2012年12月3日月曜日

TPP交渉が拡大化──メキシコ・カナダ、そしてタイ政府が参加へ

 メキシコ政府のサイトから現在進行中のメキシコでの中間会合の記事を転載したもので、新たにTPP交渉に参加したメキシコ政府の意気込みが感じられる。(翻訳:田中久雄/監修:廣内かおり)

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環太平洋経済連携協定(TPP)の中間会合、開会

 環太平洋経済連携協定(TPPと英語で略称)を構成する10か国の派遣団の代表を前に、メキシコ政府は南部バハ・カリフォルニア州(Baja California Sur)のロス・カボス(Los Cabos)にて、TPP中間会合の開会を宣言した。この会合では、規制慣行の改善と開発に関する問題が詳しく検討される予定である。
 この中間会合の開始から、TPPに新たに加盟した二つの国、メキシコとカナダが協議に加わり、ニュージーランドで開催される次の正式会合への準備が進むことになる。

 メキシコ経済省対外貿易局のフランシスコ・ローゼンウェイグ(Rosenzweig Francisco)は、同国の交渉参加により、メキシコが環太平洋地域の中でラテン・アメリカ最大の経済国として戦略的に重要であること、さらに投資先や貿易パートナーとして位置づけられていることが認められた、と述べた。
 さらに「我々はいま、条文を分析して、この中間会合と数週間以内にニュージーランドで行われる交渉に建設的な貢献ができるよう精力的に作業を行っている」と開会式で語った。
 米国、チリー、ペルー、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ代表団や民間部門の代表者たちを前に、メキシコの経済次官は、現在浸透しつつあるグローバル経済の展開のなかで複雑化する市場開放や経済統合には苦闘しているものの、保護主義には強く反対を表明する、と述べた。
 また、TPPは経済の潜在力を引き出す可能性を含んでおり、貿易と貿易自由化は、ともに雇用創出と発展に役立つ手段である、と彼は語った。

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 以下は、11月13日付けのバンコクポスト記事からの翻訳・抜粋で、政府のTPP交渉参加表明に対しての冷めた論調が特徴的である。

タイ政府がTPP交渉に参加──批判者たちは、この協定は中国に対抗する米国の戦略と批判

 タイ政府は、米国が先導する自由貿易協定(FTA)の交渉に参加することに同意した。バラク・オバマ大統領の日曜日の訪タイ中に、正式に表明する予定である。
 タイの環太平洋経済連携協定(TPP)への参加は、活動家が広範囲にわたる自由貿易協定の影響を懸念する中で、米国大統領の訪問の目玉になるだろう。

 TPPは米国と、オーストラリア・カナダ・ベトナム・メキシコを含むアジア・太平洋諸国との間で協議されている地域FTA(自由貿易協定)案である。この協定は、ほとんどすべての商品やサービスにおける貿易自由化を目標としており、世界貿易機関(WTO)において現在定められている以上の義務を含んでいる。
政府のウェブサイトには、内閣が昨日、オバマ氏との共同記者声明においてインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相がその合意を発するという、貿易省の提案に合意した、との内容が掲載された。
 この協定により、米国へのタイの輸出品の関税低減がなされ、その結果タイは米国による一般特恵制度への依存ができなくなるだろう。

 この決定は、自由貿易の取り決めを監視してきたNGO団体FTAウォッチ(FTA Watch)の攻撃の対象になった。
 タイ首相は、単に米国指導者と何かを発表することのみを考えるのではなく、この取り決めを徹底的に検討すべきである、とFTAウォッチは語った。
TPPは、2010年にアメリカによって新たな命を吹き込まれた。交渉は来年にも終了するだろう。中国を除外するようなやり方は、北京の高まる経済的影響力に対抗し、米国がアジアでの支配力を強めるための試みとも見られている。
 米国政府は、TPPは加盟国間の貿易をさらに自由化するものであると豪語している。しかし、FTAウォッチのコーディネーターであるジャケチャイ・チョムトン(Jacquechai Chomethongdi)は、交渉に加われば、タイに悪影響を及ぼすと警告した。
 この協定は、製薬会社に国際基準よりも長期間の特許保護を与えるため、タイの人々は手ごろな価格で薬を手に入れるのに苦労することになるだろう、と彼は語った。この協定を通して米国は、サービス・投資分野における一層の自由化を強く要求している、と彼は付け加えた。
 この協定は、他のアジアの国々と共にブロック的貿易圏を作り上げて中国に圧力をかけ、アメリカのルールに従わせようとする、アメリカの戦略の一環である、と彼は述べた。

 オバマ氏の訪問は、両国間の外交関係樹立180周年を記念するものである。
大統領選勝利の興奮も冷めやらぬなか、オバマ氏はプノンペンにおける東アジアサミットに出席する途上で、タイとミャンマーを訪れる予定である。タイの消息筋によると、米国は訪問中の安全のため、タイの警備担当者に狙撃兵の増強を求めたとのことである。タイ警察特殊部隊(Arintarat)の狙撃兵が警備支援の依頼を受けたと、情報筋は述べた。米国はまた、政府庁舎に隣接するピサヌローク(Phitsanulok)通りを、日曜日の会談中は封鎖するよう求めた、と情報筋は話した。
 米国高官はまた、付近の農業銀行や農業協同組合本部、公務員委員会事務所、プラナコーン・ラチャパット(Phranakhon Rajahat)大学などの高層ビルを監視するよう、タイの当局に要請した。
 オバマ氏訪問の警備上の準備は、チャルーム・ユーバムルン(Chalerm Yubamrung)副首相の担当である、と政府広報担当官ソサッポン・セリーラック(Thossapon Sereerak)は述べた。

 首相官房は昨日、米国政府、大使館、大統領警護班からの約30名による政府庁舎の視察を許可した。

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