2013年3月19日火曜日

日本消費者連盟が声明発表「参加表明の撤回を!」

2012日消連第35号
2013年3月15日

内閣総理大臣 安倍晋三 様
TPP担当大臣 甘利明 様
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
共同代表運営委員
天笠啓祐、古賀真子、真下俊樹、山浦康明

抗議声明と撤回要請
「安倍首相のTPP参加表明に抗議し、参加を撤回することを求めます。」

 安倍首相は国民の反対を押し切り、2013年3月15日、TPP協議に日本政府が参加することを正式に表明した。日本消費者連盟は去る2月25日、安倍首相が日米共同声明にかこつけて、国民をだまし、2012年12月の自民党の選挙公約に違反して、参加へむけて一歩踏み出したことに抗議したが、農業はもちろん、それにとどまらず、様々な分野の国民生活にアメリカ仕様のルールを押し付けられるTPP交渉への参加は許されない。また、就任直後に堂々と公約破りをすることは民主政治の根幹にかかることであり、絶対に許されない。TPP交渉に正式に参加表明したことに断固抗議し、ただちにこれを撤回することを求める。


1.早期に参加してルール作りを主導するなどと見栄を切っているが、年内合意を目指しているTPPのこの後の参加国協議は5月、7月、あるいは9月だけである。日本が仮に交渉参加を申し出ても、米国議会によって参加が認められるのは早くて90日後であるから、実際に協議に参加できるのは9月の1回のみとなる可能性が高い。かつ、合意済みの事項をリオープンしてはならない(蒸し返せない)という原則を飲まされるとしたら、日本に残された交渉の余地は限りなく小さく、交渉の余地は殆どない不利なものである。後から交渉参加国に加わった、メキシコ、カナダの例をみてわかるように、後から参加した国はすでに議論された自由化の結果を黙って受け入れることしかできない。交渉の余地もなく国民にそのつけだけが押しつけられる。しかもTPP交渉にいったん参加したら、「途中撤退」という選択肢はあるのか疑問である。

2.米など一部農産物などの品目を関税撤廃の例外とする、との安倍首相の主張はごまかしである。たとえ数年間関税賦課がみとめられたとしても数年間の猶予にすぎず、早晩関税をゼロにせざるをえなくなり、日本農業を壊滅させることは明白である。

3.すでに米国とのTPP事前協議においても、日本は交渉力のなさを露呈している。米国での日本車の輸出にはこれからも25%の関税(トラックの場合)を許すなど日本は米国へ大幅に譲歩するばかりである。政府がメリットという工業製品の輸出拡大は絵に描いた餅にすぎない。

4.また、非関税障壁をめぐる事前協議において、米国産牛肉の輸入条件は30ヶ月齢以下の牛の牛肉製品へと譲歩させられた。今後も米国のいいなりで、食の安全基準を引き下げ、国民皆保険制度をゆるがし、政府調達においては米国企業にまで参入を保障する。こうしたやり方で国の制度を崩壊させることが国益に真っ向から反することは明らかである。

5.ISD条項がTPPには盛り込まれるおそれがあり、国家主権が侵害され、多国籍企業の利益ばかりが優先される。国民国家や国民の存在そのものを否定し国のあり方を変えてしまうような、多国籍企業のための条項は認められない。

6.交渉内容が4年間も公開されないなど秘密裡とされ、一部の大企業の声が交渉に反映するばかりだ。情報については、メリット・デメリットのデータを本日一部公開したのみであり、これは人々に交渉参加の是非を検討させる気が全くないことを示しており、民主主義に反する。

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