2012年12月11日火曜日

TPPに反対する3か国が共同宣言を発表!

(ワシントン州ブレイン発)― カナダ、メキシコ、アメリカ合衆国の活動家は土曜日(12月1日)、米国とカナダ国境にて開催された「クロスボーダーオーガナイジングサミット」にてTPPに反対する3か国共同宣言を発表した。(翻訳:田所剛/監修:廣内かおり)

第15回TPP交渉会議の開催を目前にし、労働者、環境活動家、先住民、家族経営の農家、民主主義やその他の社会正義活動に取り組む団体の代表者らは、2012年3月の開催が見込まれている次回のTPP交渉会議までに、北米の1,000団体からこの宣言への署名を集めるという目標を宣言する予定である。

「環太平洋経済連携協定は、企業の権利を守る取り決めであり、労働者や農民、先住民社会、そして地球の安全までも脅かしかねない。かつて、同盟した人々の運動が「企業による権力掌握」を潰したように、今回のTPPも同様の計画を立てている」と、当サミットの主催団体の1つであるワシントンフェアトレード協会理事のクリスティン・ベイフス氏は言う。

「環太平洋経済連携協定によるNAFTA拡大に反対する北米協同宣言」によると北米自由貿易協定(NAFTA)は大陸全体の経済、環境、文化に悪影響を及ぼしたが、TPP阻止の運動をしなければ、このNAFTA流の貿易と投資の規定を環太平洋地域全体に広めることになる、としている。

「この20年間、いかにNAFTAが労働者や家族経営の農家を痛めつけてきたか、どれだけ言っても言いすぎることはない。漏洩資料によるとTPPが多国籍企業に与える権力はNAFTAの比ではない。幸いなことに、国を超えた反対運動も起こりつつあり、我々3か国のネットワーもその1つである」とメキシコの自由貿易アクションネットワーク兼ワシントンD.C.の政策研究所の准研究員、マニュエル・ペレスロッカ(Manuel Perez Rocha)氏は言う。

「我々はカナダ、メキシコそして米国の社会正義に取組む団体に対し、まずTPPが加盟国に及ぼす脅威に対する認識、次に、この闘争に勝利するため地理的、分野的垣根を越えて結集しなければならないという認識に基づき、この共同宣言への署名を呼びかけている」と、カナダ評議会の貿易担当者、ステュアート・トゥリュー(Stuart Trew)氏は言う。

この宣言の全文は以下のとおりである。

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環太平洋経済連携(TPP)協定を通じたNAFTA拡大に反対する北米共同宣言

約20年にわたり経済、環境、文化へ悪影響を与えてきた北米自由貿易協定(NAFTA)は、一様な形ではないが、北米地域の多くの人々にとって大きな弊害となってきた。

NAFTAの直接的な結果として、まともな仕事は減少し、家族経営農家の苦悩は増し、食料の流通・供給システムは不安定になり、日々の消費者の安全対策は脆弱となり、社会の格差が拡大した。

同条約の知的財産権の規定によって、購入しやすい価格の薬品へのアクセスはいまだ確実に保障されておらず、同時に、金融サービスに関する規定によって銀行業務の規制がないがしろになっている。

NAFTAによって、経済の海外流出危機の助長や、偽の対麻薬戦争の激化という状況がさらに悪化し、何万人もの市民に対して大規模な人権侵害が行われている。

また、採鉱や他の地下資源の採掘計画等、様々な方法で地球と生態系を壊し、さらに先住民の主権に多大な影響を与えてきた。

NAFTAに続く数々の貿易協定は、規制緩和や民営化と共に、賃金、労働者の権利、環境保全の面で底辺への競争を加速させ、世界中に金融危機と気候の危機をもたらしている。

更なる被害を食い止めることは、我々にとって共通の優先事項である。

しかしそれどころか、NAFTAが富と権力を一斉に関係各国の富裕層に集中させたことから、カナダ、メキシコ、米国の政府や関係者等は現在、NAFTAの貿易と投資に関わる規則を、環太平洋経済連携協定(TPP)を通じて、環太平洋地域に広めようとしているのである。

実際のところ、漏洩した資料はTPPが多国籍企業に対し、NAFTA以上に新しい強力な力と権利をもたらすことを示唆しており、そこには、NAFTAの悪名高い「投資家対国家間紛争解決手続き」の拡大も含まれている。つまり、国際的な投資家は、予測利益を脅かしかねない、公共利益を守るための法律や規則、そして裁判所の決定に対しても、国内の司法制度を回避し、侵害する、責任のない仲裁機関を通して、異議を唱えることが可能になるのである。

世界にはこのNAFTA拡大計画を容認する余裕はない。その代わりに、我々には「出稼ぎ労働者に対する平等な権利を含む基本的な労働者の権利の尊重と促進、高賃金と充実した福利厚生を実現する仕事の創出、環境の保護、食料主権、金融市場の安定、食料や製品の安全、質の高い医療へのアクセス、地域の民主主義等」を含む、より公正で持続可能な世界経済を作るための一助となる政策が必要である。

ここに、全北米の同胞そして多くの国の人々に対し、我々そして多くの国々の人々の目前に迫る更に大きな災禍を避けるため、自らの仲間に対しTPP(の脅威)を伝え、直ちに行動を起こすよう呼びかける。

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