2013年2月27日水曜日

3月2日はAMネットが大阪で緊急会見


TPP緊急記者会見 ~TPPで市民の暮らしどないなんの!~
=TPP交渉参加に対するNPO・生協関係者による共同記者会見=


TPP交渉への参加は、日本の食卓や農業だけでなく、公共サービスや医療、保険や労働など市民の暮らしに大きな影響を与えます。

政府は、先の総選挙で約束したTPPに関する公約を放置したまま、交渉参加に前のめりになっています。市民社会や利害関係者の声を全く聞かないどころか、政権与党内でも反対の声が多数を占めるにも関わらず、短期間の内に交渉参加する可能性が高くなっています。

今回、私たちはTPPが私たちの暮らしにどのような影響があると懸念しているか、海外NGOなどの市民社会はどのように反応しているのか、TPPについて理解を深めるため、最新情勢を盛り込みながら緊急記者会見ではお話します。メディアの方々の幅広いご参加・取材をお願いします。※一般市民の方も参加可能です。

※主催者であるNPO法人AMネットは、「~TPPを考えよう~市民と政府の意見交換会」を2012年6月9(日)大阪で開催し、内閣府石井審議官はじめ4省庁から課長級協議担当官と初めて市民主催の場を開催運営した団体です。(情報の少ないTPPに関して直接政府と意見を交換する市民が呼びかけた場としては初めての機会となります。)

【開催内容】
日 時:2013年3月2日(土)10:30~11:30
場 所: AMネット事務所 http://am-net.org/about-am/am-map.htm
〒531-0064 大阪市北区国分寺1-7-14 国分寺ビル6F (天神橋筋六丁目駅2番出口から徒歩2分)

「TPP交渉の主要な論点と市民社会への影響」
神田 浩史(西濃環境NPOネットワーク副会長)
「TPPが農業、公共サービス、投資分野に与える影響」
松平尚也(AMネット代表理事)
「TPPが医療分野に与える影響」
武田かおり(AMネット事務局長)
「TPPが食卓に与える影響」
西村明彦(コープ自然派兵庫 専務理事、予定)

<本件に関するお問い合わせ>
広報担当者名 松平尚也(NPO法人)AMネット代表理事

TEL: 090-4644-1951 E-mail:kurodaira@rouge.plala.or.jp 

特定非営利活動法人 AMネット
WEB:http://am-net.org/ BLOG:http://am-net.seesaa.net/
E-MAIL:amnetosaka@yahoo.co.jp TEL:080-3773-2894

全国食健連が「安倍首相にモノ申す緊急行動」開催!─TPP交渉参加阻止!国会前座り込みなど

TPP問題重大局面に!緊急要請
  2013.2.26

TPP交渉参加に反対するみなさんへ

全国食健連
事務局長 坂口正明

TPP交渉参加阻止!国会前座り込みなど
「安倍首相にモノ申す緊急行動」への参加要請

 安倍首相は日米首脳会談を利用してTPP交渉参加に踏み切る決意を固め、自民党も判断を政府に一任するという暴挙がすすめられています。これは自らの公約も9割もの地方自治体議会決議、そしてさまざまな団体の「参加反対」の意志も裏切るもので、到底許されるものではありません。このままでは国民のいのちも暮らしも、食と農、雇用、経済も壊すTPP交渉に突入しかねません。

 全国食健連は、この重大局面に、下記の通り連続的な国会前行動を配置しました。安倍首相、そして国会議員に訴えるため、全国のみなさんに参加を呼びかけます。

 ぜひ国会前に参加いただき、怒りを首相へ国会議員へ届けましょう。また、合わせて地方でも緊急宣伝や地元国会議員への申し入れ、官邸への抗議電報打電などを行うよう呼びかけます。


1.2月28日(木)11時~13時30分 衆議院第2議員会館前

*座り込み、「安倍首相にモノ申す緊急行動」
*多くの団体に呼びかけて行います。 のち国会議員要請

2.3月5日(火)午後国会前座り込み(注:時間は決まり次第連絡)

*17時~ STOP TPP!!官邸前アクションへ合流

<お願い>参加が決まりましたら、概数で結構ですからお知らせ下さい。
  Eメール:center@shokkenren.jp or FAX3370-8329  

3.5緊急拡大行動!! STOP TPP!! 官邸前アクション

3.5緊急拡大行動!!
STOP TPP!! 官邸前アクション
http://notpp.jp/TPP_kantei.html

自民党は公約を守れ!
TPP交渉参加は絶対反対!
STOP TPP!!を改めて強く訴えよう!

2月23日未明(日本時間)に行なわれた日米首脳会談では、「日米 TPP 共同声明」なる文書が出され、安倍首相はTPP交渉参加に踏み出す意向を表明しました。

それと呼応する形で、マスメディアは一気に「TPP交渉参加へ」「関税の聖域を日米で確認」と、まるで日本のTPP交渉参加が決まったかのような報道を繰り返し流しています。

そもそも、今回の日米首脳会談の内容は、TPP交渉全体を律するものではなく、あくまでも日米の思惑のすり合わせです。日本の交渉参加には交渉参加国すべての国の承認が必要であり、関税撤廃を強く主張しているオーストラリアとニュージーランドは、承認していません。

さらにいえば、TPP交渉は関税だけの問題ではなく、自民党自身もそのことを認め、すでに総選挙時に6項目の公約を掲げています。すなわち、①「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対、②自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない、③国民皆保険制度を守る、④食の安全安心の基準を守る、⑤ISD 条項は合意しない、⑥政府調達・金融サービス等はわが国の特性を踏まえる、です。これらすべてにおいて確認ができない限り、TPP交渉への参加は許されません。

また現時点では、農業・医療・建設・消費者・法曹など国民の多数が TPP 交渉参加に反対し、かつ地方自治体議会の 9 割以上が反対・慎重の決議をあげています。この現実を無視して米国や利潤を求める一部の大企業の側に立って「交渉参加」という暴挙に踏み出すことは、民主主義への冒涜であり、すべての有権者・住民への裏切りです。さらにいえば、世界に広がる新自由主義的な暴力的な市場経済に、自国民はもちろん、他国の人びとも道連れにして放り出すという、歴史に禍根を残す愚行でもあります。

私たちは改めて、安倍首相および政府に、TPPに関する6項目の公約を守り、その実現が確認されない限りTPP交渉への参加をしないことを強く訴える緊急拡大行動を呼びかけます。

TPP交渉への参加に、断固反対します! 自民党は公約を守れ!

2013年2月26日
STOP TPP!! 官邸前アクション〈3.5緊急拡大行動〉呼びかけ人一同

●日時:3月5日(火)17:00~20:00
●場所:首相官邸前(国会記者会館側)
http://ow.ly/i3kjY

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★STOP TPP!! 官邸前アクション〈3.5緊急拡大行動〉呼びかけ人

安部芳裕(プロジェクト99%)
内田聖子(アジア太平洋資料センター〈PARC〉事務局長)
坂口正明(全国食健連)
こみねまいこ(プロジェクト99%)
ふくしまゆみこ(プロジェクト99%)
まつだよしこ(TPPって何?)
安田美絵(『サルでもわかるTPP』著者)
木村隆文
野田克己(大地を守る会 管理本部長)
堀田澤義人(パルシステム連合会 広報部長)
小田川義和(全国労働組合総連合〈全労連〉事務局長)
白石淳一(農民運動全国連合会〈農民連〉会長)
岡崎民人(全国商工団体連合会〈全商連〉事務局長)
長瀬文雄(全日本民医連事務局長)
伴 香葉(全日本民医連事務局次長)
笠井貴美代(新婦人の会会長)
山根香織(主婦連合会会長)
河添 誠(首都圏青年ユニオン青年非正規労働センター事務局長)
山浦康明(日本消費者連盟共同代表)

*2013年2月26日現在・順不同。呼びかけ人は今後も増える予定です*

【STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会】
http://notpp.jp/TPP_kantei.html 
ツイッター:https://twitter.com/TPP_kantei
(当日の実施状況はツイッターにて告知します)

2013年2月26日火曜日

ローリー・ワラック(パブリックシティズン):一般教書、TPP、TAFTA

米国大統領が一年に一度上下両院議員総会で政策の方針を述べる一般教書演説(2013年は現地時間2月12日夜)で、TPPを含む貿易政策と雇用創出について触れました。パブリックシチズンのロリ・ワラック氏による強烈な批判の文章を紹介します。(翻訳:戸田光子/監修:廣内かおり)


ローリ・ワラック(パブリックシティズン):一般教書、TPP、TAFTA
(2013年2月14日 ハフ・ポスト・ポリティクスからの翻訳)
ローリー・ワラック(2012.3.13 「TPPに反対する運動を進めるための円卓会議」にて)
 
オバマ大統領が一般教書演説のピクニックで放した二匹の猛烈なスカンクにお気づきだろうか?

アメリカの雇用を創出する!アメリカの製造業を再建する!アメリカの輸出を増大する!技術革新を促進する!健康と環境を断固として保護する!環太平洋パートナーシップ(TPP)という11か国のNAFTA(北米自由貿易協定)型「自由貿易」協定(FTA)-別名(いわば)ベトナムとのNAFTAを決着させ、多国籍企業から長らく要望のあった、重要な消費者保護を排除する欧州との「自由貿易」交渉、大西洋自由貿易協定(TAFTA)に着手する?

このうち2つは他と異なる。実際、TPPとTAFTAは、アメリカ国民と議会がそれを実現させてしまった場合、オバマの一般教書演説の中にある最も価値ある目標の多くを骨抜きにしてしまうだろう。

誰がそんなことを言っているのか?まず初めに、米国政府の貿易と雇用に関する公的資料がある。現在発効しているFTAの実施以後、60,000以上の製造工場が閉鎖され、500万人の製造業の雇用が失われた。これは協定実施以前のアメリカの製造業の雇用の丸々4分の1に相当する。TPPと同様、こうしたこれまでの協定にも、実際にアメリカの雇用を海外に移転する促す投資規則(条項)が含まれている。

そして、FTA参加国ではない国に対するアメリカの輸出の伸びは、FTA参加国である国に対するアメリカの輸出の伸びを過去10年にわたり38%上回っている。FTA参加国に対するアメリカの貿易赤字総額は、FTAが実施されて以来、1,440億ドル以上(インフレ調整後で)増加した。逆に、FTA非加盟国に対する赤字総額は2006年(現行FTAの複数の加盟日のうち、中間の日)以後、550億ドル以上減少した。オバマ政権の実質輸出対雇用比率を援用しても、また対中国貿易を除いても、FTAの貿易赤字の急増だけで100万人近くのアメリカの雇用の喪失を示唆している。だから、またいつものNAFTA型の協定を結ぼう!だが今度は中国に代わる低賃金のオフショア、ベトナムとだ。

おそらくTPPやTAFTAの売り込みは全く皮肉そのものだ。例を挙げれば、大統領が2010年の一般教書で述べた、さらに多くの「自由貿易」協定を通過させて米国の輸出を5年で倍増するという目標を(今回)繰り返さなかったことに注目して欲しい。残り2年となった今、この目標達成への道のりは60%まできていなければならない。ところが、今週末に発表された米国国際貿易委員会の2012年貿易データ年報によれば、2012年の2%という緩やかな輸出増加率の下では、大統領の目標は2032年まで達成されないだろう。

それに、オバマが昨年の一般教書演説で売り込んだFTAは、約束した数の民間雇用を生み出していない。それどころか、2012年に発効した、韓国、コロンビア、パナマと結んだFTAの初期段階の成果を探る米国政府の貿易動向資料によると、FTA発効期間中の数か月間、米国の同3カ国への輸出合計額は2011年の同期比で4%減少した。韓国への貨物輸出は10%激減し、対韓貿易赤字は26%増加した。この数字はごく最近、一連のNAFTA型協定を結んだ1年目に数千人の米国人の雇用が失われたことと一致する。

実際、石油を除く物品の米国の年間貿易赤字は2012年、6%増の6,280億ドルとなった。これは過去5年間で石油を除いた米国の最高の貿易赤字額である。対中貿易赤字も(石油を入れても)過去の記録をすべて破り、3,210億ドルに上った。あのオバマのほぼ同じ貿易指針がこんなに効果を上げているのだから、さらに進めたら…

だが、まだある!

TPP交渉は3年間極秘裡に行われてきたが、一方で、知的財産権の章を含むいくつかの文書が漏洩している。中には、インターネットの自由や技術革新を損なう極端なSOPA(オンライン海賊行為防止法案)型の著作権実施条項も含まれている。だれが言ったかって?電子フロンティア財団と議会の最も信頼できる「自由貿易」賛成派たちだ。下院監視委員会委員長のダレル・アイサ(カルフォルニア州・共和党)から上院貿易小委員会委員長のロン・ワイデン(オレゴン州・民主党)、下院議員のゾイ・ロフグレン(カリフォルニア州・民主党)までいる。

そして、あの大西洋FTAは?これは大西洋間ビジネス対話、つまり金融、アグリビジネス、製薬、化学、その他の欧米多国籍企業クラブがお気に入りの計画である。TAFTAの焦点になるのは貿易そのものではないだろう。国境税(関税)はすでに低いのだから。むしろ、こうした交渉が狙っているのは、多国籍企業が呼ぶところの一連の「貿易の癪の種」(非関税障壁)の排除である。ただしそれを私たちは食品の高い安全性や、環境と健康の安全装置と呼ぶのだが。

その標的とは?大西洋をはさむ両地域が持つ、最強の消費者及び環境保護の規則だ。米国の企業は、欧州がその優れた化学品規制の枠組み、米国より厳しい食品安全規制および遺伝子組み替え食品の表示や気候変動政策を骨抜きにしたい。(一方、)欧州の企業は、欧州より厳しい米国の金融規制の枠組み、薬品及び医療機器の安全性、そして検査基準などの側面を狙っているのである。
(翻訳:戸田光子/監修:廣内かおり)

参加表明後に地方はどう動く!?─NZ首都オークランド市議会が注目の決議

 すでにTPP交渉参加国となっているニュ-ジ-ランドの首都・オークランドで注目の動きがありました。オークランド市議会はTPPに関する決議を起こし、その内容は地方におけるTPPの問題点を表したものになっています。

 日本国内では参加表明を前提とした議論が始まっていますが、日本が参加表明した後の地方の動き方として参考になるかもしれません。ぜひ日本の市民と共有すべく翻訳をしました。(翻訳:田所剛/監修:廣井かおり)

オークランド市議会決議 決議案番号RDO 2012/266
発議者:MA ハートレイ議員、賛同者:W ウォーカー議員
      
 地域開発運営委員会は、ニュージーランド政府がTPPおよびFTAの交渉においてオークランド市とニュージーランドにとって実質的に有益な内容、即ち以下のような目的を達成するような方法で妥結することを求める。

1.オークランド市議会そして他の地方議会の裁量において、地域優遇のために公共事業の調達を行う権限を引続き認めること、即ち特定のサービスや便益は地方議会が運営、もしくは契約する組織(CCOs)により地域内で提供されるものを選択すること、および国内もしくは国際的な最低水準よりも高い水準の健康と安全、環境保護、雇用の権利と条件、コミュニティの参加、動物保護と人権の水準を要求することなどである

2.オークランドおよびニュージーランドが協定締結国以外の、中国を含む他の国々とも外交面、貿易面で良好な関係を保つこと

3.自国、特にオークランド地域の農産品の米国市場への輸出機会を増加させること

4.医療費や薬価の高騰、タバコに対する規制(緩和)等公共の健康維持を脅かすような医薬品管理局(PHARMAC)(の機能)を蝕まないこと

5.投資家対国家間の紛争解決のための仲裁裁定制度の導入により海外投資家や資金提供者に対し国内投資家や資金提供者以上に大きな権限を与えないこと、および海外投資家や金融機関に対する規制権限を弱めないこと

6.現行法の範囲を超えた知的財産権の範囲拡大と法施行を行わないこと

7.公共サービスの弱体化や民営化、反民営化の動きの阻止、ニュージーランド政府やオークランド市議会および他の地方行政機関の営利化の促進を行わないこと

8.地方経済と産業の発展に対する柔軟な支援を損なわないこと、また市の研修制度、COMET(市民に教育機会と連携の場を提供する市議会運営の組織)、社会からはじかれた若者たちがより有意義な職に就けるような技能を習得するための市長による対策委員会など、良質な雇用と環境を促進するための取組みを促進すること

9.国際労働機関の条約を順守し、交易や投資優遇のために労働権を狭めることを防止する、強制力ある労働条項を含めること

10.交易や投資優遇のために環境基準を引下げることを防止する、強制力ある環境条項を含めること

11.人権、環境、ワイタンギ(Waitangi)条約(訳注:ニュージーランドとマオリ族との間の土地所有などをめぐる協定のこと)、そしてニュージーランドの経済と金融の安定を擁護するための一般例外条項を含めること

12.協定条文案の定期的な公開を行い国民に意見を求めることがなされてきてはいるが、意見公募(パブリックコメント)を含め社会、環境、経済等への影響調査結果を協定批准の条件とすること

可決

(翻訳:田所剛/監修:廣井かおり)

TPPに反対する人々の運動が緊急声明を発表!

「TPPに反対する人々の運動」は呼び掛けます

 2月22日午後の日米首脳会談の結果を受け、安倍政権はTPP交渉参加に向け、急ピッチの動きを見せています。オバマ・安倍会談で「すべての関税撤廃を交渉参加の前提とはしない」という確認をとったとする安倍首相の説明の当否はともかく、それを受けてのマスメディアのTPP推進キャンペーンともいえる報道の氾濫の中で、交渉参加への道筋は既定の路線として着実に進むものと見られます。

「TPPに反対する人々の運動」は、政治状況がいかに変化しようが、TPP反対する私たちの姿勢はいささかも揺らぐものではないことをまず確認します。

 TPPとは、憲法が保障している平和に安心して生きる権利、働く権利、教育を受ける権利などの上に成り立つさまざまの諸制度と、その諸制度の上に私たちが築きあげてきた社会のありようを根底から覆えしてしまうからです。

 TPP反対の運動はいま前哨戦を終え、これからがたたかいの本番です。交渉参加阻止、交渉の場での国を越えた民衆運動の展開、国会での批准阻止と運動は長く続きます。まず足元を固める必要があります。台所、工場、オフィス、田んぼ、畑、お店、建設現場などなど暮らしと仕事の現場から、改めてTPP反対の運動を組み直そうと考え、私たちは動き出しているところです。同時に、地域で職場でTPPを封じ込める自立した経済や暮らしの仕組みをつくりあげる実践も行わなければなりません。地域づくり、仕事づくり、地域自給圏の形成などさまざまの実践がすでに始まっています。「マチでもムラでも当たり前に生きたい」という私たちが運動を始めたときに掲げた思いを、いまこそ実際の運動としてつくりあげなければならないと決意しています。

現場からの運動づくりと合わせて、私たちは次のことを呼びかけます。

1、TPP参加反対を掲げて先の総選挙で当選してきた自民党議員に公約を守らせよう!

2、TPP反対を掲げて運動してきた日本医師会、JA農協に、患者の立場、食料を生産する農家、その食料を食べる消費者の期待に背くなという声をあげよう!

3、「平和に安心して生きる権利」の確立をめざし、あらゆる垣根を越え、国境を越えて、TPPに反対する人びとのつながりをつくりだそう!

日本消費者連盟が首相に反対声明

「日米共同声明におけるTPPの参加表明に対する抗議」

 2013年2月23日(日本時間)未明に行われた安倍首相とオバマ大統領の日米首脳会談終了後、日本側が発表した共同声明の要旨によると、環太平洋経済連携協定(TPP)に関しては、日本がTPP交渉に参加する場合にも「すべての物品が交渉の対象にされる」としたうえで、「一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する」という明文が入ったとのことです。

 これを受けて安倍首相は会談後の記者会見で、「オバマ大統領との会談で、『聖域なき関税撤廃』が前提ではないことが明確になった」と述べ、帰国後、自民、公明両党から一任を取り付けたうえで、政府の専権事項として交渉参加を早期に判断する考えを示しました。

 その後の報道によると、政府関係者の発言として、安倍首相は2月28日にも開かれる衆参両院本会議での施政方針演説でTPP交渉への参加を正式表明する方向で調整に入ったとされています。

 自民党が昨年12月の総選挙の時に発表した公約で謳った、食の安全基準が引き下げられることにならないのか、国民皆保険を本当に守れるのか、ISD条項が入れられるのではないか、自動車など工業製品の輸入数値目標を設定するのではないか、政府調達・金融サービスの自由化が進められるのではないか、といった5つの非関税分野に存在する重要な懸念事項が全く払しょくされない状況で、わずか5日後に正式参加表明をするなど論外の暴挙です。

 日本の国家・社会の仕組み、国民生活の根幹、政治のガバナンスにかかわる大問題であり、国民の重要な権利侵害を含む政策をこのような形で進めることは許されません。

 厳重に抗議するとともに、正式表明をしないよう求めます。

日本消費者連盟

TPP交渉参加に反対!全日本労働組合総連合が発表

日本政府のTPP交渉参加に強く反対する(談話)

 2月23日(日本時間)に安倍首相は、オバマ米大統領との首脳会談で、TPP(環太平洋連携協定)への交渉参加に踏み出す意向を表明したと伝えられる。国民合意を経ない中で既成事実を積み上げる意向表明には強く抗議する。

 会談で「(TPP)交渉参加に先立ち、一方的にすべての関税を撤廃するようあらかじめ約束することは求められない」ことが確認さたとし、「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」との認識を安倍首相は述べている。これを受けて政府は、TPP交渉参加を早期に表明する動きを示している。
 首脳会談後に発表された「TPP共同声明」では、日本がTPP交渉に参加する場合に①全ての物品が交渉の対象とされること、②「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくこと、が確認されている。
 また、「最終的な結果は交渉の中で決まっていく」ことの確認のもとに、「あらかじめの約束」を求めないとしているにすぎない。入口での関税撤廃の「約束」は不要でも、全ての物品について[TPPの輪郭]に従って交渉した出口が「聖域なき関税撤廃」となることは否定されていない。
 これが「共同声明」の内容であり、安倍首相の認識は国民を欺くものにほかならない。

 また、安倍首相や政府は、昨年末の総選挙時の自民党公約が「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対する。」ことのみであるかのように偽り、① 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない、②国民皆保険制度を守る、③食の安全安心の基準を守る、④国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。⑤政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる、との5点を含めた「6項目」がTPP交渉参加の条件として総選挙で公約したことを意図的に隠している。
 今回の首脳会談では、「6条件」全てが議題とされた訳ではなく、この点を曖昧にしたままの交渉参加表明は明確な公約破りであることを強く指摘する。

 全労連は、2010年秋に、当時の菅内閣がTPP交渉への参加を決定しようとした段階から、TPP参加反対の立場を明確にして運動を進めてきた。
 その理由は、アメリカが主導するTPPに参加することで、国内の農林業などの第1次産業への影響はもとより、経済危機の原因ともなった「ハゲタカファンド」の投資行動や、産業構造への影響、産業構造変化にも起因する雇用への影響、移民労働者問題など、労働者にも直接的で広範な影響が生ずることが懸念されたからである。
 この間、TPP交渉は秘密裏に進められ、全容は明らかにされていない。しかし、多国籍企業に、政府の規制等によってその利益が侵害されたと判断した場合、規制撤廃等を求めて訴える権利を定める「ISDS条項」の交渉内容の暴露などによって、TPPが一部大企業の「儲けの自由」を最重視する一方で、国民の生命、財産、権利などを保護する国の役割を軽視し、国の主権さえ侵害しかねないものであることも明らかになってきた。
 これらのこともあり、地方議会の9割が、TPP交渉参加に反対もしくは慎重な対応を政府に求める意見書を採択していることなどを政府は十二分に踏まえるべきである。

 現時点で、政府がTPP交渉への参加表明を行える国内状況にはないことは明白である。政府は、TPP交渉参加が日米関係の問題ではなく経済主権や食料主権にかかわる国内問題であることを再確認し、国民への説明責任を尽くすよう強く求める。
 全労連は、拙速な日本政府のTPP交渉参加に反対し、TPP参加反対の一点での国民共同のたたかいの一翼を担って引き続き奮闘する決意である。

2013年2月25日
全国労働組合総連合      
事務局長  小田川義和

全日本民主医療機関連合会が首相に抗議

【声明】
日米首脳会談での国民を欺く安倍首相の態度表明に強く抗議する

2013年2月25日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛

 安倍首相は22日、アメリカのオバマ大統領と日米首脳会談を行い、TPP交渉参加表明をはじめ、集団的自衛権行使に向けた検討、軍備増強、沖縄普天間基地の名護市辺野古への移設推進、2030年代に原発ゼロをめざす政策のゼロベースでの見直し表明など国民世論、利益に反する態度表明を行った。

 TPPに関する共同声明では、日本がTPP交渉に参加する場合、すべての物品が交渉の対象とされること、関税や非関税障壁を撤廃するなどとした「TPPの輪郭(2011年11月、TPP 参加首脳が表明)」を達成していくことを確認した。これは TPP 交渉への参加が「聖域なき関税撤廃」を前提としたものであることを確認したものであり、自民党の総選挙公約である「聖域なき関税を前提とする限り、交渉参加に反対する」を反故とするものであり断じて認められない。

 また同様に公約した国民皆保険制度を守る点については、言及すらされておらず、公的医療保険がTPPの対象になること、また TPP参加に伴い一層の医療市場化が容認されていくことによって国民皆保険制度解体への道に進んでいくことに強い懸念を覚える。

 安倍首相は「日米軍事同盟強化」の名の下に日本国憲法の平和原則を蹂躙する態度をとった。とりわけ普天間基地の辺野古「移設」を早期にすすめることを表明したことは重大である。沖縄のすべての自治体が参加する県民大会実行委員会が1月28日に安倍首相に提出した「建白書」が示した普天間基地の閉鎖・撤去と基地の県内移設断念を求めた沖縄県民の総意を蹂躙するものであり、沖縄県民の願いを踏まえた発言をおこなうべき首相が、沖縄県民と日本国民を裏切る態度表明をおこなったことに強く抗議する。

 私たちは、安倍内閣の民意を無視した、財界とアメリカに追従した政策の暴走に対してアジアの平和と国民生活安定を求める国民の願いを実現するためのたたかいに全力をあげるものである。(以上)

TPPの交渉参加に反対!主婦連合会が声明発表

2013年2月25日
TPPの交渉参加に反対します
主婦連合会
会長 山根香織

主婦連合会は政府によるTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加に反対を表明します。

報道によると、安倍晋三首相は2月22日、米国オバマ大統領と会談し、「TPP交渉ではあらかじめすべての関税撤廃を約束しない」との共同声明をまとめたことでTPP参加への障害が排除されたとの感触を持ったことから、3月上旬にもTPP交渉に参加する意向を表明するとされています。

しかし、米国を含む11カ国が交渉参加しているTPPは、すべての物品の関税と貿易障壁の撤廃を謳い、その実現を目標とすることを原則とする協定であり、対象分野は20を超えています。食料だけではなく、日本の社会保障制度、安全基準なども撤廃・緩和の対象となり、TPP交渉への参加と交渉推進は消費生活に重大な影響を与えるものです。

特に、次の点について懸念があることから、主婦連合会はTPPの交渉に参加することに反対を表明します。

【懸念事項】

1.TPP交渉は、食料自給率をいっそう低下させ、日本の農畜産水産業に壊滅的な打撃を与え、食生活に重大な影響を及ぼします。

2.TPP交渉は、国民皆保険制度をはじめ、数多くの社会保障制度などを撤廃・緩和・後退させる可能性が高い協定です。

3.TPP交渉では、食品、環境などの分野での安全基準が撤廃・緩和される可能性があります。食品添加物、残留農薬基準をはじめ、多くの化学物質の使用緩和や、遺伝子組換え食品表示の撤廃なども対象に入ります。

4.TPP交渉は、協定参加国に対し「ISD条項」の受け入れを迫るものであり、日本独自の消費者保護制度や自治体独自の制度に大きな変更を迫るものとなります。

5.TPP交渉は、地域の雇用機会の喪失を招くとの行政調査もあり、地域経済、地域コミュニティの破壊にさらに拍車をかけます。

以上

2013年2月13日水曜日

3月1日 韓米FTAに学び、TPPの問題点を考える学習会

 TPP(環太平洋連携協定)交渉への参加の是非が世論を二分しており、201212月の衆議院選挙でも争点の一つになりましたが、交渉の具体的な内容は、依然として国民に明らかにされていないままです。

しかし、TPPの内容を具体的に推し測る手立てはあります。韓国と米国との間で2012年3月に発効した韓米FTA(自由貿易協定)の内容を知れば、TPPに参加した場合の日本の近未来の姿が見えてきます。事実、米国政府高官は、「TPPは、韓米FTAの内容をより強化したものになるだろう」と述べています。

そこで、韓米FTAの問題に詳しいソン ギホ(宋 基昊)氏を韓国からお招きし、韓米FTAに学び、TPPの問題点を具体的に考える学習会を以下のとおり開催します
●日時201331日(金)13301530
●会場JAビル401会議室東京都千代田区大手町1-3-1)
最寄駅地下鉄各線 大手町駅(出口C2bの地下通路に直結)




●講師ソン ギホ(宋 基昊)氏

弁護士。通商法、韓米FTAの専門家として著書多数。(TPP毒素条項についても研究)若い時に農民運動に関わる。韓米FTAの農業への影響についても詳しい。近著「恐怖の契約 米韓FTA TPPで日本もこうなる」(原題「韓米FTAハンドブック 公務員のための韓米FTA協定文解説」)(農文協ブックレット、訳:金哲洙(日本農業新聞)ほか)

●逐次通訳あり
●参加費無料
●主催TPPから日本の食と暮らし・いのちを守るネットワーク

<幹事団体>
全国農業協同組合中央会、全国農業会議所、全国漁業協同組合連合会、全国森林組合連合会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、大地を守る会、パルシステム生活協同組合連合会、(社)中央酪農会議

<申込み・問合せ先>
*参加を希望される方は、事前にご予約をお願いいたします。(定員88人になり次第終了)

*申込み・問合せ先:
 生活クラブ連合会 企画部 (担当 前田)
TEL 03-5285-1898FAX 03-5285-1839、 メール kazukiu.maeda@s-club.coop

2013年2月7日木曜日

ワイゼルTPP首席交渉官による第15回TPP交渉会合メモ

 去る1月10日、ワシントンで開催された米国通商代表部(USTR)のバーバラ・ワイゼルTPP首席交渉官による第15回TPP交渉会合(オ-クランド)に関する説明会のメモを翻訳しました。いくつかの困難な項目が残されていることと同時に、多くの分野で進展があることがわかります。一方で分野横断的事項、政治判断の必要とされる事項、重要関心品目に関する市場参入の最終判断、知財、国有企業などについてはまだ争点が残されています。更に環境・労働などはスタ-トラインが整えられた段階のようです。
日本と異なり、各国では、交渉会合の都度市民団体を含む利害関係者への説明会が必ず行われたり、そうでない国では交渉官との意見交換の機会が保障されていることもあり、限界があるものの一定の情報公開が担保されていることにも注目すべきでしょう。なお、当日参加した市民団体の参加者が作成したメモであることをご了解ください。(翻訳:清水亮子/監修:廣内かおり)

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2013年1月10日
バーバラ・ワイゼル(米国TPP主席交渉官)による説明会のメモ

12月のTPP会合に先立つ(米国)大統領の東南アジア訪問で、大統領はTPPに加盟している6カ国と会談する機会があった。6カ国は東アジアサミットに出席し、大統領の2期目における交渉の優先順位について話し合うことになっていた。また大統領はオークランド会合の前に、他のTPP加盟国首脳とも電話会議を行った。したがって、交渉官たちは、各国首脳からしっかりと指針を受けて会合に入った。

オークランド会合(第15回TPP交渉会合)の第一の目標は、交渉を進めつつ、カナダとメキシコを交渉に組み入れることだった。カナダとメキシコによる10月の交渉参加以降、これらの国を条文作成のスピードにのせるために多くの時間が費やされてきた。今回の会合が、これら2カ国を組み入れるためだけのものでないことを両国とも承知しており、準備を整えて参加していた。メキシコは会合の数日前に政権が交代したため心配したが、メキシコの交渉官たちに支障をきたすことはなかった。したがって、この目標は達成できた。

第二の目標は、条文内容と市場参入の話し合いについて、引き続き実質的な進展をはかることにあった。かなりの進展がみられている。私が繰り返しこう言うのをからかう人がいることは知っているが、交渉の複雑さをご理解いただきたい。15回にのぼる会合の第1回目の時には、何の文章もなかった。各国が自分の条文を持ち寄ったため、同じ問題について8~9の条文が提案されることもあった。交渉の場にいないと、その苦労を理解するのは困難だろう。各章は70~90ページもあり、それが29章ある。しかし、我々は決着に近づいている章があることも認識している。ただし、横断的な決定や政治的決定が必要な問題、また市場参入に関する特定の決定が下されなければ解決しない問題を除く章である。

一方、多くの章についてはうまく進んでいる。難しい課題が残るのは以下のとおり:
・TBT(貿易の技術的障害)では、(輸入商品の登録手続きにおける)独自製法・独自成分についての新しい付属書が提案された。私たちが提案したのではなく、マレーシアによる提案である。
・議論が続いているのは、知的所有権、国有企業(SOEs)、環境、労働の章の一部、電子商取引、投資の章の一部である。投資の章はとても長い章だ。
· SPS(衛生植物検疫措置)に関するいくつかの問題--条文提案を視野に入れているが、米国内でまだ意見の一致をみていない。
· SOEs – 見解が大きく異なる。これまでの会合で充実した議論があり、いくつかの項目を修正してきたが、(協定の定める)義務が自国にとってどのような意味を持つことになるか、まだ検討している国も複数ある。カナダは我々にとってたいへん助けになった。SOEsに関する規律が重要だという発言もしている。
· 環境 –異なる条文が多くあり、相違を埋める方法を見つけようとしている。
· 知的所有権 – オークランドでは成果があった。章の最初の方でいくらかの一般的な取り決めがあったが、交渉の歩みは依然として遅い。
· 市場参入– 米国は繊維と衣料品に利害を持つ企業や利害関係者と議論を続けている。これまで説明会の対象としてきた利害関係者やTPP交渉参加国など様々な利害関係者にとっての妥協案を模索しており、概ね前向きな反応を得ているので、その立場を詰めているところだ。
· サービス、金融サービス、政府調達の市場参入に関するオークランドでの議論はほとんどなし。 – 焦点は規制について。

次の会合はシンガポールで開催の予定。利害関係者の参加に関する情報はなし。シンガポール会合までの間に、他のTPP参加国や利害関係者と数多くの話し合いがおこなわれる予定。ただし、公式な中間会合交渉の予定はなし。多くが非公式な協議となる。

質疑応答

Q: 投資の章に関する質問。特許の差止請求を制限する特許庁の命令があった場合、それに異議申し立てるためにTPPの投資の章が使われることはないのか?
A: その件にいてはよくわからないため、答えられない。お望みなら投資チームとの会合を設定できるかもしれない。

Q: 米国はデータの12年間非公開の立場か?あるいは生物製剤は?
A:そうではない。

Q: 秘密主義/透明性の欠如への懸念を考えると、この説明会に電話参加できるように回線をひいてはどうか?
A: 我々は何度も説明会を開き、多くの人が参加しており、私たちが出向くこともある。他の人たちが参加していないというわけではない(きわめて防御的な言い方)。

Q: 生物製剤について、米国は修正した条文を提案するつもりか?
A: 12月以降、内部での議論が始まったが、休暇を挟んだためあまり進んでいない。またトップの人員交代もあるので、医薬品分野の決定など特定の見解がある分野には時間をかける必然がある。決定の時期については、具体的な回答を持ち合わせていない。

Q:ニュージーランドとカナダとの酪農製品の市場参入交渉についての計画や日程は?
A: 酪農製品の交渉を始めるときには連絡する。私たちはチームスターズ労組(訳注:質問者の所属団体でもある)を諮問グループに入れるつもりだからだ。これまでは、ニュージーランドの産業などを理解するために、ニュージーランドと予備的な議論をしただけだ。まだ内部での議論も始まっていない。酪農製品は我々にとって重要品目に入っており、結論は急いでいない。カナダについては、供給管理システムに注目しており、カナダの乳製品市場に参入したいと考えている。オークランドでは、複数の国がカナダに対し交渉参加の条件を理解するよう圧力をかけるのを見て、嬉しく思った。カナダとEUのFTAにおけるカナダの酪農についての取り決めの結果を見てから、我々の立場を知らせようと思う。まだこの件について、カナダと市場参入の交渉はしていない。

Q:米国によるタバコの例外に関する提案の支持を表明した。しかしこの件について何も提案されないまま会合が経過しており、懸念している。何が起こったのか? どのような計画なのか?
A: 我々が提案の概要を公表した際、多くの意見をもらった。賛成意見もあったし、もっと踏み込むべきという意見もあったが、大多数が反対意見だった。経済界と農業団体からだ。とはいえ、どちらを支持する人が多いかという数で決めると言っているわけではない。

Q: 米国のRDC(鉄道開発公社)による、CAFTA(中央アメリカ自由貿易協定)の投資家対国家間紛争解決条項に基づくグァテマラ政府に対する提訴に対する裁定により、CAFTAの投資条項の国際慣習法に関する付属書が待遇最低水準の過度な拡大解釈を排除できないことが立証されてから数ヶ月が経過した。いま、米国通商代表部の立場はどうなっているのか?TPP交渉ではこの問題をどう取り扱っているのか?(※米国のRDC社のグァテマラ子会社が引き受けたグァテマラの鉄道再建の契約が問題ありとしてグァテマラ政府により破棄されたことに対して損害賠償を求め、認められたもの)
A: 私が言えることは、我々の分析結果は、あなたの解釈とは違うということだけだ。ここには我々の投資チームがいないので、この件をどう扱ったか言うことはできない。ご希望があれば、説明の場を設定することはできる。

Q: それでは交渉の中での通商代表部の立場は、違った解釈に基づいているということか?内部で結論は出ているのか?
A: 投資チームと話していただいた方が満足いくだろう。

Q: オークランドで利害関係者が懸念したのは、交渉の会場に入ることができず、交渉担当者に会うのが難しかったことだった。このようなことが前例になってほしくない。米国通商代表部は、シンガポールやペルーに対して、利害関係者たちが会場に近づけるよう確約を迫るつもりはないか?
A: ニュージーランドが利害関係者を締め出したかのように見るのはフェアではない。会場が小さすぎて利害関係者を入れることができなかったのだ。利害関係者を意図的に締め出したわけではない。どの会合についても、交渉自体の時間と場所を確保しつつ、利害関係者が交渉官と会う場を設定するようあらゆる努力をしてきた。参加の機会を作るよう努力を続けているが、批判も受け続けている。話し合いの場を設けては激しい怒りをぶつけられ、そういった場を廃止してもやはり激しく怒られる。人々が本当に何を望んでいるのか分からないし、どうしていいのかわからない。皆さんが何を望んでいるのか、はっきりとしたメッセージを届けてくれれば、私たちは他の参加国の交渉官たちにそのことを伝えることができる。他の国は、利害関係者の参加を不必要と思っている。利害関係者たちと会う機会は会合前に十分あり、交渉のための時間を削られたくないと考えているのだ。米国が利害関係者の参加を推し進め、交渉を中断させて、交渉担当者を説明の場に参加させてきた。

Q: ACTA(模造品・海賊版防止条約), WIPO(世界知的財産権機関), WTO, FTAA(米州自由貿易圏)のような交渉テキストの公開に関する質問。私たちが法律にのっとっているだけでは知り得ないような事柄について話し合いをしようとしているのであれば、利害関係者の参加というのはカフカ的で不条理ではないか?
A: どのように呼んでもいいが、我々がこの協定について交渉している方法はそうではない。我々は利害関係者に対して各章の詳細な要約を提供しており、それについて話すことは違法ではない。我々は公衆の面前では交渉をしないというだけだ。

Q:シンガポールでは特許権について議論をするか?特許について議論が始まってから1年以上経っている。他の国が特許について草案を提案すると聞いている。その場合、シンガポールでは何が議論されるのか?
A: まだ内部で検討中のため、シンガポールでさらに議論するほど準備が整うことはなさそうだ。他の国が条文を提案することはもちろん自由だが、提案したとしても、必ずしもシンガポールで議論されるということではない。知的所有権交渉の議題についてはまだ検討中だ。

Q: タバコの例外に関する内部諮問について、もう少し話してもらえないか?時間軸について何か情報はないか?条文の修正に関する諮問なのか、それとも、そもそも例外を提案するか否か、を決めるための諮問なのか?
A: 管轄の議会委員会との会合があり、他の利害関係者からの情報提供も受けている(まだ整理できていないが、進捗に関する情報を得ている)。次の作業内容を決定してから、さらに諮問をおこなう。決定事項の内容や日程については情報がない。

Q: ベトナムに関して労働の章に大きな動きがあったという報道があったが、それについて詳しく説明してもらえないか?カナダは、金銭補償にもとづく労働紛争解決についての対案を提出したか?
A: 私が言おうとしたのは、労働交渉について大きな進展をみた分野がたくさんあったということだ。具体的にベトナムについてということではないが、ベトナムが交渉のテーブルについていた参加国の1つだったのは確かだ。(言葉の)定義について進展があった。基本的労働権、許容できる労働条件等々の“適用と擁護”。たいへん勇気の出るような進展があった。議論が継続され、(協定の)施行/協力…??についていくつかの対案が出た。労働紛争解決に対する米国の方法についてはいつも意見が分かれており、いまも議論は続いている。カナダは他のFTA協定の中で、紛争解決について新しい方法をとっているように見受けられる。それについてカナダは参加国に説明し、文書での情報提供を求められた。正式に条文を提案したわけではない。提案するかどうか我々にはわからない。しかしカナダも高い労働基準を支持する立場であり、この分野で我々を支持している。

Q::紛争解決について、もう少し説明を。
A:実施可能な労働基準と環境基準が米国の交渉参加の必要条件だということは、米国がTPP交渉を始める前から明確にしていた。他の国は私たちのやり方に特に好意的というわけではないため、我々はこの件について多くを語っている。米国がこの点について立場を変更すると考えている国もあるが、我々と前にも交渉をしたり、我々の交渉を見てきて、われわれがこの方法なくして交渉を妥結することはないと知っている国もある。何度も会合を重ねているが、環境の章の交渉は行き詰まっている。環境が紛争解決の対象になるかどうかがわからないうちは、他の基準について議論しようとしない国があるからだ。しかし、この点について多少の進展はあった。

Q: 知的所有権の章では、地理的表示と著作権について何か進展はあったか。
A:地理的表示について、オークランド会合の議論は充実していたが、合意はなかった。著作権についても同様。

Q: 通商代表部は、我々の公正な使用がいわゆる(知財權適用の例外、範囲の適用に関する)「三段階テスト」を通ると思うか?そうは思わない法律の専門家が多いのだが。
A:我々の分析とは違うが、この点については知的所有権の交渉官に同席してもらう必要があるだろう。
(翻訳:清水亮子   監修:廣内かおり)