2013年3月19日火曜日

弁護士団体も「TPPにNO」自由法曹団が声明発表!

TPP交渉参加表明に抗議する

2013年3月16日
自由法曹団常任幹事会

 安倍晋三首相は、3月15日、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加することを正式に表明した。私たち自由法曹団は、この交渉参加表明に抗議するとともに、すみやかに方針を撤回し、TPPへの交渉参加を見送ることを強く求める。

 TPPは、単に農産物に限られた問題ではない。医療、食の安全、国民皆保険制度、金融、公共調達、労働などあらゆる分野において規制を取り払うことにつながる問題である。例えば、韓国は、米国とFTA(自由貿易協定)を締結したが(昨年3月に発効)、昨年12月に米国の投資ファンドが米韓FTAのISD条項(投資家 -国家間訴訟条項)に基づき、国際投資紛争機関に韓国政府に対して巨額の賠償金を求めて提訴している。TPPに参加することで日本でも同様の事態が生じることが想定される。あらゆる分野の通商において規制を撤廃することにより、国民の生活に大きな支障が生じることが懸念される。

 こうした問題については、広く国民に説明して議論を積み重ねる必要があるが、安倍政権は十 分な説明をせず、意図的にコメなどに関税の例外が認められるかという農業問題に矮小化し、国 民的議論を行わないまま、まず交渉参加ありき、という姿勢で今回の交渉参加表明に至っている。 これは安倍政権がアメリカの要求に屈したからに他ならない。

 交渉参加表明にあわせて、国内産業に与える影響をまとめた政府統一試算を公表したが、前提の置き方次第でいくらでも数字が変わるものであり、交渉参加を正統化するための数字あわせの域を出るものではない。例えば、試算はすべての関税撤廃を前提とし、自動車などの輸出が増え、 給与が上がり消費が増えるとするが、すでに日本は米国の自動車関税維持を認めているし、企業 の利益が増えたとしても給与を増額するとは限らない。また、この試算によっても、約500兆 円である日本のGDPが3.2兆円増えるのみであるのに対し、7.1兆円の農業生産額が3兆円も 減ることになり、わずかなGDPの増加を得るかわりに農業に壊滅的な打撃を与えることが明白である。

 また、TPP交渉において、2010年までに参加した9カ国が、2011年11月に参加の 意向を表明したカナダ、メキシコに対し、すでに合意した条文は後発の参加国は原則として受け入れ、再協議も要求できないなどの不利な条件を提示したのではないか、との問題が生じている。 これに対しても安倍政権は、国民に問題を秘匿して交渉参加後十分交渉の余地のあるような説明をしている。国民を欺くものであって、許されない。

 そもそも自民党は、公約で「聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP参加に反対する」としてきた。これは明らかに、例外品目が認められなければ交渉のテーブルにつかないという意味であった。安倍政権は、2013年2月22日の日米共同声明において、「TPP交渉参加に際し、 一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」ことが確認されたとして交渉参加に踏み切っている。しかし、この日米共同声明の文言は、交渉のテーブルにつく際にすべての関税の撤廃を約束されるということまでは要求されず、例外の認められる余地が絶無ではないという意味に止まる。例外品目が認められる保障は現時点では何一つないのである。今回の交渉参加表明は、前回の衆議院選挙における自民党公約に明らかに反するものである。

 私たち自由法曹団は、国民に対してきちんと説明の上議論を求めるという民主主義の根幹を無視したうえ、公約にも違反して行われた、今回のTPP交渉参加表明に抗議し、すみやかに方針を撤回し、TPPへの交渉参加を見送ることを強く求める。私たち自由法曹団は、2011年7月に意見書「TPPはくらしと地域経済を破壊する」を発表して以来、各団体と連携してTPP参加反対の取り組みを行ってきた。今後も、広範な人々とともに、くらしを破壊するTPP参加阻止のために、いっそう奮闘する決意である。

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