一元的な調整と検証を促進するための手順または仕組みを確実に備えるよう努力すること。そして、この目的を達成するための国の調整機関の設立および管理を検討すること。各加盟国は、法律、条令、その他の手段のいずれかに関わらず、公表されている基準を基に、対象となる規制措置の範囲を決定すること。各加盟国が独自に対象となる規制措置の適切な範囲を決定してしまう可能性はあるが、その際は必ず、本章の適用を回避する目的で任意に範囲を制限することなく、十分に広い範囲を定めること。

国の調整機関またはその他の適切な手順または仕組みの設計、権限の範囲、制度上の位置づけなどが、各国の国内事情(発展段階および政治的、制度的構造の違いを含む)によって様々であることは予測されるものの、X2.1にて言及した調整機関、手順または仕組みは、概して、制度上の一貫性を促進させるために最大の効果を発揮できる一定の共通する特徴を有するべきであることを、加盟国は認める。その特徴は以下のとおり:

a.制度上の構成要素を定め、政府と外部関係者の信頼に足る十分な資源と地位が付与されていることを証明する法的、行政的公文書があること、
b.策定した措置により、以下のX.3章に規定された内容を含むがそれに限定されない
良い規制慣行がどの程度行われるかを判断するために、対象の規制措置を見直し、その見直しに基づいて提案する権限があること、
c.本協定のX章に盛り込まれた透明性の規律を促進する重要な役割を果たすこと、
d.省庁間の重複、反復を可能な限り減らし、省庁間で相反する要求が出ないようにするために、各省庁間の調整と協議を強化し、また、特定の規制分野に関心のある省庁に対し規制策定への参加を促して、一貫性のある規制の促進を保証する能力があること、 
e.決定権を持つ者に対して、構造的な規制改革を行うための提案能力があること、
f.検証した規制措置、構造的規制改革に対するあらゆる提案事項について、本調整機関自身の制度的改善に関する最新情報を含め、定期的に活動を報告すること。

3.国の調整機関、手順、仕組みを通じて、各加盟国は、(i)規制措置の策定に関して検証責任を持たない中央政府レベルのすべての規制当局、および(ii)各加盟国の領土内における、関連の準政府機関との連絡経路を維持する方法を、可能且つ適切な範囲で模索すること。

第Ⅹ.3:核心的な良い規制慣行の履行
1.国の調整機関、手続き、仕組みを通じ、各国は、対象となる規制措置の検証責任の遂行において、加盟国の目的を達成するためにもっとも良い措置を考案するため、各国によって設定された経済影響評価の限界を超える対象の規制措置を講じる場合は、国内法に準じて、規制影響評価の実施を行うよう関連当局を後押しすること。

a. RIA規制影響分析Regulatory Impact Analysisは、特に以下を確認すること:
(1)課題の重要性の評価と規制行動の必要性の説明を含め、規制当局が対応しようとする課題と政策目標、 
(2)政策目標を実現するための、潜在的に効果があり、且つ妥当な実現可能性を持つ
代案、
(3)該当する場合、選択された代案が、波及効果を考慮する一方、質的な利益を含む純利益を最大化する方法で、政策目標を実現すると結論づける理由。
b.規制影響評価には以下が含まれること
(1)計画された規制措置のあらゆる面において、政策目標達成のために規制する必要があるか、または国内法に準じて、規制によらず/自発的な方法で政策目標を達成できるか否かの検討。
(2)負担や利益は数量化することが難しいことを理解しつつ、実現可能性があり国内法に反しない範囲内での、可能な各代替案の費用と利益の評価。代替案のなかには、規制しないという選択肢を含む。
(3)その選択肢が他の代替案より優れている理由の説明。該当する場合は、可能な他の選択肢に対する純利益の規模の比較を提出すること。
(4)特定の規制当局が持つ権限、責務、資源の範囲内で、もっとも合理的に取得可能な、科学的、技術的、経済的その他の情報を基にした決定事項。

2.「純利益」とは、計画された規制活動による予想上の利益と費用との差である

2.加盟国は、RIA分析に関連する可能性のあるこれらとその他の「良い規制慣行」の概念が、APEC-OECD規制改革統合チェックリストおよび技術的規制のための良い規制慣行に関するAPEC情報記録に反映されることを認める。

3.加盟国は、技術的な事項に対応する規制措置のなかに、その措置を理解し、適用するには関連分野の専門性が必要になる場合があることを認識し、対象となる規制措置が簡潔明瞭、且つ整理され、理解しやすいものになることを保証すること。

4.各加盟国は、本協定第Ⅹ章に規定された透明性の規律に従い、関連する規制当局が、
対象となる規制措置、規制の分析、データおよびその捕捉資料を誰でも入手できるようにし、場合によっては、こうした情報を閲覧、再発行できるようオンライン上に掲示することを保証すること。

5.各加盟国は、政策目的を達成するためのより効果的な規制制度を作るため、具体的な
規制措置について、修正、簡素化、拡大、廃止が必要かどうかを決めるため、適切な頻度で、既存の重要な規制措置の一部またはすべてを検証する手続きを確立または維持すること。
加盟国が規制上の手段を見直す際に考慮すべき項目には、基本的な技術変化など環境の変化により措置が不要になったり、時代遅れとなっていないか、また規制での協力活動や規制の拡大を通してその効果が高められるものはないか、などが含まれる。

6.各加盟国は、規制当局によって今後最低12か月以内の発行が妥当と思われる規制措
置の記載を含む、規制予定報告書を毎年発行すること。

7.各加盟国は、対象となる規制措置に関して他の加盟国間および各関係者間をうまく協力させるためのあらゆる方法を検討すること。その一部は以下のとおり。

a.他の加盟国との情報交換、対話、会議
b.他の加盟国および中小企業を含む利害関係者との情報交換、対話、会議
c.他の加盟国との規制活動の協調
d.最良の方法を共有し、また、関連する規制手法、基準、手続きを調和させる取り組みへの参加、および、規制措置の策定過程におけるそうした取り組みの検討
e.他の加盟国の規制手法、および国内法に反しない適切な範囲内での、国際的、地域的、その他の協議の場における進捗を検討するのに十分な時間を確保した規制スケジュールへの配慮

第Ⅹ.4章:
セクター方式による取組み
加盟国は、本協定の他の章で定められた義務の範囲内で、該当する場合は、特定の商品およびサービスセクターに関連する規制の調和を高めることを目的に、具体的な手法を開発する取組みに価値があることを認める。
それゆえ、加盟国は、本協定の他の章の規定に基づいて設立された委員会や組織に定められた責任を害することなく、本協定の他の章のセクター間規制の一貫性に関する条項の実施と運用について、定期的に協議し、以下の第X.X章に関連する将来のセクター別手法の潜在性を念頭に、これらの条項に関するあらゆる知見との関連性を調査すること。


第Ⅹ.5章:
制度上の枠組み

1.加盟国はここに、規制の内外調和に関する委員会を設立する。同委員会は、総意に基づいて意思決定され、協定の発効後1年以内に召集され、その後少なくとも1年もしくは2年に1度召集され、本章の実施と運用に関する課題を検討し、将来の優先事項を確認する。その中には、本協定の他の章の下で定められている義務に関して、加盟国間の規制一貫性に関係する協力活動に対する潜在的なセクター別イニシアティブが含まれる。

2.将来の優先順位を特定するため、同委員会は協定の他の章に基づき設立された他の組織の活動を考慮し、活動が重複しないことを確認する。

3.同委員会は、規制協力への取り組みが徐々に重視されるようになること、他の関連する協議の場で進められている政策が軽視されたり、重複したりすることがないことを確実にするため、行動計画を策定、管理する。それゆえ委員会は、加盟国が参加している他の協議の場における協力活動を定期的に確認する。

4.加盟国は委員会に対し、Ⅹ章2.1遂行のために創設された手順または仕組みに関する情報を速やかに提供すること。この情報には、今後設立される予定の機関の責任と活動、対象となる規制措置の範囲が含まれる。さらに各加盟国は、協定発効後1年以内にⅩ章2と3の遂行に関して、他の加盟国の求めに応じ情報を提供するための連絡先を特定すること。

5.同委員会は、本協定発効後少なくとも5年に1度、国家の調整機関、手順、仕組みを維持する上での良い規制慣行や最良の実践事例、その規律強化と改善に向けたX章2および3を実行した加盟国の経験を検討すること。

第Ⅹ.6章:
利害関係者の関与

第1回の会合において、規制の内外調和に関する委員会は、全加盟国の様々な立場、分野の人の参加を保証するため、本協定を通じて、規制の内外調和を向上させる取組みに関心を持つ人々が見解を述べる、有意義な機会の提供を保証する仕組みを構築すること。

第Ⅹ.7章:
定義
「規制措置」とは、法令順守の義務が生じる中央政府レベルの規制当局により、提案または最終の形式で一般的に適用される措置を指す。

第Ⅹ.8章:
紛争解決
第Ⅹ章 このX章(紛争解決)への適用は「調整機能の一元化を促進し、新しい規制措置を検証するための手順または仕組み」を確保するという義務に限定される。ある加盟国が第Ⅹ章の目的に照らして約束不履行の訴訟を起こす場合、その加盟国は、相手の加盟国が(1)義務を侵したこと、(2)そのような侵害が両国間の貿易と投資活動を阻害したこと、を証明する必要がある。 

第Ⅹ.9章 秘密保持:
この章のいずれも、加盟国の国内法により開示が禁止または除外されている情報、または公開によって情報提供者の競争上の立場が不利になる情報などの機密情報の公開を要求するものではない。
(翻訳:田所剛/監修:廣内かおり)

オバマ政権が狙う他国の公共政策とは─2013年版「外国貿易障壁報告書」で明らかにする

米国のパブリック・シチズンが、“かの有名な”米国・外国貿易障壁報告書から、TPP参加国+日本をピックアップして批判を展開しました。TPPや事前協議では多少ソフトになっているものでさえ、この報告書ではかなり厳しい押し付けをしていることが分かります。

★ ★ ★

マギー・ヘンダーソン(パブリックシティズン)
2013年4月4日

オバマ政権が「2013年版米国の外国貿易障壁報告書」で狙う
TPP加盟諸国における数々の公共政策

今回の報告書は保健、金融、宗教、その他配慮を要する政策を撤廃すべき「貿易障壁」として槍玉にあげ、TPP交渉の異論の多さを浮き彫りにする

ワシントンD.C発―オバマ政権は、TPP交渉国におけるセンシティブな国内政策を狙った報告書を発表し、アメリカが撤廃をめざす「貿易障壁」であることを確認した。これを受けて本日パブリックシティズンは、米国通商代表部(USTR)の2013年外国貿易障壁報告書で公表されたTPP加盟諸国の国内政策標的リストを見れば、11カ国の広範な協定の交渉がまとまらず、繰り返し交渉完了期限が過ぎている理由が驚くほどよくわかる、と述べた。

406ページにわたるUSTRの報告書は撤廃すべき「貿易障壁」として、公衆衛生に関する政策から金融規制、政治的に配慮を要する製造業および農業の政策、さらに宗教的規範に至るまでを槍玉にあげる。USTRは現在および今後予想されるすべてのTPP交渉相手国の政策を批判。その中には、医薬品価格を管理するニュージーランドで評判の良い保健政策、市民の個人健康情報の海外移転を防止するオーストラリアの法律、銀行に対する十分な自己資本の保有を定めた金融危機後のベトナムの規制、そしてチーズは生乳から作られることを要件とするカナダの基準が含まれている。

例えば、圧倒的にイスラム教徒が多いマレーシアに関して、USTRの報告書は(マレーシア)政府が「食肉処理場に対してハラール(訳注:イスラムの戒律に従って食肉処理した動物の肉)専用の施設を維持し、ハラールとハラールでない製品を確実に隔離輸送するよう定めている」ことを批判。イスラム教の食肉加工要件に関する概念をコーデックス委員会が定めた要件と一致させるよう提案している。コーデックス委員会とは国際的な食品規格団体であり、多国籍食品企業が中心的役割を果たしている団体である。また、5人のうち3人がイスラム教徒であるマレーシア人に伝統的に禁止されている豚肉およびアルコール飲料の輸入に対するマレーシアの規制にも異議を唱えている。さらに、消費者5人のうち3人がイスラム教徒である同国の豚肉およびアルコールの輸入制限も問題視している。

「他国の国内政策に対するこのあまり外交的とは言えないオバマ政権の標的リストが出される以前から、TPPは暗礁に乗り上げていた。多くの国の交渉担当者は、アメリカの要求する外国製薬会社の特許独占の拡大や、政府補償を命令できる国際法廷で外国人投資家が金融、保健、環境政策に対して異議申し立てできる条項を拒否してきたからだ」とパブリックシティズンのグローバル・トレード・ウォッチ責任者、ロリー・ワラックは言う。「アメリカが、撤廃を望むTPP諸国の国内政策をあからさまに挙げたところで、オバマ政権はこれらの国の人々のTPPに対する懸念を強めるだけである。」

この外国貿易障壁報告書のなかで、USTRが最も詳細に政策批判をおこなっているのが日本だ。日本は最近TPP交渉への参加の意思を表明した。報告書は16ページを費やして、食品表示制度が消費者によけいな情報を与えていると厳しく非難し、日本が公的保険制度をいかにして確実に再構築すべきかの大枠を示し、政府に対し(在日の)外国の大学に税制優遇措置を与えるよう促し、さらに日本の軍装備品に関する国産へのこだわりを嘆いている。(アメリカにも軍の調達に関して同様の規定がある。)

報告書はまた、日本の農業政策を狙い、例えば「日本の消費者は、もっと簡単に手に入るなら、高品質の米国産のコメを買うだろう」から、国内の米作農家に対する保護を緩和するようにと勧告している。安倍晋三首相率いる政党は、強力な農業団体の支持を受け、TPPの関税撤廃の対象からコメ、小麦、大麦、牛肉および豚肉、砂糖、乳製品の除外を国に求める政治的な立場を承認している。反対に、USTRの報告書はこれら配慮を要する分野のうち1つ(砂糖)以外のすべてを優先度の高い自由化の標的として挙げている。

複数のTPP諸国に対し、USTRの外国貿易障壁報告書は、米国議会でつぶされたオンライン海賊行為防止法案(SOPA)で提案されたものと同種の著作権実施対策の採用を奨励している。例えば、報告書はオバマ政権が「チリに対しインターネット接続サービス業者の責任制度を修正し、著作権および関連する権利を侵害するいかなる行為に対しても有効な対策を認めるよう促してきた」と指摘する。

USTRの報告書はいくつかのTPP諸国に言及するなかで、政府を汚職まみれ、あるいは無能力であるとまで言って非難している。例えば、報告書はペルーの連邦政府の3つの行政機関のうちの2つは、責任を全うするのに必要な「公平性」や「専門性」に欠けると述べている。

またUSTRは、TPP諸国の「貿易障壁」に対する世論の批判を盛り上げようとしている。しかし、その「貿易障壁」はあまりに定義が細かく、もたらされる結果も些末なもので、あきれるほど範囲の狭いアメリカの企業利益に動機づけられたようにみえる。例えば報告書は、シンガポールの「非医薬品チューインガム」の輸入制限、カナダの「パン粉をまぶしたチーズ・スティック」に対する高い関税、そしてペルーによる「5年以上経過した中古車」輸入の拒否を槍玉に上げているのだ。数百ページにわたる報告書の中で、以下はそうした内容を如実に表わすTPP諸国に関する論評の一部である。

【ベトナム】
· USTRはベトナムによる「銀行業界の資本基盤改善を目的とした新たな規制」を新しい形の貿易制限として挙げている。報告書は特に新たな自己資本比率規制をあげ、銀行に「艱難辛苦」をもたらすとして非難する。

・USTRは「『堕落している』とみなされる文化的製品」の輸入を阻止するベトナムの決定に注目し、その政策を「非関税障壁」の1つに挙げる。

・報告書はベトナム経由で他の目的地へ行く途中の特定の製品の輸送に関するベトナムの禁止措置を標的にしている。これらの「貿易に対する障壁」には「危険廃棄物、…冷凍の動物性副産物およびクズ肉」の積み替えの制限が含まれる。

・報告書は 「米国はベトナムに対し、デジタル上の著作権侵害を含め、深刻化する知的財産権侵害の問題と闘うため、より積極的な行動をとるよう引き続き要請していく」と述べている。報告書によると、こうした要請を受けてインターネット接続サービス業者と政府は「権利保有者」(例えば米国のメディア企業)が侵害とみなす違反をより厳重に取り締まることに関する話し合いが行われた。―この侵害は米国議会でつぶされたオンライン海賊行為防止法(SOPA)の重要な部分である。

・報告書は、あからさまにしかも断定的にベトナムを「公務員の汚職と非効率な官僚組織が蔓延している」と非難して結びとしている。

【シンガポール】
・シンガポールは「アジアで2番目にソフトの海賊版の率が低い」と褒めてはいるが、報告書はやはり、この国は「末端利用者のソフトに対する防止策となる罰則規定が不十分だ」と主張する。

・報告書は(シンガポールの)国内銀行の外国人の所有権の許容割合が増えているにもかかわらず、「シンガポールは3大地方金融機関の企業支配権あるいは企業取得を外国人に認めないと表明した」と指摘する。すなわち報告書は、シンガポールの最も重要な銀行の外国人による企業取得に対する同国の不安を貿易の障壁として挙げている。

・報告書は、ほとんどの「シンガポールに事務所を持つ外国の法律事務所はシンガポールで弁護士業務ができない…」という事実を嘆く。報告書はシンガポールで弁護士業務が許可されたとしても、外国の法律事務所はシンガポールの法の理解に基づいてシンガポールの法廷に訴訟を起こすことができないという点を指摘している。

・報告書は、アルコール、タバコ、自動車に対するシンガポールの税金を取り上げ、それらの税は「社会的および/あるいは環境的根拠から」課税されていることを指摘する。USTRはこれらの税の廃止を明白に求めてはいないが、迷惑な貿易障壁を列挙する報告書のなかで、そうした措置を取り上げる理由は見つけたようだ。

【ペルー】
・USTRはペルー政府に対し全面的な非難の言葉を挙げ連ね、3つの連邦行政機関のうちの2つを槍玉に上げている。報告書は率直にこう述べている。「米国、ペルーのどちらの企業も、行政機関の官庁、監督官庁、税務所、そして裁判所はそれぞれの任務を遂行するのに必要な財源、専門知識、あるいは公平さにしばしば欠けるのではないか、という懸念を持ち続けている。」しかし報告書はその後、連邦政府の公正さと能力をあからさまに問題視するような議論は展開していない。

・USTRは、ペルーの個人情報保護法が「国境を介したデータ流通に依存する企業の間に懸念を引き起こしている」と指摘する。報告書によると、それらの企業は、ペルー人の秘密情報を入手するときに事前に同意を得なければならないというペルーの要件に懸念を抱いているようだ。

・報告書はペルーが米国の中古品に興味がないことを貿易障壁として挙げている。中古品の中には「古着および使い古しの靴(慈善の寄付としてのものは除く)、中古のタイヤ、5年以上経過した自動車、(重量3トンまたはそれ以上の)8年以上経過した大型トラックなどがある。」

【ニュージーランド】
・USTRは、ニュージーランドの医薬品の費用抑制制度の運営に成功している同国の政府機関である医薬品管理局(PHARMAC)について「強い懸念」を表している。報告書によると、これらの懸念は「米国の利害関係者」―すなわち医薬品価格を抑制するためのニュージーランドの政策に長く反対してきた米国の製薬会社―から出たものである。USTRは、PHARMACがこれら「利害関係者」に対し適切な「透明性、適時性、および予測可能性」を提供していないと非難している。加えて、PHARMACが以前は「規制の対象外だった」医療機器などの分野にまで費用抑制政策を拡大しようとしていることに異議を唱えている。

・報告書は、オンラインの著作権侵害の申し立てを厳しく取り締まるニュージーランドの新しい法律について「権利保有者」(例えば米国のメディア企業)が支持していると指摘する。しかし、続いて報告書は、米国の複合メディア企業がその法律のもとで、侵害の疑いに対する訴訟に支払わなければならない費用に不快感を表明している。負担金は21ドルである。

【メキシコ】
・本レポートが挙げた最初の投資障壁は「メキシコの石油・天然ガスセクターが民間投資に非常に閉鎖的である…」という点だ。米通商代表部はこの理由が「メキシコ憲法が炭化水素鉱床の国有化を義務付けているから」であることは認めている。

・米通商代表部は「メキシコ沿岸50km以内にある住宅不動産の外国人保有」を禁止するメキシコの法律を取り上げることも妥当であると考えている。本レポートは、米国市民がメキシコ海岸地帯を買収できないことを「投資障壁」であるとまで指摘している。

・本レポートはメキシコに、政府調達政策をいかに変更するか、求められてもいない助言をし、例えば、国家レベルの透明性基準は「汚職を回避し競争を育成するように”調整”されるべき」とする勧告が含まれている。

【マレーシア】
・圧倒的にイスラム教徒が多いマレーシアに関して、USTRの報告書は(マレーシア)政府が「食肉処理場に対してハラール(訳注:イスラムの戒律に従って食肉処理した動物の肉)専用の施設を維持し、ハラールとハラールでない製品を確実に隔離輸送するよう定めている」と批判。イスラム教の食肉加工要件に関する概念をコーデックス委員会が定めた要件と一致させるよう報告書は提案している。コーデックス委員会とは国際的な食品規格団体であり、多国籍食品企業が中心的役割を果たしている団体である。

・USTR also takes issue with Malaysia’s restrictions on importation of pork and alcohol, products traditionally forbidden for the three out of every five Malaysians who are Muslim.
米通商代表部はまた、5人のうち3人がイスラム教徒であるマレーシア人に伝統的に禁止されている豚肉およびアルコール飲料の輸入に対するマレーシアの規制にも異議を唱えている。

・本レポートは「マレーシアにおける政府調達プロセスについて、米国政府は引き続き懸念を表明する」としている。「マレーシアが、伝統的に政府調達を利用して国の公共政策目標を後押ししてきた」というものだ。特に米通商代表部が困惑した政策目標として「マレー人先住民族であるブミプトラの経済活動への参画促進、地場産業への技術移転、外貨の流出削減、地元企業に対するサービス・セクターの雇用機会の創出、マレーシアの輸出能力向上」などが含まれている。

【チリ】
・本レポートによれば、米国は「チリに対して…著作権および著作隣接権のあらゆる侵害行為に対する効果的措置を講じられるよう、ネットサービス・プロバイダの法的責任管理体制の修正を強く迫っている。」なお、同様の条項は、あの失敗に終わったオンライン海賊行為防止法(SOPA)の一部として米国民および連邦議会によって完全に拒絶されている。同条項がユーザー作成型コンテンツへの徹底した取り締まりを可能にし、技術革新を阻害し、インターネットの自由を制限してしまうのではないかという懸念が広まったためである。

【カナダ】
・本レポートは、米国のイーライ・リリー製薬会社によって昨年提出された通知に言及し、米国製薬産業に関する懸念を伝えている。同通知でイーライ・リリー社は、カナダの特許政策全体に直接挑むために、北米自由協定(NAFTA)の投資家特権を利用する計画を発表した。この「投資家対国家」条項に基づく攻撃は、イーライ・リリー社製医薬品の特許がカナダの特許性基準を満たしていなかったために無効とされたカナダ判決に対して着手されたものだ。米通商代表部は、もう1つの最近の特許無効判決―ファイザー社のバイアグラに対するもの―についても言及している。この無効判決によるNAFTAの「投資家対国家」に基づく訴訟はまだ起きていない。米通商代表部がこれらの訴訟を含めるということは、米国企業がカナダの特許法に挑戦するのを政治的に支援するのでは、と公衆衛生当局担当者の間で不安が広がっている。

・本レポートは、主要な外国投資および買収が国に純便益を確実にもたらすように精査されねばならないとするカナダの政策に反論している。米通商代表部によると、この基準は適用範囲が余りに広すぎる。

・米通商代表部は、アルコールの流通を管理するカナダの地方政府の政策により、米国産ワインと蒸留酒のカナダへの輸出が大いに妨げられている、と失望感をあらわにしている。リポートは、政策を制定する「州運営の酒類管理委員会」を特に問題視しているが、これらは例えば、ペンシルベニア州酒類販売管理委員会などの州レベルの委員会と大差ないのである。

・本レポートは、カナダ連邦政府の幅広いデータを整理統合するプロジェクトについて説明し、データ統合に関わる企業が政府資料をカナダ国外に移すことが許されないとする規定について批判している。米通商代表部によれば、データの海外移転(オフショア)は「今日の情報に基づく経済」に合致するものであり、カナダ連邦政府は様々な政府資料を海外に移すことを躊躇してはならない、ということだ。

・本レポートは、カナダのセンシティブ品目である酪農および家禽類肉製品向けの一般的な供給管理プログラムについて攻撃している。米通商代表部によれば、当プログラムはカナダの農業従事者を支援し、生活を安定させているものの、米国生産者によるカナダへの大幅な輸出増を制限すると説明している。

・カナダの輸入障壁によって損なわれてきた米国産「酪農製品」の実例として、米通商代表部は一品目を選び出している。それは「チーズ・スティックのパン粉揚げ」である。

・本レポートはカナダの「チーズ成分規格」を、米国産「酪農製品」がカナダで販売されるのを阻害するものと非難している。米通商代表部が懸案事項として挙げる主要基準は、「チーズ製造プロセスにおける最低生乳(殺菌の必要がなく加工もされていない搾ったままの乳)含有量」についてのカナダの規定である。

【ブルネイ】
・本レポートはブルネイに対し、軍事調達プロセスについてすべての軍事契約決定の論理的根拠が「公開」されていない、と厳しく非難している。

【オーストラリア】
・通商代表部は、オーストラリアが市民の個人情報をクラウド・コンピューティング経由で諸外国へ移し、海外で保管することに抵抗していることに対し不満を表わしている。本レポートは、守秘義務のある医療保健記録のオフショア保管を禁止するオーストラリアの新たな法律を特に取り上げている。米通商代表部は「地理的リスクではなく、慎重に扱うべきデータの安全性を保障するリスクベース・アプローチ」を推奨している。とは言うものの同段落で、オーストラリアは愛国者法を引き合いに出して「クラウド・コンピューティングに付随する法的および規制上のリスクがあることを証明している」としており、控えめだがオーストラリアも実はリスクベースなのだ。米国人弁護士も、愛国者法は米国市民のデータ機密性を脅かすとして、長い間同じ様な懸念を表明してきた。本レポートは、愛国者法は擁護しないようである。

・本レポートは、オーストラリア関連の論評の中で一節(セクション)全体を「血漿文画製剤」にあてている。本レポートは、「米国は、オーストラリアで血漿文画のための競争的且つ開かれた入札制度が欠如していることをいまも憂慮している」と明確に述べている。米通商代表部は明らかに、米国企業がオーストラリア市民の血液を「文画」する平等な機会を得ることを望んでいる。

【日本(TPP参加見込み国)】
・本レポートは日本の食品表示政策を容認しないことを表明している。食品表示政策は「食材および食品添加物の名称をすべて含有率と共に列挙しなければならず、さらに製造過程の説明をも盛り込むことを義務づけている」。消費者たちが自ら消費する製品情報をこれまで以上に要求しているいま、日本の進歩的な食品表示政策は「厄介なもの」であり「ライバル企業に機密情報を公開してしまうリスクがある」と米通商代表部は苦情を述べている。

・本レポートは「日本郵政公社(国営の郵便・貯金・簡易保険の公共企業体)が民営化されるべきかどうかについては中立のままでいる」と慎重に述べている。しかし米通商代表部は「日本政府の郵政改革努力を米国企業は注意深く監視し続ける」ことを明言。さらに米通商代表部は、そうした監視は決して「中立的」ではなく、米国政府は「日本政府に対して日本の貯金・保険・宅配便市場において、日本郵政事業会社と民間セクターの参加企業との間に公平な競争の場を実現すべく、確実にあらゆる必要な対策が講じられるよう要求し続けることになる」とが明らかに述べている。このように米通商代表部は、国内唯一最大の公社が民営化されるべきかどうかの日本政府の決定を尊重している。だが一方、政府当局が典型的に、消費者に利するよう公的機関経由で提供している優遇措置は剥奪されるべきである、と強く印象づけている。

・米通商代表部は、日本の軍事調達契約すべてが外国企業に開かれていないことを厳しく非難している。本レポートは、防衛製品や防衛システムは国内で開発・生産されるものだとする日本人の「一般的な特恵」に対して苛立ちを見せる。「国の安全保障の要件(必需品)をもっと効率良く、もっと安価に満たせるような外国のオプションがある時…」は、国家安全保障論にはまったく根拠がないようだ。(但し、米国以外で議論される場合に限る。(米国の)バイ・アメリカン法は軍事調達品も対象にしているのだ)

・本レポートによると、米国政府は日本政府に「外国の大学と協働して、日本の学校と同等の優遇税制を与える全国規模の解決策を見つけるように迫っている」とのことだ。なぜ日本政府は、外国の私立大学にも日本の学校に便宜を図る優遇税制と同じものを提供すべきなのか? 米通商代表部によると、このむしろ変則的要求に応じることは、外国の大学が「日本の教育環境に比類なき貢献をし続けるため」に必要であるから、だそうだ。

・米通商代表部は、日本政府が頻繁に「不透明」な政策諮問団体を利用すると非難している。「会員でない者は、諮問団体の審議に情報提供する有意義な機会を与えられないことが多すぎる」と指摘しているのだ。しかしこの批判は、ほぼ文字通り、米通商代表部自身への非難にもなる。米通称代表部はメンバーのほとんどが企業代表から成る排他的で不透明な公式の貿易アドバイザー制度を管理運営しているのである。米通商代表部は日本に対し、利害関係者すべてが、必要に応じて参加したり直接情報を提供したりする有意義で十分な機会を確実に与えるように、と続けている。一方、米国の利害関係者もまた、米通商代表部に対して、密室で行われる貿易アドバイザー制度の門戸を開くよう要請しているが、いまだ「有意義」な変化は見られていない。

・米通商代表部は、日本における政治的にセンシティブなコメの輸入政策に狙いを定め、これらの政策を「高度に規制され、不透明な」制度と呼び、「日本の消費者への有意義なアクセスが制限されている」としている。本レポートは、当該制度の下では米国産米の殆どが日本の消費者に届かないと嘆き、さらに日本人消費者は「米国の高品質米がもっと容易に入手できるようになったら購入するであろう」と主張している。日本人消費者による米国産米への選好が実現されていないという主張を具体化するために、本レポートは「産業調査」を引用している。

・続けて本レポートは、コメ、小麦、牛肉、豚肉および酪農製品に関する日本の政策にひとつひとつ狙いを定め、関税や割り当て、国の流通制度に異議を唱えている。これら標的にされた農業部門は、日本において最も政治的にセンシティブなものに含まれ、TPP交渉において関税撤廃から外されねばならないセクターであると与党の自由民主党によって指摘されてきたセクターである。

(翻訳:戸田光子、小幡詩子/監修:廣内かおり)

2013年5月5日日曜日

STOP TPP!!官邸前アクション・5月7日18:00〜 TPP交渉参加の即時撤回を!

12年8月から始まり、毎月第一火曜日に開催されているストップTPP行動「STOP TPP!!官邸前アクション」(主催:STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会)が7日18時に開かれます。ぜひみなさんの声を集めてTPPを阻止しましょう!(以下、転載)
☆ ★ ☆

★安倍首相と自民党の公約破りを許さない!★
★完全敗北の事前協議!私たちには害ばかり!★
――TPP交渉参加の即時撤回を!――


 3月15日、安倍首相はTPPへの参加表明をしました。多くの反対・懸念の声を無視し、説明も情報公開も不十分なまま、さらに自民党が先の総選挙で掲げた6つの公約を破る形での表明です。遅れて交渉に参加する国には大変に不利な条件が課されることも明らかになっており、また残された交渉の機会も多くはありません。
このような状況の中での参加表明は、到底許されるものではありません。
 しかしながら、その後、日本政府は米国をはじめとする参加各国との「事前協議」を進めてきました。すでに報道でも明らかになっているとおり、米国との二国間協議は完全なる「日本の一方的譲歩」であり「敗北」です。こうした協議の結果、米国を含む11カ国は、4月20日のAPEC会議の場で「日本の交渉参加」を認め、米国USTRは自国議会へ日本の参加に関する手続き通知を行いました。
 事前協議のプロセスおよび結果は、TPP交渉のもつ本質そのものを表しています。
つまり、「秘密」と「嘘」で塗り固められ、どの国も自国の国民には何ら明らかにしていないこと、あらゆる品目で徹底した完全撤廃(=自由貿易)が目指されていること、米国が圧倒的に力を持っていることなどです。
 こうした中で、遅れて参加した日本政府が私たちに約束した「聖域」などは守れるはずもなく、しかも米国とはTPP交渉と並行して非関税措置に関する交渉が行われるという約束もさせられています。これだけでも、すでにTPP参加の意義やメリットはまったくないということが明らかです。言い換えれば、私たちの暮らしのあらゆる分野において、メリットがないどころか、農業や雇用、食の安全などが破壊される一方あるわけです。
 私たちは、TPP参加の不当性・非民主性を訴え、日本の参加表明撤回を求め、「STOPTPP!!官邸前アクション」を開催します。参加表明後、全国各地で起こる怒りの声と呼応しつつ、改めて参加表明撤回の声を大きく広げていきたいと思います。ぜひご参加・ご取材ください。

2013年5月2日
STOP TPP!!官邸前アクション実行委員会

●日時:5月7日(火)18:00~20:00
●場所:首相官邸前

★当日のアピール内容
1.恒例!「サルでもわかるTPP」
2.徹底分析 「秘密と嘘」の「日米事前協議」
3.直前!TPP交渉のいま(予定)
◎その他、国会議員、ゲストスピーチなど

【主催】STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会
http://notpp.jp/TPP_kantei.html
ツイッター:https://twitter.com/TPP_kantei (当日の実施状況はツイッターにて告知します)

【呼びかけ人】安部芳裕(プロジェクト99%)/内田聖子(アジア太平洋資料センター〈PARC〉)/こみねまいこ(プロジェクト99%)/坂口正明(全国食健連)/ふくしまゆみこ(プロジェクト99%)/まつだよしこTPPって何?)/安田美絵(『サルでもわかるTPP』著者)